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マネー・MMT

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MMTのルーツは新左翼思想
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2020年7月の記事一覧

高橋是清の「借金政策は永続せず」

中野剛志が近著(⇩)で取り上げていた高橋是清の「借金政策は永続せず」が現代の積極財政派の参考になりそうなので紹介する。 「借金政策は永続せず」ーー朝日新聞所載(昭和10年7月27日) 当時の「公債に関する政府の考へ方と著しく異なる意見」は現代の反緊縮派・積極財政派のものとほとんど同じと言える。 しかるに昭和七年度以来毎年相当巨額の公債の発行にも拘らず、今日までのところ、幸ひにその運用は理想的に行はれ、いまだ公債に伴ふ実害を発生してをらぬ。却つて金利の低下や景気恢復に資せ

「国債発行しても問題ない理由」は要修正

反緊縮派に広がっているらしい考えの誤りを指摘する。 中央銀行(日本であれば日本銀行)の持つ国債は、原則借換えをし続けるため返済はしないことが一般的です。 なぜ借換えをするのかというと、世の中に出回っているお金の量を維持するためです。 「世の中に出回っているお金」とは銀行券のことで、通常は名目経済規模の拡大に応じてその量が増えていく(キャッシュレス化が進む状況は別)。銀行券は中央銀行の負債なので、ALM的には長期の固定資産を対応させることが望ましい。日本銀行にも「長期国債買

元財務官僚の財政破綻論

元財務官僚の財政破綻論は論理が破綻している。 「いまの財政状況は厳しいが、大量に国債を発行しても国債を消化できるのは、日銀が後ろから“バックファイナンス”しているから。いまは日銀が国債を買っても超過準備に変わるだけだが、金利の低い状態がいずれ元に戻って上昇し始めると、債務の利払いコストが顕在化する。最終的に、財政インフレになる可能性があります」 「大量に国債を発行しても国債を消化できるのは、日銀が後ろから“バックファイナンス”しているから」ではなく、企業が資金余剰→銀行や

地方債の日銀担保活用の効果は期待薄

これ(⇩)を日本銀行が地方債を引き受けて地方公共団体の財政支出をファイナンスすることと早とちりした人がいるようだが、内容を読めばわかるように、全く別の話である。 金融機関が保有する地方公共団体向けの証書貸付債権(証書形式の銀行等引き受け地方債)を日本銀行担保として積極的に活用するよう、総務省が金融機関や地公体に対して働き掛けを始めたことが分かった。 地公体向けの証貸債権は、2019年6月の金融政策決定会合で担保要件が大幅に緩和されて以降、担保残高は着実に伸びているものの、

MMTにおけるJGPの必然性

現代貨幣理論(MMT)に飛びついた日本の積極財政派を困惑させているのが、MMTが公共事業の増減を主とするケインズ的な反循環財政政策には否定的で、代わりにJob Guarantee Programを提唱していることである。 MMTから導出された政策がJGBなのは、MMTがマルクス的な世界観をベースにしているからである。 マルクスによれば、資本主義は疎外によって人間社会が本来あるべきあり方から転倒していると見なされるのである。 社会の核心にあるのは労働過程であり、労働過程の

反緊縮・俗流MMTのエコーチェンバー

ニセ科学やニセ医学にはまる人は、標準的な科学や医学の知識が足りないことが多いが、主流派経済学や財務省を罵倒する反緊縮派やMMT信者にも同じ傾向が見られる。 例えばこの本(⇩)だが、素人が偏った知識に基づいて書いていることが丸わかりである。一例を挙げる。 国の予算規模は一般会計約100兆円、重複等を除いた特別会計約150兆円、計約250兆円です。 これに対して税収はわずかに約60兆円です。 残りは政府による国債の発行と日銀当座預金への単なる書き込みによって支出しています。