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経済

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2022年3月の記事一覧

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意外と小さい日本経済の余剰供給力

参考にならない高橋財政

高橋是清の政策哲学はケインズの「国家的自給」と似ていて、その実現可能性は別として日本経済の構造問題の参考になるが、不況対策としてのいわゆる「高橋財政」はほとんど参考にならない。 参考にならないのは、2002年以降は景気拡大期間が長く、昭和恐慌のような経済状況ではないからである(👇グラフの色付け期間が景気後退期)。高橋財政の円安・低金利・積極財政のポリシーミックスのうち、円安と低金利も既に実現している。 ケインズが「人口減少の経済的帰結」と「国家的自給」で論じた①人口減少の

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コモディティ価格の推移

食料と燃料を輸入に頼る日本にとってもコモディティ価格の高騰は深刻な問題と言える。 IMFのコモディティ価格指数(USD建て)と円換算したものを参考に示す。 バブル崩壊後の「失われた十年」の間は低水準で推移していたが、企業部門のリストラクチャリングが進んで景気が拡大に転じた2002年からは高騰と急落を繰り返すようになっている。

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医療費とGDP

「日本人改造計画」の成果

これ👇が「日本人は性根が無責任だ、根性を叩きなおしてやる」の鉄槌の成果だろう。 これは余談ですけど、われわれが怖いと思ってるのは、小沢センセイの本音は日本改造ではなくて日本人改造にあるらしいということなんですよ。・・・小沢さんがいってることは簡単なことで、日本人は性根が無責任だ、根性を叩きなおしてやる、ということだけ。日本人改造計画。・・・小沢さんの場合は、日本人そのものを変えようとしている。それは大蔵官僚としても一国民としては不気味な怖さを感じるわけですよ。あの人のコンプ

日本とドイツの生産性と割り切り

日本の労働生産性を論じる際には工業国のドイツが比較対象にされることが多い。ドイツ流の「合理性」が高生産性を実現させているという見方だが、以下で紹介するエピソードも、日本とドイツの発想の違いをよく示していると思われる。 2015年4月にNHKのTV番組『超絶 凄ワザ!』で 「真球頂上決戦~日本VSドイツ~」が放送された。日本の岡本光学加工所とドイツのシェフラーが真球製作の精度を競うというものだが、両社には発想の大きな違いがあった。番組内容を知らない人は続きを読む前に考えてもら

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人口減少と「安いニッポン」

輸入インフレが実感できるようになったためか、日本経済の問題はデフレよりも賃金が上がらないことだという記事が増えてきたようである。 これについては既に記事にしているが、その根本原因は売上が増えないことにある。 企業は売上が増える見込みがなければ固定費は抑制する。バブル崩壊以降、売上高はボックス圏で推移しているので、足元で利益が出ていても、賃上げに慎重になるのは自然なことである。 売上高=数量×価格だが、数量は国内は人口減少、海外は輸出から現地生産化のために、増加していく予

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携帯電話通信料を調整した消費者物価指数

2021年4月の携帯電話通信料の大幅値下げのためにインフレ率の動向がわかりにくくなっているので、参考として通信料を含む/除くを比較したグラフを作成した。 日本経済がデフレを懸念する状況ではないことは確認できる。失業率や就業率も需給ギャップ(→追加的財政支出の余地)がそれほど大きくないことを示している。

異次元緩和が効かなかった理由

当noteでも度々指摘してきたが、デフレの原因だった企業のdeleveragingが2002年頃に終わってからも物価が上昇しなかった主因は、名目賃金とサービス価格にある。 米国や欧州の物価の推移をみると、95年以降モノの値段は日本と同様に下がる一方、サービスは上がっている。サービスは労働集約的で、価格は名目賃金と連動するが、欧米で名目賃金は上がっているからだ。モノとサービスを合わせた消費者物価は、サービスの価格が上がっているため下がらなかった。 一方、日本では1998年か

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積極財政派の現実逃避

積極財政派の現実逃避が止まらない。 今の日本はデフレではないが、将来にわたってショックがあってもデフレには戻らないという状況までには、まだ達していない。 デフレのまま、デフレを事実上放置したままでは財政健全化は不可能である。 日本経済は物価が持続的に下落するデフレではない上に、デフレだから不況になるという因果関係も薄い。インフレ率を(何らかの手段によって)引き上げれば経済や財政が好転するというのは根拠のない願望に過ぎない。 残念ながら、デフレになってから企業はずっと貯

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