元財務官僚の財政破綻論

元財務官僚の財政破綻論は論理が破綻している。

「いまの財政状況は厳しいが、大量に国債を発行しても国債を消化できるのは、日銀が後ろから“バックファイナンス”しているから。いまは日銀が国債を買っても超過準備に変わるだけだが、金利の低い状態がいずれ元に戻って上昇し始めると、債務の利払いコストが顕在化する。最終的に、財政インフレになる可能性があります」

「大量に国債を発行しても国債を消化できるのは、日銀が後ろから“バックファイナンス”しているから」ではなく、企業が資金余剰→銀行や機関投資家の貸出先・運用先が不足→低金利でも国債需要が根強いからである。

画像4

事実、日本銀行が量的・質的金融緩和で長期国債の大量買入れを始める前から10年国債金利は約1%に低下していた。

画像1

国には確実な収入源(←徴税権)がありgoing concernなので、自国通貨建ての国債残高の増加が金利上昇につながるのは信用リスク上昇ではなくインフレリスクを上昇させる場合である。現時点では過大な財政支出が狂乱物価を引き起こす事態からは程遠いので、日本銀行のyield curve controlがなくても国債金利は低水準にとどまる可能性が高い。

ハイパーインフレになる以前に、円安による輸入物価上昇など何らかの要因で物価が上がって長期金利も上がると、政府は国債の利払い費用を捻出できなくなる。

金利が上昇しても既発の固定利付債の利払費は増えないので、直ちに「利払い費用を捻出できなくなる」事態にはならない。

画像5

現在の利払費は対税収比でも対GDP比でもアンダーコントロールなので、まだ財政赤字を続ける余地がある。

画像5

画像4

日銀が買い入れを減らせば民間金融機関が代わりに保有を増やすだけなので問題ない。従って、政府が予算を組めなくなることにはならない。

あるいはインフレで、日銀が「国債をもう買い入れたくない」という姿勢を示すと、政府はたちまち予算を組めなくなる。

詳しくは下の記事で。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?