MMTにおけるJGPの必然性

現代貨幣理論(MMT)に飛びついた日本の積極財政派を困惑させているのが、MMTが公共事業の増減を主とするケインズ的な反循環財政政策には否定的で、代わりにJob Guarantee Programを提唱していることである。

MMTから導出された政策がJGBなのは、MMTがマルクス的な世界観をベースにしているからである。

マルクスによれば、資本主義は疎外によって人間社会が本来あるべきあり方から転倒していると見なされるのである。
社会の核心にあるのは労働過程であり、労働過程の主役は労働者である。ならば労働者こそが社会の主役でなければおかしいはずだが、ところが我々の社会は今に至るも本来のあり方が逆さまになっているのである。
概ねこのような話を学生に聞かせている。我々の社会は転倒した社会だから正常に戻されるべきだし、人類にはそのポテンシャルは十分にあると。

政府には「キーストローク」による通貨発行という「十分なポテンシャル」があるので、それによって転倒した社会を正常に戻すべし、というのがMMTから自然に導き出せる政策論ということになる。

日本では『富国と強兵』からMMTが広まったの誤解してしまった人も多いようだが、MMTはマルクス主義→新左翼→progressiveの系譜に連なるラディカル左派系経済思想である。

MMTを妄信して、その誤りを指摘する論者を嘲笑・罵倒していた反緊縮派に必要なのは、極左カルトの一員になっていることの自覚である。

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