君たちはどう生きるか
映画館にむかう途中にある、アオキジというラーメン屋に寄ろうとしたら、開店前から行列がすごくて、あきらめた。
ここは、ユウコさんの地元の新潟の燕ラーメンが食べれるお店で、再現性が高いらしく、君たちはどう生きるかの前に食べたくなったらしい。
どうしようかとなって、看板や建物の感じが気になっていた映画館の近くのプラザハウスの月苑飯店という中華料理店で、チャーハンとラーメンをわけあって食べた。
あらためて月の苑という名前なのも、不思議な雰囲気を放っていた。
店内は戦後から変わっていないような、今ではどこにも見当たらないような調度が、見飽きない。
アメリカ統治時代のモノクロ写真が飾ってあったり。
アジアの、ある植民地時代にタイムリープしたような気持ちにもなる。
心なしか、マダムたちの雰囲気も往年のはなやかな華僑の文化の、優雅なランチにあらわれそうな方たちで、前髪やメガネのスタイルをみるだけでも、昼なのか夜なのかわからなくなる、異国の味わいが、増していった。
沖縄の人たちの間でも、昔から家族でお祝いがあったりしたときに訪れるようなところらしい。
そもそもプラザハウス自体が、戦後米軍の影響下のもと建てられたミッドセンチュリーな空気感が凄まじく、きっと本国でもあまりみられなくなってきているのでは?というくらい美しいつくりをしている。
この建物を歩いてみるだけで、とても、ある時代の沖縄を随所に堪能できるはずだ。
当時のたたずまいが至る所に残っていて、現在のオーナーさんのセンスが抜群なので、美しい要素を残しつつ、新しいものを取り入れていて、その手腕がとても好きだ。
オーナーさんはユウコさんに、美術館を歩いているようなショッピングセンターを目指していると話していたようで、着々とすすめられているのを、行く度に楽しんでいる。
以前ユウコさんの展覧会を見にきてくれたオーナーさんが、オーナメントをふたつ買ってくださって、社長室と、旦那さんのアジアン雑貨のショップに、今もずっと、飾ってくれているようだ。
月苑飯店は、伝統的な古きよき、懐かしい味で、琉球と中国の王朝の交流の歴史をも感じさせる、ある種の深みあるものだった。
地球のどこでも得られない雰囲気料とおもいながら、一年に1度とか、数年に1回、あるいは旅の思い出に、プラザハウスの建物も楽しみがてら、ちょっとだけ値がはるけれど、異世界に来てみるのもいいのでは、とおもえた。
食べ終えてロージャース・フードマーケットを散歩していたら、ばったりグーチーとあう。
グーチーは、最近、朝起きて海にいって泳いで1日をはじめているようで、日に焼けた顔がよりイケメンになっていた。
このフードマーケットも、オーナーさんが世界中を旅しながら、選びぬいているような品揃えで、過ごしているだけで、その喜びが伝わって、しあわせになってくる。
ここは、何度でも来たいエリアだ。
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