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高尾歳時記 2023年5月31日(水)

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天気:曇り
気温:17.0℃(高尾山山頂 11:00)
人出:少なめ
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先週は爽やかな晴れの日が多い一週間でしたが、今週は日本列島に台風2号が徐々に接近し、それに刺激されて列島に前線が停滞しまるで梅雨の様な気圧配置になりました。

気象庁は5月29日、九州北部から東海地方が梅雨入りしたとみられると発表しました。梅雨入りしたと「みられる」としているところに気象庁の仕事の難しさがあらわれているのでしょう。

以下、気象庁のHPから引きます(*1)。

気象庁は梅雨を「晩春から夏にかけて雨や曇りの日が多く現れる期間」と定義していますが、そもそも梅雨入り梅雨明けを発表する目的を以下のように説明しています。

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 梅雨期は大雨による災害の発生しやすい時期でもあり、一方、梅雨明け後の盛夏期に必要な農業用の水等を蓄える重要な時期でもあります。また、梅雨期は曇りや雨の日が多くなって、日々の生活等にも様々な影響を与えることから社会的にも関心が高い時期でもあります。このため、気象庁では、現在までの天候経過と一週間先までの見通しをもとに、梅雨の入り・明けの速報を「梅雨の時期に関する気象情報」として発表しています。
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つまり、気象庁の梅雨に関する発表は国民の生命と財産を守るための重要な情報ならびに注意喚起ということ。であれば、「…とみられる」状況でも保守的に広く発信するのは、その任務を忠実に履行しているということですね。ここ数年、梅雨時期の豪雨災害で多数の人命が失われていることを鑑みれば、ゆるがせにはできません。

高尾は初夏の花が盛りを迎えています。とりわけ、この時期を代表するイナモリソウは満開。高尾山では、イナモリソウの標準品種のほかに、花弁が細くまるでお星様のような花をつけるホシザキイナモリソウも観察できます。ホシザキイナモリソウは、放送中のNHK連続テレビ小説「らんまん」の主人公のモデルとなった牧野富太郎博士が高尾山で発見し発表したものです。今年の見頃は、おそらく今週末まででしょう。楽しみにしている方はぜひお運びください。

初夏を告げるマルバウツギの花が終わり、麓ならびに山中ではウツギの花が盛りを迎えています。
この時期沢沿いで見かけるサワギク。個体数はあまり多くなく、見つけると嬉しくなります。蛇滝にて。
蛇滝では、ユキノシタが次々に開花しています。
この時期、日陰の湿った環境でよく見かけます。ウリノキの花。写真のとおり最初は白い棒のようですが、そのあとクルクルとすそを巻き上げて、おしゃれな装いになります。
ヤマアジサイの花が開花していました。清楚なこの姿がアジサイの本来の美しさです。
アジサイは様々な園芸種が流通していますが、高尾ではこのように人間の営みとは関係なく連綿といのちをつないできた原種をみることができます。
公園などに植えられている、外来の種も交え人為による品種交雑で無理やりわざとらしく豪華絢爛にされてしまったアジサイはみるからに不自然。フランケンシュタインみたいで気持ち悪くてダメです。
初夏の高尾はランの季節。サイハイランは比較的多く観察されるランです。
高尾山の初夏を代表する花、イナモリソウ。私を含めて、多くのかたがこのイナモリソウを毎年楽しみにしています。
本日まさに満開でした。見頃は今週いっぱいでしょう。
ホシザキイナモリソウもピークを迎えていました。
素晴らしい!なんて可愛らしいんでしょう。
こちらは花の裂片が6枚の珍しい品種。通常は5枚。

ムヨウランが咲いていました。地中の菌類に寄生する(つまり一方的に栄養を吸い上げる)生態のため自ら栄養素を作る必要がなく、葉もなければ光合成のための葉緑素も退化し失ってしまった不思議なランです。
梅雨に入る前のこの季節が花の時期。
実はこのムヨウラン、とっても人気があって、毎年のことですが通りすがりの皆さんに「咲いてました?」と聞かれました。
こちらも地中の菌類に寄生して、自ら栄養を作る能力は退化し、葉緑素すら持たないギンリョウソウ。 その生態となんともいえない摩訶不思議な姿で人気の花です。
ナンテンハギが開花していました。ハギ系の花は秋がその季節ですが、この種は初夏に開花します。
木イチゴの仲間では最後のほうに咲くナワシロイチゴ。
一丁平のヤマボウシは見頃です。
これは桑(ヤマグワ)の実。甘くて美味しい実で、煮詰めてジャムにするかたもいらっしゃいますね。
テイカカズラは蔓性の植物で、この時期花を咲かせます。高木を伝って高いところまで到達して花を咲かせるので、その存在は地面に散らばった花で気づくことが多いです。
ニシキウツギはその盛りを迎えています。咲き始めの花は白いのですが、成熟すると紅色になります。なので、二色ニシキウツギです。
高尾ではよく見かけるマタタビ。この季節花をつける準備として葉っぱが白く色づきます。受粉のための虫をおびき寄せる効果があるんだとか。
ワニグチソウ。高尾の個体数は比較的少ない。
テリハノイバラはこれから盛りを迎えます。
モミジイチゴの実。食べたことはありませんが、甘くて美味しいんだそうです。
ヤマタツナミソウ。高尾では比較的珍しい。
高尾山山頂に到着。富士山方面。今日は雲が多くて遠景はお預け。
同じく高尾山山頂から、丹沢主脈方面。今日丹沢の稜線は雲に包まれて、眺望は叶わなかったでしょうね。

*1
気象庁HP 知識・解説 よくある質問 雨・雪について
https://www.jma.go.jp/jma/kishou/know/faq/faq1.html

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