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ライバーマネジメント事業を立ち上げて4年。長年のアプリ事業からピボットした経緯とは?

こんにちは、PRIME代表の阿部伸弘です。
PRIMEライバーマネジメント事業を軸としたITスタートアップです。
学生時代に起業してから10年、SNS領域でスマホアプリを作り続けてきました。
2017年以降は、ライブ配信者を生み出し育成するライバーマネジメントに特化しています。

ライブ配信についてよく知らない方に向けて業界の情報発信をしています。
そもそもライブ配信とはという方は第1回をご覧ください。

前回はライブ配信を視聴している人がどんな人かについて書きました。

本日は、ライバーマネジメント事業の成り立ちや経緯について書いていきます!

学生時代にアプリで起業

漠然と「世の中を良くしたい」という思いが昔から強くあり、早稲田大学の議員サークルに入ったり、海外インターンのNPOであるAIESECなど真面目なサークルに所属していました。
カナダに留学中に、周りが既にFacebook・Twitter・Whatsappでコミュニケーションを取っていて。衝撃が走りました。
今後スマホやSNSが世の中を良くしていくだろう!と思い立ち、facebookを超えるSNS分野で起業すると決心して途中で日本へ帰国しました。
今思い返せば高校時代、2ちゃねるが好きだったり、コミュニケーションが苦手でもSNSやチャットツールで文字にすると「自分の考えがうまく人に伝わる」と感動した過去もあったので、ITやSNSは元々興味分野でした。

大学在学中に起業し、2年ほどビジコンに出ながらアプリを作っては壊しを繰り返し、2012年6月にプリクラ版instagramの「DecoAlbum」をリリース。これで無理なら会社を畳んで就職も視野に入れようと。
結果的にDecoAlbumは500万ダウンロード、100万MAUまで伸ばすことができたので、起業家としての道を続けることになりました。

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2013年には米国のアクセレレーターであるY Combinatorに応募しました。
一応出してみるか、という気持ちで募集終了5分前に提出したら通過して。
当時の合格率は0.5%くらいだったと思います。
スタートアップを志す人なら誰しもが憧れるYC、嬉しかったです。
結果としては最終選考で落ちてしまって。アメリカまで行ったのに…という悔しさからプログラムの中身を徹底的に調べました。

そして2014年、「Winker」という日本版SnapChatのようなアプリを作りました。
1億調達してマーケティングに注力したり広告打ってみたり、何名かのエンジニア社員と一緒に頑張っていたんですが、全然うまくいかず…
お金では解決できないことばかりで、正しいことに投資できていませんでした。
その後もアプリは儲からない、ビジネスモデルがないとされていて、難易度の高い仕事をしている実感はありました。
周りの起業家もみんなアプリから離れ、キュレーションメディアに流れていきました。

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試行錯誤の2年

2015年末でWinkerを辞め、2016年はポケモンGoのアプリや掲示板をつくったりと自分で思い返してもかなり迷走していました。
2017年1月からの半年間はマネタイズが難しいSNS分野はもう嫌だ!と思い、マネタイズの可能性がありそうなものには何でもチャレンジしていた期間でした。
メディアの立ち上げ、インフルエンサーマーケ、ライブコマース、キュレーションメディア、D2C、育毛剤のOEMなんかもやりました。
当時エンジニア社員が3名いたのですが、感謝しかないです。

またアメリカに移住するか、日本に残るか悩んだ時期もありました。
スタートアップと言えばアメリカ、また国柄が自分に合っていたこともあって、アメリカでアプリを作りたい。
実際に行って思ったのが、アメリカ人の暮らしや気持ちの肌感がない中でのプロダクトづくりは難しいなと。
やるなら本気で移住しないと無理だし、感覚を掴むまでに時間を要すると分かったので、やはり日本でやることに。
最終的に創業以来7年続けてきたSNSアプリの開発を辞める決心をしました。
今度はSNSとアプリの経験を活かして、SNSのマネジメント事業をやってみようと考えました。

ライバーマネジメントへのピボット

2017年、インフルエンサーマーケが流行していたことからYouTubeやInstagramから始めました。
当時YouTubeやInstagramは案件紹介する営業の役割が強く、インフルエンサーを教育、生み出すことが本質的だなと。
自身でAdobeのソフトを使って動画編集したり企画も上げていました。
流行るコンテンツがトレンドに乗っている形で再現性がないように感じていたところ、2017年に現在Pocochaの事業責任者をしている水田君から誘いがあり、他ライブプラットフォームからの誘いもあったことから、当時存在していたライブプラットフォーム全てと打ち合わせをさせていただきました。

最終的にはPocochaが国内や世界で圧倒的に伸びる次世代SNSだろうという見通しと、3~4年後にはアメリカ進出するだろうと思いPocochaに決めました。
ライブ配信の中でもPocochaは最もデータマネジメントが実現できそうで、これまでのアプリ開発~分析の知見を十分に活かせると確信できました。
またライブ配信はアメリカよりもアジアの方が進んでいるので、比較優位を持ってアメリカ進出できる可能性も感じました。

0からの事業スタート

ライバーマネジメントはこれまでのアプリと違う難しさに直面しました。
一番は利用者のターゲットが多すぎること。年齢や職業を問わず誰でもなれてしまいます。
ライバーの意見が人によって異なって聞こえるので、再現性が見えずらいんです。
ライバーマネジメントに再現性がないと感じて撤退する会社があるのも理解できます。
更に難しいのがリスナー。これまで経験してきたアプリ利用者の年齢層よりもかなり上で、どういった気持ちになるかが分かりづらい。
事業開始当初からリスナーの方にはオフ会でお会いしていて、今もリスナーインタビューは頻繁に実施しています。それでもまだまだ理解が足りないなと感じます。
ライバーとリスナーにヒアリングをし続けて分かったことは、悩みが共通していて、その課題がリアルのコミュニケーションと近くて複雑であること。
競合事務所は複数のプラットフォームに事業を展開していましたが、ライバーとリスナーの間の課題を解決するために、1つのプラットフォーム(Pococha)に特化する必要がありました。
この課題を解決するためなら何だってやりたいなと考えています。

2018年12月に資金調達をして社員を増やすことになってからは、自分基準で考えていたものを組織として大きくしていこうと決意しました。
事業を開始して以来、DeNAの方にも力を貸していただいたり、優秀な業務委託の方からインターン生まで、社員以外にも多方面の方に支えられてきました。

またY Combinatorでの知見やこれまでの失敗により、定量分析と定性ヒアリングがどちらもプロダクトづくりには欠かせないと分かりました。
定性ヒアリングは「変なこと言われたら嫌だな」「面倒くさいな」という思いが出てきて、重要と知っていてもやっていない人や、上辺だけのヒアリングになっていることが多い。
ユーザーと会って、Why?の部分をひたすら聞いて2~3時間は話し続ける。
何人か深くヒアリングし続けると、共通項が見つかってきます。

創業者は真実に向かう人としてこの行動やるべきで、サービスを一番理解する人でなければいけないと考えています。
ユーザーを見て、ユーザーの課題を特定して、正しく解決する 。
社員にもこういった経験をしてもらいたいと考えた結果、会社全体に顧客志向と0→1文化が浸透したように思います。

2017年以降、経営する中で後悔は多々ありますが、Pocochaに絞って注力することに一度も迷いはありませんでした。
実は先日、老舗のライバー事務所の方から「ついにあのPRIMEさんが他プラットフォーム始めるんですね」と言われたんです。
Pocochaに注力してきた長い時間があるからこそ、本気でユーザーと向き合えました。

転職を検討している方へ

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これまで「この市場が伸びる、世界的なプロダクトになる」と予見はできるものの、どうやってビジネスにして大きく経営していくかが課題でした。
winkerは消える動画チャットでSnapchatとInstagramのストーリーと同じアイディア、Decoalbumも似たような発想。マーケットはあったはずなんです。
ある人に、「阿部は望遠鏡みたいな目を持ってる。月はくっきり見えるけど、近くの景色はぼやぼや見えている。」と言われました。
細かいプロダクトの設計や、理想を具体的な事業計画に落とし込んで実行していくことは苦手です。

自分一人でやってきた時間が長かった分、できないことに気づくまで時間がかかりましたが、今は勝ち切ってくれる組織と人材が必要だと気づいて、社員を信頼したい・任せたいと強く思うようになりました。
2020年までは現場に入りながらユーザーを追及するダブルスタンダードで動いていましたが、今年から権限委譲して、今はファイナンス、ブランディング、採用に注力できています。
この事業は自身の集大成としても絶対に成功させたいので、このチャンスをものにしたいです。
事業拡大に強みをお持ちの方と一緒に会社を大きくしていきたいので、興味を持っていただけたら嬉しいです!


最後まで読んでいただきありがとうございました!
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次々新着記事を書いていきますので、フォローもいただければ幸いです!

次回は、どんなライバーマネジメント会社があるかについて書きたいと思います!


※引用:Y Combinator
2005年に米国シリコンバレーにて設立された、世界最高レベルの起業家育成プログラム。 年2回、世界中からスタートアップを募集・厳選し、少額の出資(12万米ドル)を行なったうえで3ヶ月間集中的に事業開発指導を行う。このほか、YCパートナーからのメンタリングやYC出身起業家とのディナーなどを実施。プログラム終了時には、厳選された投資家が集まるDemodayで成果を発表し、さらなる事業展開を目指す機会を提供。 過去にDropboxやAirbnbなど、現在世界で最も注目をあつめるスタートアップ企業を輩出。

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