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高尾歳時記 2024年6月30日

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天気:曇り
気温:25.0℃(高尾山山頂 09:00)
人出:混雑
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去る6月21日は、二十四節気の夏至でした。一年でいちばん日照時間(日の出から日没までの時間)が長い日です。

日照時間はいちばん長いのですが、一年でいちばん暑い日ではないんですよね。ちょっと興味があって気象庁のデータを見てみましたが(注1)、日本の最高気温歴代20位まで(同順位があるので全部で24件)をみると、ダントツで8月が多くて、約8割(24件中19件)です。

いうまでもなく、この時期は梅雨の時期とかぶるので梅雨明け後の時期と比べれば気温は控えめです。ですが、今年は梅雨の入りが遅く、また、梅雨明けも早そうだという予報がでています。連日暑い日が続いていましたが、金曜日は一日中雨が降り続き、典型的な梅雨寒になりました。

週末雨雲は去りましたが、梅雨時期らしい曇り空となり、気温は30℃を下回って数字的にはだいぶおさまりました。ですが湿度が高く、本日も流れる汗を拭いながらの山行になりました。

高尾は梅雨時期の花が満開を迎えています。今日も花の多いところをめぐってきました。

金曜日に降った雨で小仏川の水量は豊富。
ヤブカンゾウが咲き始めています。梅雨時期の花で、高尾では個体数は多い。新芽や花の蕾は食用になります。
オカトラノオはピーク。ふもとならびに山中のあちこちで見かけました。
オカトラノオはこのように集団を形成することがあります。
メハジキ。明るい草むらで見かけます。
これはネジバナ。ランの仲間で、文字通り、花をネジネジつけるのがその名の由来です。
非常に強い植物で、街中の公園でも咲いていたりします。
ニガクサ。日の当たる明るい草むらで見かけます。
ツユクサをたくさん見かけました。梅雨時期から暑くなるまで、あちこちで見かけます。
稲垣栄洋静岡大学教授著「面白すぎて時間を忘れる 雑草のふしぎ」(三笠書房)によると、植物がさまざまな昆虫の力を借りて花粉を運んでもらうことは知られているが、このツユクサはアブを利用する。アブは美味しい花粉を食べたいが、黄色い花粉と補色関係にあるのは青色である。ツユクサは青い花をつけることで黄色い雄蕊を目立たせ、アブはそれを目指して飛来する。ところが、この雄蕊はダミーである。この美味しそうな偽物の雄蕊には花粉がない。実は、本物の雄蕊は花の下にぶら下がっていて、色も地味で雄蕊に見えない。獲物が偽物であることに気づいたアブが花の奥の方で花粉を探し始めると、本物の雄蕊にある花粉がちょうどアブのお腹やお尻につく設計になっている、ということなのだそうです。
ヒメコウゾの実がたくさんなっています。高尾を含む多摩地方でふつうに自生しています。
ホタルブクロ。高尾では梅雨時期にあちこちでみかけるようになります。このホタルブクロ(Campanula punctata var. punctata)には、ヤマホタルブクロ(Campanula punctata var. hondoensis)という変種があります。ホタルブクロには、萼裂片の間に三角形にそりかえる附属体がありますが、ヤマホタルブクロにはないことで識別します。
こちらがヤマホタルブクロ。萼裂片の間に三角形にそりかえる附属体がありません。
シロヤマブキの花が咲いていました。
ミゾホオズキ。沢沿いの湿った涼しいところで見かけます。
キツネノボタン。梅雨時期に、沢沿いの涼しいところで見かけます。
エゴノキの実が大きくなってきました。
ヤマアジサイはピーク。清楚で大好きな花です。
金曜日に降った雨で、沢の水は豊富です。
降雨後に出現する清らかな、小さな沢の流れ。水の豊かな景色は贅沢です。
フタバアオイ。徳川の御紋の意匠となった植物です。その名の通り一株に二枚の葉をつけるのですが、自然界ではありえない三つ葉の葵が吉祥を表すのだとか。
アカショウマの花がピークを迎えています。
あっ!ミゾソバの花が咲いていますね。お星さまみたいなかわいい花で大好きです。
あれ?ヘビイチゴはもう実りの季節だと思っていたのですが、花が咲いていますね。
ヘビイチゴの実はあちこちでみられます。花との共演は珍しい。
今年はウツボグサの当たり年みたいです。あちこちで見かけます。
テリハノイバラ。ノイバラが終わり、今の時期地面をはうこのテリハノイバラと、蔓性で頭の上でみかけるヤマテリハノイバラが見られるようになります。
山に雲が低くかかって水墨画のよう。
ナンテンハギ。マメ科の植物は基本秋に花を咲かせますが、ナンテンハギは夏の花。
タカトウダイも夏の花。個体数は多い。
ヤブコウジの花が咲いていますね。冬になると真っ赤な丸い実をつけて、クリスマスっぽい装いになります。
ムラサキニガナ。梅雨時期から夏にかけてみられますが、個体数は少ない。少ないのですが、人間の背丈ほどになるので森ではとっても目立ちます。
あっ、ヒメヤブランが咲き始めていますね。夏の花です。個体数は多い。
ガクアジサイ。園芸種のアジサイの原種です。
野山に咲く原種のガクアジサイは森の景色と調和する清楚な佇まいで大好きなのですが、これをめちゃくちゃにかけあわせて品種改良したのが園芸種のアジサイ。不自然にてんこ盛りで花をつけ、醜く朽ちるのが気持ち悪くて好きではありません。
ジャノヒゲの花が咲いていました。
高尾山山頂に到着。富士山方面の遠景。空は雲が厚く、遠くは見えませんでした。
同じく高尾山山頂から、丹沢主脈方面。こちらも雲が厚く、遠景は限定的でした。

(注1)
気象庁HP
各種データ・資料 過去の気象データ検索 歴代全国ランキング

閲覧日:2024年6月30日

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