見出し画像

企業におけるメンタルヘルス対策

こんにちは。プライムです。
今年(2023年)の10月13日に「令和5年版 過労死等防止対策白書」 が出ました。

精神障害を理由とする労災支給決定(認定)件数は増加傾向にあり、従業員のメンタルヘルスケアは企業規模に関わらず対策が必要なテーマとなっています。

出典:令和5年版過労死等防止対策白書_概要(厚労省)

今回のnoteでは、メンタルヘルスとは何か?会社としてどんな対策を進めていったら良いか?について書いてみたいと思います。


メンタルヘルスとは

メンタルヘルスとは、こころの健康状態を意味しています。

WHOにおけるメンタルヘルスの定義
すべての個人が自らの可能性を認識し、生命の通常のストレスに対処し、 生産的かつ効果的に働き、コミュニティに貢献することができる健全な状態

メンタルヘルス指針(厚労省)におけるメンタルヘルス不調の定義
精神および行動の障害に分類される精神障害や自殺のみならず、ストレスや強い悩み、不安など、労働者の心身の健康、社会生活および生活の質に影響を与える可能性のある精神的および行動上の問題を幅広く含むものをいう。

メンタルヘルス対策に取り組む3つの視点

では、なぜ企業がメンタルヘルスに取り組む必要があるのでしょうか?

経済のグローバル化や情報化の進展、多様な人材の活用など、企業をとりまく環境の変化はめまぐるしいものがありますが、その中でも持続的に成長していくためには、お客様や投資家、取引先など様々なステークホルダーに対して企業として社会的責任(CSR)を果たしていくことが求められています。

そして、従業員もステークホルダーの一人。
従業員が安全に、健康に働けるように配慮し、パフォーマンスをしっかり発揮してもらうことは企業活動にとってもプラスになります。

メンタルヘルス対策については、おもに以下の3つの視点から取り組みが進められています。

法令遵守

法令遵守はCSRの前提となります。
労働安全衛生法をはじめとする労働や雇用に関する法律や指針(ガイドライン)を守ることが求められています。

特に長時間残業やハラスメントが原因でメンタル不調を引き起こすことがあるため、法律を幅広く押さえていくことが求められます。

メンタルヘルスに関連するおもな法令・指針
労働安全衛生法
労働者の心の健康の保持増進のための指針(メンタルヘルス指針)
労働基準法
労働時間の適性な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン
男女雇用機会均等法(セクハラやマタハラに関係)
労働施策総合推進法(パワハラに関係)
高年齢者雇用判定法
障害者雇用促進法

リスクマネジメント

2つめの視点はリスクマネジメント。
メンタル不調による損失を出さない、法違反や訴訟が起きた場合のレピュテーションリスクを回避するといった視点です。

精神障害による労災認定は「心理的負荷による精神障害の認定基準」に基づいて行われますが、長時間労働が行われている場合は心理的負荷が「強」とみなされるリスクが高くなります。

また、会社には労働契約法第5条にもとづいて安全配慮義務が求められており、判例からは従業員の健康管理問題に関して以下が指摘されています。

  • 作業環境整備義務

  • 衛生教育実施義務

  • 適性労働条件措置義務

  • 健康管理義務

  • 適性労働配置義務

これらの義務を果たせていない場合、民法に基づく不法行為責任(第709条、第715条)や契約責任(第415条)、会社法に基づく経営者責任(第429条第1項)などの訴訟リスクが高まります。

活力ある組織づくり

3つめの視点は、生産性や個人のワークエンゲージメントの向上やワークライフバランスの改善を通して、健康で活力ある組織づくりを目指すものです。

いきいきと働ける職場になることで、メンタルヘルスが改善されていくことになります。

メンタルヘルスは予防の施策

メンタルヘルスケアの考え方や進め方は厚生労働省の「労働者の心の健康のの保持増進のための指針」で定められていますが、基本的な考え方は「予防」。

メンタルヘルスについても、「予防医学」と同様の考え方も用いて対策を進めていきます。

一次予防

一次予防は病気にならないために「未然防止」や「健康増進」を中心とした活動で、すべての労働者に関わる施策となります。

ストレスチェックの実施と結果の分析を活用しながら、

  1. 環境面へのアプローチ
    ストレス要因の除去、低減

  2. 個人面へのアプローチ
    従業員のストレス対処

の両面から、改善策に取り組んでいきます。


二次予防

二次予防は「早期発見」と「適切な措置」。
メンタル不調が生じてしまったら、早期に発見して、悪化させないように早期に治療を進めましょう、というものです。

二次予防は、個人だけでなく企業にとっても

  1. 職場の労働力損失を防止する

  2. 企業の社会的責任や安全配慮義務を果たす

  3. より大きな事故やトラブルを防止する

といった視点から必要な対策になります。

三次予防

三次予防は、「再発防止」。

メンタル不調により休業している従業員が円滑に職場に復帰し、再燃・再発しないようにすることが目的の取組みになります。

厚労省が「心の健康問題により休業した労働者の職場復帰支援の手引き」発行していますので、これを参考にしながら適切な措置を進めていきます。

出典:心の健康問題により休業した労働者の職場復帰支援の手引き(厚労省)

おわりに

厚労省が発表した第14次労働災害防止計画にも、企業のメンタルヘルス対策は挙げられています。

しかし、従業員規模の小さい会社になるほど、

  • 何に取り組んで良いのか分からない

  • 取り組みを進めたいがリソースがない

といった課題があります。

メンタルヘルス対策については、厚労省から実務的な手引きも出てきていますし、外部リソースも数多くあります。

自社のリソースや課題に応じて上手く活用していけるといいですね。


ブログ村
 ↑ ブログ村のブログランキングに参加しています。
  よろしければ応援のクリックをお願いしますm( _ _ )m


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?