プレミアムなブランド体験は確実にOMOで発想しよう、O2Oではなく。

これはマーケティングやデジタルトランスフォーメーション(DX)の文脈で言われ続けている話ではあるが、世の中は、O2O (Online to Offline)から、OMO (Online merges with Offline)という概念に移行してきている。今日は、高級商材であるクルマのOMOについても書いてみたいと思う。

オフラインでのビジネスをデジタル化していこうというO2O的な古い発想から、そもそもすべてがデジタル化された世界で、どうやってオフライン(既存ビジネスやコンテンツ)をデジタルに融合していくか、という考え方に注目が集まっている。

参考:アフターデジタル ~中国が移すデジタル化の未来~
https://newspicks.com/news/4402978/body/


すごく簡単に言うと、デジタル技術によってCX全体をとらえて、リアルな対面コミュニケーション(営業担当者)、プロモーション施策(マーケティング担当者)、プロダクトの改善(商品開発)等を、それぞれ一つのチャネルとして全体に配置していく、というもの。

つまり、デジタル化によって、リアルがなくなってデジタルに置き換わる、というものではなく、デジタル化によって、各施策や人が最適配分・活用される、ということだと思う。

前回のノートでも、デジタルマーケ担当者とリアル中心のマーケティング担当者の間では対立構造が生じやすい、ということを書いたが、これはデジタル対リアルのゼロサムではなく、デジタル中心の設計の中でリアルをどう配分するかということである。(そう書くと、組織における覇権争いという点において、やはり対立構造になってしまうのだろうか。うーん、難しい。)


さて、本ノートのタイトルにようやくたどり着くが、
プレミアムブランドの体験は確実にOMOで発想しないとCXは成立しない、ということを声を大にして言いたい。

よくお客様を招待して実施する、当日のリアルイベント自体は素晴らしいのだが、その前の告知だったり、イベント後のコミュニケーションがお粗末なプレミアムブランドは多いと思う。あるいは、自動車業界のおいてはお客様とのコミュニケーションはディーラー(販売店)が行うから、メーカー/インポーターサイドは特にやることはない(むしろやっちゃいけない)、とか、メーカーはブランドイメージを醸成するコンテンツの作成とCI管理だけしていればよいという雰囲気もある。

でも「アフターデジタル」のOMO時代においては、これは間違っていて、責任をもってお客様のCX全体を徹底的に管理する人が必要である。
これは一チャネルである営業部や販売店の仕事ではなく、メーカーやインポーターの仕事で、デジタル技術とCRMの思想を徹底的に磨いて、お客様の自社ブランドに触れる全体を設計・管理していくことが求められている。

特に、プレミアムブランドである、ポルシェ、Audi、ベンツ、BMW等は、そのイベントに来れる方は少人数(エクスクルーシブ)なので、ターゲットへのコミュニケーションは網羅的で精緻なものを作り上げないといけないと思う。

ラグジュアリーブランドの定義は「みんな知っていてあこがれてるけど、その恩恵を受けられる人はごくわずか(エクスクルーシブ)」。この微妙なコミュニケーションの調整がブランドマーケティングの腕のチャレンジングな部分だと思う。

改めて、2020年のプレミアムブランドのマーケティングは、OMO思考で行うことを肝に銘じたいと思う。私としても、まずは(昨年実現できなかった)リアルイベントを一つ選定してみて、それをOMO思考でどうやって設計するかを考えてみたいと思う。その過程でお客様とのコミュニケーションを見直し、実現のためにどんなテクノロジーや関係者の巻き込みや必要なのか等、考えがめちゃくちゃ深まると思っている。

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