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マネー・MMT

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MMTのルーツは新左翼思想
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2020年4月の記事一覧

MMT界隈は社会主義者と国家社会主義者の認識共同体

同じことを書くのもいい加減に飽きてきたが、中野剛志が9:30~で「正しいことを言う以外に方法はない」と言っているので、 このMMT界隈(⇩)の誤りについて取り上げる。 租税も国債も、財源確保のための手段ではない。自国通貨を発行できる政府が、その自国通貨を徴収したり、借りたりしなければならない理由はない。 租税は財源確保の手段ではなく、物価調整の手段である。 日本政府には財源の制約はないし、租税は財源確保の手段ではない。 国債もまた、財源確保の手段ではない。金利が高す

「日銀はカネを刷れ」の間違い

また藤井聡と中野剛志が間違いを拡散している。 まず藤井だが、動画の5:24~で力説している内容は「八っつあん、熊さんのレベルの最もナイーヴな誤解」あるいは出鱈目である。 よその国はね、中央銀行でガー金刷って、はいって言って配ってるんですよ。元々、広い意味で言うと政府がカネ作っているでしょ。お金って政府が作ってるもんなんですよ。 馬鹿かお前たちと。ちゃんとお金を自分で作って配りなさいと。日銀がカネを100兆くらい刷ってですね、それでバーと配ったらそれでええだけなんやと。

MMTという天動説

MMTの根本的な誤りがこれ(⇩)。本来なら、ここで議論は終了である。 200年前なら、国庫が通貨を発行するという形で支出し、支払手段としてその通貨を受け取るという形で徴税しているのは明白だったが、今や中央銀行が国庫に代わって通貨の支払いと受取りを行っているので、分かりにくくなってしまった。 政府が支出や貸出を行うことで通貨を創造するのであれば、政府が支出するために租税収入を必要としないのは明らかである。さらに言えば、納税者が通貨を使って租税を支払うのであれば、彼らが租税を

『オペレーションZ』と財務省のプロパガンダ

財務省のロジックを知る上では有益な記事である。 本来は、負担していただく範囲内で行政サービスを提供するのですが、経済や社会が大きく変化すると、歳入と歳出に差が生じて、それが財政赤字になります。これは借金として、将来返済する世代に負担を負わせることになります。 国家(中央政府)は途絶えない収入源(←徴税権)を持つ永続的存在なので、借金は借り換えを続けて完済を半永久的に先送りできる。借金は親→子→孫→曽孫→玄孫→・・・へとリレーしていけばよいので、将来世代には「親の借金を子が

「国は通貨を発行する力があります」は正確ではない

これ(⇩)は間違いではないが、現行制度においては正しくないので広めるべきではない。 現行制度では、国(政府)は自ら通貨発行せず、国債と引き換えに民間部門から借りることになっている。日本銀行は直接政府には信用供与しない。 安藤議員たちは「財政赤字支出によって民間預金が増える」と勘違いしているが、市中の現預金が増えるのは、銀行が国債を買うことによって預金が信用創造されるからである。非銀行部門が買う場合は既存の現預金が移転するだけで増えない。銀行預金と交換される現金は日銀の当座

イングランド銀行の英政府への直接資金供給は財政ファイナンスではない

イングランド銀行が英政府にWays and Means facilityを通じて直接資金供給することになったが、これは「土日に急遽多額の現金が必要になったが、銀行が閉まっているので消費者金融から借り、月曜日に返済する」ような一時的な立て替えであり、helicopter moneyやovert monetary financingのような財政ファイナンスではない。 プレスリリースに明言されているが、政府のキャッシュマネジメントの円滑化とマーケットの安定を目的とした一時的な措置

国債の金利と利払い費

中野剛志はデータの確認が不十分である。 日本の国債の利払い費は、2018年度予算では約9兆円が計上されていますが、これは長期金利を1.1%と仮定して算定されたものです。しかし、実際の市場金利は0.03%程度ですから、実際に支払っている利払い費は9兆円よりもずっと小さいでしょう。 2018年度の利払い費の実績は7.77兆円なので「9兆円よりもずっと小さい」とは言えない。2018年度末の普通国債の利率加重平均も0.91%である。当たり前のことだが、現在の国債の市場金利と利払い

税金は「財源確保の手段」の一つ

中野剛志の解説が例によって誤りだらけなので指摘する。 MMTのそもそもの間違いは、統治者が通貨を発行していた昔と同じく、現代でも政府が(事実上の)通貨の発行者だとしていることにある。中央銀行は政府の通貨発行部門を形式的に分離独立させたもので、政府と中央銀行は事実上一体で「統合政府」を形成しているという理解である。 そもそも、税の考え方が間違っているんです。これまで、税金は、政府の支出に必要な財源を確保するのに不可欠なものだと考えられてきましたが、MMTによれば、これがそも

日本の経済成長率は「世界最低」ではない~MMTerのデマ

中野剛志が藤井聡に似てきたようで、日本経済の実態と通貨システムの仕組みについて連続インタビューで「うそ、大げさ、まぎらわしい」内容を語っているので指摘する。 日本は1991年ごろにバブルが崩壊し、1997年の消費増税と緊縮財政を主因に、1998年に、ついに第二次大戦後、世界で初めてデフレに突入しました。 しかも、このデフレは図1が示すように、20年を超える異例の長期にわたって続いています。 ちなみに、1997年と2014年に一時的に物価が上がっていますが、これは主に消費増税