プリンス王子のお銭湯様ソングス
宇宙で一番CITY POPな星OEDOには440もの銭湯が存在する。バンドマンとしての成功を夢見るプリンス王子は降り立って、いつも初めての銭湯を訪ねる。これを“ハツセンニュー“と呼んでいる。
略してOS、お銭湯様ソングスはプリンス王子の歌心、都会で暮らす人々を詩的に映し出した、文字で感じる音浴泉である。
「メリーお湯スマス」 OSⅠ
君にあげたい お風呂券
クリスマスプレゼントにネ♡
柚子もお風呂に浸かって
つかりながら考えててん
少しだけ ほんのすこしだけ
お酒を飲んでから
紫とyellowで描かれた
タイルの絵は紅葉
一年中 もみじ
お湯に潜った顔見て
子供みたいなことして
こどもみたいに言われて
肩までお湯に浸かって
ああ いい湯だな
素敵なクリスマスだな
キレイになって
それぞれ帰ろう
君にあげたヨ お風呂券
去年のクリスマスにネ☆
マジ水風呂が苦手
期限もとうに過ぎてて
少しだけ ほんのすこしだけ
お酒を飲んでから
紫とyellowで描かれた
タイルの絵は紅葉
一年中 もみじ
きっと気にいるから
きっと付き合ってほしい
「ありが湯〜ランド」OSⅡ
君にもらったお風呂券
ポケットに入れたままで
梅雨のある日の夕方から
夜までやさしくて
少しだけ僕は番台で
手間取っていたけれど
牛乳を手にとった おじいさん
ユーモアを交えて
お先にネー お代を渡します
ボディソープをもらって
ありが湯って伝えて
お湯につかって黙って
それも新しいマナー
ああ いい絵だな
素敵なペンキ絵だな
キレイになって
それぞれ帰ろう
君にもらった お風呂券
いつかは雨もあがって
いつまでも使えそうで
それでもそうじゃなくって
満たされぬ 空の大浴槽
思いの外 小さくて
裸ではない僕の
一雫 靴下 染み込んだ
ひとしずく
「さらり白山湯」OSⅢ
僕は何にも持たずに
知らない星のお風呂屋へ
10枚綴り 回数券
ふんぱつした日曜日
貸しタオルのないことに
少しがっかりしたけど
ガラスショーケースには
いろいろなタオルが御座います
東京都浴場組合
記念のタオルを買って
ゆっぽくんとカラフルな
イラストとても可愛いネ
あ...二人連れの片方は
一番cheapなの買ってた
それでも可笑しいんダ!
のし紙付いてら
水車はざんざん廻り
タイル絵から飛び出した
何処までも行けるような気分になる
日曜日
栗コーダーカルテットの
サイン色紙 貼ってたゾ
僕だっていつかはネ
番台でサインをねだられて
さらりとネ...うふふ
僕は何にも持たずに
知らない星のお風呂屋へ
その屋号は僕の故郷の
お山と同じ名前の
〈白山湯〉
さらり白山湯
「新寿湯のレーザービーム」OSⅣ
君働く仕事場に
一番近いお風呂屋に
新寿湯という名に
ずっと前から心惹かれていたり
一日の営業はまだ始まったばかり
フレッシュなお湯の潤沢さに
ひとりだけ
〽︎いい湯だな だ...まさに
浴槽のふりがなに
ゆぶねと書いて読ませたり
気持ち良くなる頭に
「ノアの方舟」が浮かび
Ah...君と会った日
初めてのこと よく覚えているョ!
今日と同じくらいに
めっちゃsunny sunset
いつか向かいの床屋に
その名も 〈CUT HOUSE MARINE〉
髭をあててもらいたい
湯上がり爽快さっぱり
君はお店で そんな僕に こんな風に言うんだ
「あのお湯な...熱かったろ?ここいらじゃ
こんな風に言うんだゼ “レーザービーム“」
「月とNiagara」OSⅤ
シャワーの出しっぱなしはやめてくだい。と
書かれていたり
湯水を大切にと
貼ってある
少しだけ 僕はその後に
にんまりとしちゃうんです
丁寧にそして広々と描かれた
タイルの絵はなんと
ナイアガラの滝
入り口に
ウタセブロの文字が
書いてあったこと
思い出してもう一度
にんまりとしちゃうんです
ボタン押しても
出てこない 錆びた吹き出し口から
かつて叩きつけられた
お湯の底
みつめました
湯気の向こうに いつかの
パステルの虹がかかる
のぼせ上がり追い掛ける
何処かの国の熱気球
少しだけ僕は遥か遠い
未来を想ふんです
膨大な滝のその水の
活動を止める その日のこと
Niagara Ah ah ah
誰もいなくなって
月影が映るのです
「春の夜の野川」OSⅥ
夜になれば肌寒い
春 三月の末
私 少し 駆け足で
初めてのお風呂屋へ
照明は薄暗く
イルミネーション 灯してる
看板猫 番台で ひとしきり
顔をなで洗います
私も顔を洗って
石鹸を泡立てて
汗をおとして
ぬるめの露天風呂に浸かります
嗚呼 月が見えて
そしてこれがまた 上弦の月です
妙に色っぽいね 今夜の私
「ねこが耳をなでると」で
始まるレコード
あれもそうね 吉田さん
扉の冬を仕舞って
照明は薄暗く
イルミネーション 灯してる
今頃になって 気付きます
描かれたタイルの絵は 緑
里山の緑
春の夜の野川 通り抜け
街へ帰りましょう
「大告白湯」OSⅦ
恋の話だ コイバナ
お湯に花咲く 夕方
露天に二人 裸の付き合い
マジックアワー
近頃はエスカレーター
並んだり出来るんだゼ
初めはさ 二段下 後ろにさ
離れていた 彼女
あつあつな話に対して
どこか冷静な友達
それはピークを迎えているところダ!と
伝えます
もしも僕が そんな風に言われたら
どうしようかな?
もっと熱くなれるさ ムキになるかも
そして 僕は水風呂へ
冷静に考えてみる
ステップに並んで立つ
二人を応援している
少しだけ そんな友達も
大人ぶって言うけど
永遠の まるで温泉のような愛
誓う日は近いと
見守る気ありありの男です
僕はあぶくのフリして
あぶくの数をかぞえて
これが本当の湯・情だなんて
冗談めかして
牛乳を飲むポーズ
恋の話だ コイバナ
お湯に花咲く 夕方
「変わり湯のおかわり」OSⅧ
日曜日は変わり湯と
入り口にあるスケジュール
初めてのあの日も
日曜だったっていうこと
土曜日も 実は 季節湯で
昨日の〈白山湯〉
偶然が巡り 連れられて
週末は ボンタン湯が続いて
月の無い 露天風呂は
空を見上げないものか
薄情なような気がして
初めての日 思い出す
まんまるで大きな
月が夜空に黄色く光ってた
湯船にはそんなのがたくさん
浮かんでいた
最近 僕 初めての
お風呂屋さんと決めてた
ここはそうか
貸しタオル
ロハで貸し出してくれた
いつだって 僕は遅いから
閉店のその前の
てっぺんを越えた よもぎの湯
今一つ香りはしなかった
日曜日は 変わり湯と
入り口にあるスケジュール
カレンダーの裏紙に
カラーペンで書いてある
「SL高砂999」OSⅨ
露天風呂は濁り湯で
空を仰いでみたなら
煙突が見えたもので
僕はすっかり 旅気分
ここは えっと東京都
中野区の真ん中辺
だってさっき電柱に
「中央」とありました 4丁目
おっぱいをつつき合う
筋肉自慢の人や
鏡を何度も見たり
独り言 つぶやく人
天井の高い洗い場を眺めるよ
露天風呂から
大きなガラスの窓辺に 腰掛けて
吹いてくる風は
今夜いつになく 肌を撫でる
サウナーではないけれど
わかったよ 「整う」こと
ここは えっと東京都
中野区の真ん中辺
宇宙行きのSL高砂が
たった今 出発ったところです
オーシャンヴューの
「柳湯から始めよう」OSⅩ
この場所は温度調整のため
熱湯が出ることがありますので
お気をつけください と ありました
あちちちと 僕は 少しだけ
たじろいでしまうけど
何食わぬ顔をして
その場所
沸かしたての 熱い湯
感じていたかったんダ
ベテランの汲み上げた 井戸水
薪を燃やして
浴槽へ送ってくれた
嗚呼 それをもろに受け止めるなんて
無茶をしたけれど
水風呂にいながら
なんとなく嬉しい
嬉しくなって僕は
アホなことを思いつく
浸かる 並んだ四人の男に
名前をつける
一人目は“ハイパージェット”
二人目は“座風呂さん”
三人目は渋く “黙浴”で
四人目がリーダーの “温度計”
柳湯から始めよう
43か44 靴箱 鍵の数字も
いつも それにしています
「ところかわれば」OSⅪ
所変われば 品川
違い 思い出しながら
帰りは大崎だな
終電間際だったから
洗い髪 そのままに
簡単にしばりあげて
濡れたまんまの手拭いを
ヒラヒラとさせながら走るョ
品川にも区役所
前に佇む中央公園
東海道新幹線と
湘南新宿ラインのガード下
くぐり抜けて
灯りが点いています〈宮城湯〉さん
温泉が出るなんて
本当に嬉しいネ
信楽焼のスタイルで
狸のマスコットが
水風呂の仕切りの上
寝そべってTV見てら
実は今夜
初めに行こうとしたところ
張り紙が...
「サウナだけの営業」とあったので
僕は大井町から
汗かいて 走って来たんだゾ
洗い髪をそのままに
簡単にしばりあげて
帰り道 大崎から
鯉のぼり 揺れていたな
「子連れの鴨のお湯物語」OSⅫ
浴室のドアが開くと
眼鏡をかけた お父さん
同じ背丈の 小さな男の子を
二人連れ
見るもの全ておニューで
すぐさま黄色い桶
取り合ったり
赤と青 カランのレバーに夢中
あっという間 もはや 二人はさ
「宇宙へ行く!」だなんて言う
その時はきっと僕の歌 持参して
これがニッポンの歌だと
地球物語だと伝えてネ
湯舟に入れてもらった二人は
キャーキャーと声をあげて
白髪の日焼けのおじさんも
目を細めて
浴室のドアが開くと
はて?とそしてピンと来た
春の小川さ あの日の
親ガモ子ガモだなって
子育てしてる親ガモは
メスだけなんだってさ
近頃は実は
それだけじゃないかもネ
令和五年六月
土曜日の夜のお話でした
「0番ホームの虹が出る」OSXIII
北綾瀬行きのワンマン
0番ホームから出た
のんきに綾瀬で僕は
見送ってしまいました
梅雨の終わり
ひどく 汗ばんだ
日差しは勢いをつけて
歩くには長い half an hour
確かめて もう一度 時刻表
なんてことはない 実は
10分の間隔で
別のホームからも出た
直通運転のおかげ
のんびりと進む
高く架けられた
その行先には
最も大きなメトロの車両基地
それから歩いてみたョ!
足立区の〈富士の湯〉は
開店すぐに 地元の人たちで
いっぱいさ
ケロリンの黄色い桶
腰かけは水色で
カランのついたピンクのタイル
千代田線 グリーンも手伝えば
空の下 そっと一駅だけ
虹を追いかけましょう
「夏のセットリスト」OSXIV
あの日のライブは
君が一番よく褒められた
お風呂屋さん・銭湯の
おかげなら とてもE!な
グランドピアノの形をした
湯舟から いくつもの
飛び出した 泡のメロディに
繰り返し リズムをつけてみよう
サウンドチェック
滞りなく済ませて
隙間を縫って 駆け足
はじめての〈石川湯〉
ああ 今年の夏
外の方が
お湯よりも 高い気温
流したはずの汗
拭きふき 本番前
あの日のライブは
夕方早くの下北沢
仲間や恋人同士
フロア 熱を帯びていた
グランドピアノの形をした
湯舟から いくつもの
飛び出した 泡のメロディに
繰り返し リズムをつけてみよう
夏のセットリスト
思い浮かべながら
「伝わる湯、つたえるYou」OSXV
「明日休業」を伝える
木の板がかけてある
湯舟で顔 目の前に
時代 感じる広告
頭に3のついていない 東京03-
後につづく 3桁の番号を
載せている居酒屋の
広告それならこんなアイデアは
如何なもの?
友達イベントのフライヤーを
その季節にさ
昔ながらの中に
交ぜてもらえたら
きっと光る
生まれるものがある
本気で思えたョ!
赤と青と置いてある
上手と下手両方に
ビニールのが一つずつ
水風呂が簡易的に
少しでも良いことを
身体にとって良いことを
してほしいという心
かけ流し 触れて 伝わりました
狛犬のように両サイド
首と顔だけを出して
江古田湯にいたのでした
終戦記念の夜に
「放蕩息子の東宝湯」OSXVI
浴槽の中はメロウで
イエローなお湯でして
ノスタルジーに浸って
ひまわり色のバスクリン
母親の一声で
お風呂が沸きました
適量を蓋にとって溶かす時
キツい匂いがした
翌日にもお手伝い
冷めたお風呂そのお湯を
洗濯にも使えます
洗面器で移します
ああ あとは浴槽 汚れ落とす
ゴシゴシの仕事だゾ
オレがやってたんだっけ?
覚えていないけど
愉しかった気がするナ
子供の頃からお湯が
家族旅行の温泉地
のぼせるまで入ったな
湯あたりと言うよりも
最近の私なら
罰当たり
こんな日の高いうちから 裸
脚を伸ばして
鼻歌で 調子が良いんだもんな
健康のためにだとか
地球のためにだとか
放蕩息子の東宝湯
昼間から飲っちゃいます
「たまに入るから」OSXVII
夏の終わりの夜の
汗っかきの散歩道
暗闇に浮かび上がる
君の名前 煙突に
突然に現れた
お休みの顔をした
愛おしいその姿
初めての
通りがかりのくせに
当たり前のことだけど
灯りなんて点いてない
ガラスの扉に透けた
暖簾ならデジャヴみたい
嗚呼 この細道
様々お客さんがすれ違って
常連もいるだろし
それぞれの季節
夏の終わりの夜に
無くて良かった夕立
外観を覚えながら
とっても意識しながら
汗かいて また歩きながら
偶然にときめきながら
その時はきっとそのときは
こんなふうに言うんだ
たまに入ってるから
たまに浸かってるから
「毎日が記念湯」OSXVIII
〈おにぎり・とん汁 山太郎〉
雑司ヶ谷の新名所
そんなことを考えて
いつものようにマップアプリ
一番近い公園も新しい顔をしてる
その次の古い霊園を
感じながら そそくさと通り抜け
首都高5号池袋線 南池袋出口
蝉の声を浴びながら
ランドセルと同じ道
嗚呼 たどり着いて
唐破風の〈君の湯〉に
出会えたョ!
それでも 増えていた
お休み 火曜日
そんな時は もう一度
いつものように マップアプリ
ここはあえて もう一度
汗をかこうじゃないのと
一番近道でさ
ネクストお風呂屋さん
古い桜の並木道 横切れば
そこは南大塚
毎日が記念湯
「朝日 on the Water」OSXIX
もうこんな格好を
している季節ぢゃないよ
ロックレジェンドみたいに
長袖を羽織ればいい
巡り合う 午後のコスモスの
風に揺れる様子で
少し先に咲くリコリスは
手を広げ 両手ピースサインで
ペロリとネ 舌を出して 笑った
こんなにも長い間
夏を待たせてしまった
それでも同じ形の
雲追いかけていました
嗚呼 この星では
誰もが安心して暮らしている
ゆっくりと時は過ぎ
朝日が上った
いつかきっともう一度
そっと扉を開いて
着替えを入れたロッカーキー
アンクレットのようにして
巡り合う 午後のコスモスの
風に揺れる様子で
少し先に咲くリコリスは
手を広げ 両手ピースサインで
ペロリとネ 舌を出して 笑った
タイルに焼き付けた
湖を眺めていた
「旅して万年湯」OSXX
秋の空 男同士
昼からの散歩道
曇り空の散歩道
たまに傘を開いたり
案内したい場所がある
けれども 道忘れたねん
なんでやねん 変なノリ
久しぶり 再会をかき混ぜて
秋の空 男同士
子供たちは帰り道
んぢゃ ここらで 大人道
傘差しつつ お湯の道
湯船の中ぢゃ 黙ったまま
それぞれの段取り
水風呂でもう一度 再会
気持ちEネ!
夜は早くて
雨に濡れた街も輝いて
しっとりと男同士
キラキラの散歩道
案内して また案内され
初めてって おもろいやん
インターナショナルな万年湯
平日の それもこんな近場で
知らんけど
足をのばしてましてん
「世界湯の片隅で」OSXXⅠ
高田馬場がそういえば
東京って気がする
駅前〈BIGBOX〉は
入ったことないけれど
さかえ通り サラリーマン
遅い時間の帰宅
僕はついさっきまで
良いお湯に浸かっていたのですョ!
ガールズバーの乙女たち
手塚治虫のキャラクター
背中にして何想ふ
火の鳥が羽ばたいて
イグアスの滝 虹がかかる
その景色 目にうつる
無料で使う リンスinシャンプー
洗い流して
でんき風呂のプレートは
それだけが古い物
wakagaeriと書いてある
それだけがアルファベット
さかえ通り サラリーマン
遅い時間の帰宅
僕はふと 胸の内
手ぬぐいをくるくるとまわして
「おかえり」とつぶやいていました
この世界湯の片隅で
「大人の湯」OSXXII
深湯はあつ湯です。
のでうめ水を入れないで
ください。
と書いてある
他にも書いてあること
「ジワジワとゆっくりと
薪をたくさん燃やして
時間かけてわかす風呂
体が芯からポカポカポカです」
雷も鳴っていた
俄雨を避けたくて
通りから 奥を覗く
設置されてる灰皿
子鹿のバンビ
一緒にこのお湯に浸かりましょうネと
すぐ隣 白鳥の湖
ここは何処?
湯船の中ではずっと
外のことを忘れている
吹き出すお湯のサウンド
サイレンスとは ほど遠く
うめ水が出来るのは
白鳥の湖と
アルプスのタイル絵の
浅い湯で
ポカポカポカです
ディズニーの絵本のこと
実家のお風呂場のこと
〈おかめ湯〉と印字された
黄色い桶で何度も
冷水を浴びながら
「蛇崩という町で」OSXXIⅠⅠ
エントランスは鉄筋で
新しく囲ってある
それでも見えていますョ!
昔からの屋根瓦
縁側にかつて水
水の流れた跡が
鯉が滝登りする
タイル絵と
タイムリープしました
江戸時代なら八つ半
目掛けてきた若夫婦
旦那はパッとすませて
勢いよく出ていった
年季の入った
木で出来た腰掛けは
小さくって
座ってみて
またすぐに洗って
並べて
エントランスは鉄筋で
新しく囲ってある
蛇崩と呼ばれる町
昔からの屋根瓦
平成のそれは27
7月13日の
“なかじま”と署名された
堂々と 男湯と女湯の
真ん中に富士山
16時前になれば
蛍光灯の明かりが点く
「水しらず」OSXXIV
深夜のお銭湯様は
とても頭が上がらない
そう言って見上げたのは
モザイクタイルの富士山
おだやかなその姿
パステルカラーの肌
ふもとの水辺にみつけた
3羽 白鳥が浮かんでる
みつけたのは 水風呂も
冷たいのは良いけれど
ここまでするかって感じの
ほら水温計 10℃
ビリビリくるな
ずっと浸かっていられるわけがない
逃げるようにしてあがれば
ビリビリ
血管を広げたり
縮めたりの入り方
温冷浴のススメ
その極北〈清春湯〉
おしゃべりは露天風呂
閉店の二時前の
少しだけ ほんの少しだけ
水風呂に挑戦した三人で
見ず知らず
「気をつけの大星湯」OSXXV
足を伸ばしてくるョ!と
そのつもりでやって来た
電気風呂へ投げ出すと
すぐに攣りそうになった
お風呂に入ることが
歓びという顔をして
汗流し 一目散 早技で
湯舟へとザブンして
そんな方や
水風呂で 鼾をかいている人
くっつき虫の二人や
おや?カラスの行水も
それぞれのスタイルで
夜を過ごすこの都会でも
星は冬に輝く
みんなを見てる
湯上がり脱衣所で
友達に会うと驚きで
気分も上がるもので
話も弾んぢゃうよネ
お風呂に入ることで
お酒を控えてみたり
体重計 身体を拭きあげて
睨めっこ 針が揺れないように
気をつけの姿勢の〈大星湯〉
「森林浴のウィステリア」OSXXVI
森林浴ウィステリア
やさしく噴き出す霧は
あなたの肌にも触れた
身体は透き通った
厄介なことはない
そのまま扉開けて
外の空気に触れさせて
魂をぐっと吹き込めばいい
僕らは強くなくって
たまに人を傷つけて
君には指を刺されて
何にも言えないなんて
もう手遅れかな
そんなことは いつも見てみぬふりの
地下鉄からエスカレーター
登りきった所で
行先は決めていた
古きを訪ねてみては
森林浴ウィステリア
新しいこの世界でな
簡単なことだとは
思わない リラックス
出来るかな
きっとできるから
花も咲く 広いひろい公園の
東屋できっと待ち合わせよう
「ライブカメラで高松湯」 OSXXVII
これからライブ観る前に
僕はひとっ風呂浴びる
渋谷に近いところで
探してみたのは目黒
首都高を仰ぎ見る
駅からの大通り
古いマンション その一階に
ぽつりと扉開いていました
とても小さな入り口と
とっても古い下足箱
鍵とスマホを重ねて
回数券 渡します
夕方のピーク
それは数人の入れ替わりだけど
平日の都会で交差する
いろんな表情
オーソドックスなお風呂屋さん
年季の入った浴槽
タイルの絵は
穏やかな時が流れている風車
僕よりも先に来て
入念に洗う おじいさん
丁寧で 僕もつられてさ
鏡見て 顔を洗い流して
髭を剃って 歯も磨いてしまった
そして渋谷へ行こう
ライブ楽しみだナ
「令和5年の550円」OSXXVIII
先週は〈めぐみ湯〉で
今週は〈玉の湯〉でした
綾瀬から北か南
それぞれのE!ところ
北へ行けば 立派だナ
宮造り建築の
洗い場のタイルなんて
僕の好きなライブハウスの
まるで星散りばめた
あの場所のようで
今週の〈玉の湯〉は
南へとイチョウ並木
すぐに見えてくるんです
都道314号
14時から開く その一時間位が値千金
金曜日お休みの22時閉店
お風呂屋さん 経営者
待合で雑談を
お客さんの話聞く
お仕事がお好きそうだ
綾瀬駅 夜が来る ガード下 お惣菜
お仕事が楽しそうだ
コロッケを買って 30円の
野菜コロッケ
令和5年の
この冬の550円
「マジックにかけられて」OSXXIX
嗚呼 紫色をした
梁と柱が綺麗で
小さな黄色い丸の
時計がかけられて
それだけのことで まず心
浮かんだりするんです
それから顔を写すのは
ハート型 ハートの形をした
鏡見て 顔を洗って綺麗
30円引きの券
パウチされたそのカード
フロントで貰いました
風呂上がりに何買おう?
はじめのシャワー
とっても熱くて 驚いたけれど
上がる頃には違って ぼちぼち帰ろか
待ち合いで 靴下履く
1:30がやって来る
今日の一日の終わり
澄んだ夜空 星綺麗
冬だから 両手 冷たくて
ポケットのiPhoneが
震えてる 君にメッセージ
さっき飲んだ 牛乳が美味しくて
それからね
電話かかりました
「君の(インディーズ)湯」OSXXX
あの日は汗かきながら
〈君の湯〉の前にいたな
暑い夏の夕方
立派な構えだったな
今年の初めてのさ
銭湯は嬉しくて
病み上がりみたいに雨をさけて
喜び勇んで
暖簾をくぐって
去年は汗かきながら
すぐ近くの記念湯へ
お銭湯様ソングスに
このことも歌にして
ここは浴場組合に入ることを
辞めたって タイミング
それで入浴料が50円
安くなった
僕らもずっとインディーズ
続いているマグニチュード
ニュースから遠く離れ
温かい湯に浸かって
令和6年の初めての
銭湯は悔しくて
病み上がりみたいに雨をさけて
ぐっと強い気持ちで
暖簾をくぐって
僕はまた詩を書いて
三十一番目へ
「豊かな湯」 OSXXXI
黄緑と濃い緑
シャワーの蛇口のタイル
上には古いガラスの
散りばめた模様 ヤツデ
あわあわの湯
座風呂
ショルダーマッサージ
雲の中から顔を出す
冬の山
パネルが立派です
そのどれもに味があり
常連さんたちにもあり
ご長寿 顔並べたり
ドレッドこちら見てニヤリ
東京は夜の7時
あの人は家に帰りたくないナ
腕にはめたまんまで
時だって流れて
鏡に映る向こうに
己の姿を見ずに
うつむき疲れを感じ
一日を終える私
湯上がりのフロントで
もう一度出会えるネ
玉のようなピカピカの
顔をして思い出話をして
また別のお風呂の話しましょう
「杉並スキューバダイビング湯」OSXXXII
熱帯魚のイラストが
透かしてあるガラス窓
その隣にはウェットスーツの
スキューバダイバー
いつかきっと来たはずの
〈杉並湯〉浸かりながら
垢抜けたイメージに
変わったと呟いていました
白い暖簾を潜ると
小さな待合がある
ロッカーの鍵貰えば
ジャズが流れているのさ
桶はケロリンおけ
そして風呂椅子も黄色のやつでさ
シャワー室のカーテンも
黄色のりんご柄
それがいつのことなのか
思い出すこともせずに
どうでもいいことのように
思えてきたのは
僕はスキューバダイバーで
〈杉並湯〉浸かりながら
たまに顔を出してみては
幸せな呼吸していました
そして風呂上がりは
ツヤツヤの顔になった
「アサヒトレンド21」OSXXXIII
水風呂には水色の
フラミンゴが群れをなし
羽ばたき それに連られて
露天の風呂へとドボン!
トレンドという屋号
21 四半世紀
岩風呂でテンションが
あがるのは
いつものことだけど
火星人 ゆでだこの気分で
具体的なレスポンス
GPTをつくるなら
手順を踏んだ学習を
それなら俺が教えよう
水風呂の前で
何度もすくって
浴びてから
元のあったところに
洗面器 戻す人
〈アサヒトレンド21〉
ニットのポーチ レインボウ
ヒッピーを経験した
とても可愛いおじいさん
23:20くらいにあがるといいよ
声をかけてくれた おじいさん
どんな風にお湯につかるだろな?
灯は消えて 洗い場に
モーター音も静かになり
ちょうど時間となりました
またきっとお会いします
「ヴィーナス・オン・アース」OSXXXIV
朝風呂を頂きに
知らない星に行き
モーニングもやっている
〈金星湯〉にたどり着く
横付けをする乗り物は
日曜日の公園の
二股に分かれたその道
カーブして
緩やかにランディング
宇宙のスーツを脱いで
汗っかき確認して
ロッカー鍵をつけて
手拭い 裸一貫で
Oh,ミネラルが身体に
染み込んでいくのが解る
あっという間 地下水で
あいつも仕上がった
モーニングも終わる頃
別の意味で仕上がった
カウンターは賑やかに
赤い顔して火星人
横付けをする乗り物は
すでに星を後にして
ちょうど今 正午です
マスターは坊主頭のおじいちゃん
これからね お昼寝するんだって
朝に輝いたり
夕方に煌めいたり
「月見湯温泉の男たち」OSXXXV
杉並区を走り抜け
北から南へ急ぐ
甲州街道越えて
もう少しだけ迷う
初めての〈月見湯〉は
節分の翌日に
22:00は閉店の
1時間前に滑り込んだ
汗かいた後に入る
広い銭湯はとくに
嬉しい ここ壁側に
カランを固めてある
おお 富士山をとっても大きく
眺めていたなら
片隅に本物の温泉が沸いている
その湯船に中くらい
真っ黄色の柑橘が
手招きをするように
いくつも浮かんでいた
少しだけ茶色の湯
僕だって浸かりたい
常連さんの仲間入り
この人がここぢゃ偉いんだろナ...
会話をネ 耳に入れてみながら
後になって知りました
あの柑橘は”じゃばら“と
男たちはその匂い
キツいと文句言ってた
「白山浴場でござる」OSXXXVI
東京ドームを背中にして
町を歩き出す
坂を横切れば
小石川 えんま通り商店街
カランからは超熱い
湯がなみなみ溢れて
ペイズリーのモザイクタイル絵は
たっぷりの湯気の中
エキゾチカ
それで私はタイムリープ
ここはしっとり江戸時代
本郷三丁目から
歩いて来る町人と
11時に開く 4ツ半にあく
別の湯屋のこと
教えてもらいながら
健康の秘訣を
長湯をしてしまった
と思えば町人も
あの町人もおんなじ
19:30風呂上がり
あとにして 隣
コインランドリー
灯りがともっている
丸い看板をよく見れば
ペイズリーの
孔雀の羽根のような
ペイズリーの
まるで家紋のような
ここは白山浴場でござる
「ざわざわ北沢湯」OSXXXVII
男湯と女湯の
境にあったタイルの
錦鯉の飾り絵の
向こうに聳えた富士山
こちらには広い空がある
とある風景 山脈の
それでも何処か
持て余したような
広いペンキ絵だった
夕方過ぎ賑わって
湯船に男が並ぶ
揃ってこちらを向いて
その一時を味わう
上北沢駅から 歩いてすぐの
この銭湯は
実にオーソドックスな
普通のお風呂屋さん
だからそんなに大きくは
ないこの〈北沢湯〉
夕方過ぎ賑わって
その一時 輝いて
高濃度人工炭酸泉
ぬるめの湯 人気です
順番に譲り合いながら
浸かれたら
隣のおじいさんのように
身体をネ
ぷかぷか浮かべながら
泡の粒のように
ざわざわ北沢湯
「この前の狛江のこと」OS XXXVIII
ほんの少しだけでもさ
長く浸からなくてもさ
髪の汚れを落として
顔も綺麗にしたくて
カランの前 輝いた 黄色の椅子と桶と
さらにはネ ボディソープとシャンプー
そしてなんと コンディショナーまである
春まで延びた新年会
〈狛江湯〉から歩いて
雨上がりの夜の道
愉快な初めての道
11月に僕たちは何日も顔合わせて
作り上げたさ
銭湯をテーマにした舞台を
春まで延びた新年会
君の家に集まって
そして5月になったら
狛江を離れるという
玄関前 数人でドア開くのを待ち
先に来てる仲間が開ける
たくさんの靴が並び始めて
キッチンの暖簾が目に飛び込む
初めてお邪魔します
僕は湯上がりだョ!
「竹の湯でつかまえて」OSXXXVIIII
筍が生える季節
あの娘と僕は揃って
散歩へと出かけました
竹藪へと潜り込む
繰り返し そして くりかえし
目の前に現れる
いつか夢で見た景色のよう
この先は湖に出るんだと
ブラウンに白い花びらの
模様のタイルで
囲まれた辺に立ち
鴨が飛び立つのを見る
嗚呼 ここでもまた
くり返すようにして
がまの穂が目の前に
揺れている
羽の音 聞きながら
ごつごつした剥き出しの
岩にそっと手を触れて
掬った水で洗えば
時の流れ染み込んで
春が来た時の悦びは
湧水の混々と
こんこんと
身体ひたすような永遠を
夏が来る目前の
永遠の浮力を感じながら
筍が生える季節
やっぱり僕は一人で
初めてのお風呂屋へ
竹の湯へと潜り込む
「和の金春湯」OSXXXX
翡翠(カワセミ)が魚くわえ
銀座八丁目を飛ぶ
その湖〈金春湯〉
錦鯉だって泳ぐ
春の中 私は今
新橋駅から歩き
ビルの中へ吸い込まれ
番台のある扉を開いた
その手前に下足箱
さらに手前 平仮名の
「わ」という字が
木の板に書かれたもの
置いてある
沸いています
「わ」が板に書いてあるから
「わいた」と
「営業中であること」
こんなことが嬉しい
翡翠が魚くわえ
シャワーを浴びる私の
目の前の湖には
桜の花 みつけたわ
春の花
四月 牡丹咲くその次に 立葵
気付いたら 浸かる
もう一度 錦鯉
なんて いい絵なんだろう
なんて いい湯なんだろう
春色の和を感じて
和の色の〈金春湯〉
「辰巳湯のミラクル」OSXXXXI
コックはきつくしめないで
そうシャワーの壁にある
コックはきつくしめないで
くださいと書いてある
おかしくて僕は水風呂で
何度も読み返す
そのうちに気付いたョ!
片仮名の「コ」と「ク」の字が大きい
小さい「ツ」
「ッ」の字が小さすぎる
これ 誰かに伝えたい
けれど一人の時間の
初めての〈辰巳湯〉に
顔馴染みは居やしない
露天風呂にいた 若い男三人に
声かけて 笑いがとれるだろか?
ハードルは高いゾ...
ぬる目のお湯 脚伸ばし
今日の日のミラクルを
湯気に浮かべては
空の半月を見つめます
嬉しくて 僕は露天風呂
その傍のベンチにて 一休み
そして気付いたョ!
この場所は同じマンションに住む
階段を利用する住民に
丸見えだゾ...
「ラン・ラン・ラン」OSXXXXII
僕は口ずさみながら
竹橋から歩いてさ
Run Run Run と それは
バナナのジャケットの歌
皮をめくるようにして
汚れた僕の衣服
汗かいた 一日のご褒美のような
〈梅の湯〉の夜
夜にかかった梯子は
ドーナツの輪くぐる舟
月と星も眺めてた
歯磨きの蓋を開けて
マラソンのお客様へ
脱衣所ではランニングシューズを
袋から出さないでくださいと
エントランス
隣の着替え おじさんは
ランの後の格好ダ!
僕が歩いて来た道
走り抜けて来たんだろう
皇居から神保町
江戸城を下ったところ
おじさんはパッと汗流し
瞬く間 洗い場を後にした
僕は徳川家康と
昭和天皇のことを
考えながら長湯
閉店までラン・ラン・ラン
「極楽への階段」OSXXXXIII
新しいネオン看板
23時 目が合って
スマホ取り出してカメラ
面 画像に残して
改装の途中の入り口
慌ててしまう
靴のまんま 上がった僕を
嗜めてくれた 新しい人
小さな段差を確かめて
靴箱鍵かけて
エントランスで回数券渡し
階段を下りて
脱衣所が綺麗
きれいになって迎え入れてくれる
洗面もロッカーも
さらにお手洗いも
それでも浴室ならば
何も変わっていなくて
それがなんだか安心感
ほっと一息つきます
改装の途中の一日を
見届けたような
近い未来 サウナが動き出して
賑やかな〈GOKURAKUYA〉
直前の一日
新しい人 アルバイト
締めの作業 お掃除をしながら
話してくれた
「お風呂屋さんの勉強をしてる」ってさ
頑張ってネ
「待つかな太陽?」OSXXXXⅣ
から空回りするのかな?
但し書きの貼ってある
使用禁止のシャワーは
お湯止まらないんだってさ
それでも虹がかかった
タイル絵は白鳥が
ジェット機飛ぶのを眺め
アラビア・ヨーロッパ・アジア
コンパクトなスタイルの
60年以上続く
〈松の湯〉さんの暖簾がかかる
唐破風の入り口はビューティフル
雨降りの日に 遅ればせながら
初めて来ました
それはそれはこの辺り
ライラライライ
訪ねてるのに
薪で沸かしたお湯と
そのまんまの水風呂で
しっかり出来上がる僕
すっかりもうハーモニカ
女将さんとお客さん
強くなり始めた雨
傘はあるの?
愛の言葉したたれば
令和六年六月
月曜の夜のお話でした
「風呂をつくるなら」OSXXXXⅤ
風呂をつくるなら
風呂をつくるのならば
お風呂を
字数稼ぎぢゃないんダ
ちゃんと考えてるから
人気者になるのなら
サウナ必要だな
そして水風呂がE!
深いヤツ きっとモテモテだろう
鷹番の〈千代の湯〉は
その点でサウナはなし
それでも人気があるな...
和風で清潔だから
嗚呼 工夫が見える
立派な赤富士も堂々としてる
都会に渦巻いている雲もほら
癒されて
こだわりの軟水も
お風呂にやさしいかもネ
長い髪のあなたにも
幼い子供 肌にも
天井に反射する
水面のゆらめきと
友達同士の会話がさ
漂えば それで言うことなしの
誰かに教えたい
風呂をつくるなら
「露天風呂の日に」 OSXXXXVI
高濃度人工炭酸泉
炭酸の出る入口付近を塞がないように
ご協力お願いいたします
普通のお湯にくらべて
約3.0倍の保温性
こんなことが書かれていて
そのうちに夕暮れがやってきた
約一年ぶりの
そうここは
前に来た時も
太陽に照らされている
時間のことだった
イメージがさ
一致したのは そういうことかしらネ
確かめるようにして 広いここは〈井草湯〉
泡の湯はミクロの粒
浴槽を白くして
水風呂はインディゴブルー
タイルは一口サイズ
高濃度人工炭酸泉
それが実は露天風呂
見上げれば
四角の空
そのうちに夕闇に包まれて
トリミングされた夜は
都会的な夢の中
今朝になって気づいたさ
昨日は露天風呂の日
「ゆートピア22」 OSXXXXVII
河童の三姉妹がさ
踊るのを君は見たか
甲羅は河童の背中
背中のは亀にもあり
亀有という駅のすぐ傍にある
〈ゆートピア21〉
その屋号 ずっと下町で
浮いている
それは現在もそうだろう
長女は巻貝の上
乗ってツンとすましてる
次女はイルカに乗って
三女はトビウオ はしゃぐ
男湯と女湯をまたぐ
左右対称の虹は
河童のユートピアが
もう一つあることを
21世紀になって
もしも風呂をつくるなら
22ってつけるかな
躊躇するところもある
河童とかイエティとか
ぬるぬるやもじゃもじゃの
空想の生き物になることもあるのかも
人間も
水風呂で考えていた 未来の
すべすべの軟水の
〈ゆートピア22〉
「弁天湯のサウダーヂ」 OSXXXXVIII
君の住んでいる星に
お銭湯様はいるのかい?
僕のまわりにはいつも
見守っていてくれるョ!
庚申塚と商店街
アーケード 暗渠とか
馬橋稲荷と小学校
高圧線 鉄塔が聳えたり
お銭湯様はそれと
似ているところがあるョ!
古い煙突は
ランドマークの役割も
坂を下り もう一度
上りにかかるところに
確かあの娘も行くって
言っていた〈弁天湯〉
若くて可愛い二人
番台に座っていた
狭いところに並び
女の子と男の子
二股にわかれる道
どなたかの花もある
初めて見るこの景色も
懐かしさ 呼び覚ます
お地蔵さん
新しいお湯の香り
一昨日は里帰り
八月のサウダーヂ
来週には阿波踊り
「合わせ鏡の平和湯で」OSXXXXVIIII
最近備品の桶が
数個紛失しました
湯上がりの洗面鏡の前で驚いた
平和湯という この場所で
よくもそんなことしたナ!
許すまじ あんなに可愛い
ケロリンの黄色い洗面器
私の怒りよりも
ご主人の怒りよりも
気泡風呂はポコポコと
熱めに沸いていました
その隣にある広い浴槽はなんと長万部
カルシウム多く含んだ温泉の効能
ぬるめのお湯で深呼吸
すぐに怒りも忘れて
水風呂でキュッとしめて
ポジティブに頭も冴え
長万部の湯 もう一度 身体浸していたなら
合わせ鏡があること 私は気付いた
少し ほんの思いつき
ちょっとだけの出来心
それが張り紙になって
綴ったのはこんなこと
平和湯という この場所で
よくもそんなことしたナ!
きっと来る その日のため
ケロリンの黄色い洗面器
合わせ鏡 その中に
ずっとずっとその奥に 私の姿を見つけ
いつかきっと返さなきゃ
「桃の湯に浸かって」 OSXXXXX
女湯から聞こえます
賑やかなおしゃべり声
男湯ならば寡黙な
16時ちょうどのお湯
浴槽にはもうすでにもう
浸かっている人が居て
身体にもう泡をつけて
洗っている おじいさんだっていて
それはきっと開店の時間よりも
その前に並んでいた常連さん
誰より早いお客さん
こんな想像してしまうのは
僕も色んな町で
開店前に群がる人々を
知っているから
顔馴染みをみつけたら
そっと近づいて声を
「寒くなったネ」とかける
洗い終えた おじいさん
しきりにひっきりなしの
おしゃべりの向こう側
こちらとの間の仕切りの
タイルにはカモメの群れが翔んで
僕だって仲間に入れてもらお
天井はとても高く
真っ白でとても綺麗
「秘密の湯」OSXXXXXI
細かい雨はあがった
夕方 東向島
暗がりのその奥に
看板をみつけたら
マンションの入り口の
手前にある駐輪場
住んでいる人のように
ずんずんと進んでゆきましょう
淑やかに設置された
灰皿のスタンドが
履き物を脱ぐところに
ご主人が煙草を吸う
東東京
気づけば世界を広く感じてる
中心から離れて
爽やかに
生きること
サウナハットをかけて
すぐにシャワー浴びる人
水風呂の隣で僕
お湯の膜を感じてる
マンションの入り口の
手前にある駐輪場
住んでいる人のように
ずんずんと進んでゆきましょう
その先の未来には 秘密の湯
いつか君を連れてゆく
扉の奥の湯船は
森林浴でマッサージ
心もほぐしてくれる
あとがきbyプリンス王子
さあ、これからまたハツセンニューへ行って来るネ。そしてライブで歌うんダ!きっと新しーィOSを聴きに来てネ。あ!お銭湯様でみかけたら、声かけて〜🎵(2024年8月2日OSXXXXVIIを追加、8月25日OSXXXXVIIIを、9月13日OSXXXXVIIIIを、10月10日OSXXXXXを、10月25日OSXXXXXIを追加しました)。