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ライターとして取材前にやっておくべき下準備の話


取材前に、対象について説明できるくらいの情報を集める

「取材する前に相手のことを調べよう!」というのは、ライターならば誰もが行っている準備だと思います。

が。

意外とやらない人が多いのかも、というのが私の感触。

例えば。超有名和食店のオーナー料理人に取材する機会があったとき、その人が発行する本を読み、ネットで調べられる情報はあらかた目を通して挑みました。私が事前リサーチで見聞きした情報を交えて質問をすると、

「ちゃんと調べてきて偉いですね〜。『なんだっけ、和食ですか?』みたいな姿勢で取材してくるライターさんも居ますよ」

と言われました。

ただ私は「情報がない状態で会話を盛り上げられるほどのスキルがないから、不安でしょうがないので調べる」という負の出発点を持つ身でもあり。そんな強気な人がいるのかと驚いた記憶があります。が、「調べていく」だけで、ライターとして個性の一つになるのだなと認識しました。

元々は地域情報誌を作っていたので、カフェやランチ取材経験が豊富

調べていく姿を見せると、困っている時に助かる

その後も新しいクライアント、新しい取材先、新しい情報を前に「とにかく30分でもいいからホームページや情報サイトを読んでからいく。さらにできればプリントアウトかノートにメモしたものを持っていく」という、自己保身のための事前リサーチを続けていました。

→取材現場でメモしたノートやプリントアウトを見ながら話していると、「見てきてくれてありがとうございます」と毎回言われるので大事だなと思います。

さらに、いいことに気がつきます。

ある時、取材対象のクライアント男性が「なぜかすこぶる機嫌が悪い」状況で取材することになりました。直前に嫌なことがあったのかも(別の機会でお会いした時はニコニコでずっと上機嫌だったので)。その状況で取材を始めるとなんだか受け答え全部の語気が強く。

「うちのホームページ見てないの?」

と言われ、ああ今回は全ページ読めるほどの時間はなかった(だから見ていない)としゅん、とした後。

同行した営業マンから「あなたでさえああ言われてしまうならしょうがない」とコメントをいただいたのです。

つまり私は「いつもちゃんと調べていく人」の肩書きを得られている点で、信頼を失わずに済んだとも感じました。

ただ、この時は取材の話の進め方にも問題があったと反省して、次回から「会話の出だしはこうしよう。概要をこういうふうに説明して進めよう」と会議をして終わりました。

人って何度学んでも、時間が経つと忘れるんだよねと日々感じます

調べたことを語るだけで終わらないように

ライターの仕事にはHPや他の情報サイトからデータを拾い、文章表現を変えるためのリライトと文字量調整だけで完了するような業務もあります。

なので、取材する上では「事前リサーチ情報だけでも書けそうな原稿で終わる」ことがないように気を配ります。

その昔会社員だった頃、上司の編集者が原稿チェックする時間が恐怖でした。何度全変更(文章全部書き直し)したことかわかりません。さらに上司が外部ライターさんが書いた原稿を見て、「これじゃあHPの情報止まりだよ。わざわざ取材に現地へ行った意味がない。書き直してもらって」と同僚に指示を出しているのも見聞きしてきました。

当たり障りのない、表面的な情報の羅列では対面取材をする意味が生まれない。

もう一歩先のことを私たちは知りたい。

だから、ネットで見聞きできる情報は会話の入り口でしかないのです。取材で探るべきなのは、ChatGPTに質問して返ってくる深度よりも奥深い情報。なかなか短時間でそこに到達することは難しいかもしれないのですが。

でも、「これでいいや」を続けて質が落ちていくことこそが避けたい現実。限られた情報と限られた時間の中で、本質を引き出すための取材。

それができるように毎日、目と耳と鼻と肌と口のすべてをフル稼働させて体感することを意識しています。


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地方の出版社を経てフリーの編集ライターとして活動しています。
○地方でライターの仕事を続けるには
○単価アップを叶えるには
○そもそもライターってどんな仕事?
○編集の視点とライターの視点の違い
などについて、自分なりの解釈をしていきたいと思っています。


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