日本とドイツの生産性と割り切り

日本の労働生産性を論じる際には工業国のドイツが比較対象にされることが多い。ドイツ流の「合理性」が高生産性を実現させているという見方だが、以下で紹介するエピソードも、日本とドイツの発想の違いをよく示していると思われる。

2015年4月にNHKのTV番組『超絶 凄ワザ!』で 「真球頂上決戦~日本VSドイツ~」が放送された。日本の岡本光学加工所とドイツのシェフラーが真球製作の精度を競うというものだが、両社には発想の大きな違いがあった。番組内容を知らない人は続きを読む前に考えてもらいたい。
















岡⇒職人が"神の手"で一球入魂的に磨き上げる
シ⇒機械で量産して精度の高いものを選ぶ(詳しくは👇)

日本流がひたすら100点を目指すものだとすれば、ドイツ流は95点以上を取れる方法を編み出して、後は数と確率で勝負するというものになる。

この勝負は岡本光学加工所が勝ったが、より多くの量をこなす通常のビジネスにおいては、シェフラー流の「割り切り」が高生産性につながる。特に、アウトプットが「モノ」として目に見えず、数値化しにくいサービスでは、この「割り切り」の有無が生産性格差を広げやすい。

日本ではバブル崩壊後に「年中無休」「24時間営業」「おもてなし」「きめ細かいサービス」など、競争力アップのためにサービスへのインプットを増やす傾向が強まったが、この割り切りとは対極の日本人的発想が生産性向上の妨げになっているように思われる。


ちなみに、自分は知人からこの問題を出された時、日本については即答、ドイツについては数秒考えてどちらも正解できたので面目を保てた。


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