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【異例の快進撃】ZOOMの快進撃は偶然ではなかった。その背景にあったものとは。ZOOMについて調査してみた!

こんにちは!PreVenture編集部です!

コロナをきっかけにリモートワークも浸透しました。そこで何気なく使ってるZOOMですが、日本でもここまで多くの人に利用され、海外でも多く利用されているプロダクトは他にあまりありません。

コロナが理由で広まったように感じるZOOMですが、実はそれ以前から着実にユーザーを増やしていたのです。ZOOMの快進撃の裏には、秀逸な成長戦略がありました。今回はそんなZOOMの成長戦略について解説します!

ZOOM社の全容

2011年に設立されたズーム・ビデオ・コミュニケーションズ(ZVC)社は、アメリカ、カリフォルニア州サンノゼに本社を置いています。「ビデオ コミュニケーションで日々の業務をよりスムーズに」をビジョンに掲げ、事業を展開しています。

ZOOM社は、「私たちの会社、お客様、コミュニティ、チームメイト、私たち自身を大切にする」という価値観、「Delivering Happiness」を文化に掲げ、お客様に寄り添った会社です。

データで見るZOOMの快進撃

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2020年のコロナショックを皮切りに、一気に株価が上昇した「ZOOM」。2013年に発表された通信プラットフォーム「ZOOM」は、最初の1ヶ月で40万人が登録しました。

現在では、70万社以上に利用され、毎日3億人以上が利用しています。2020年の1年間で、ZOOMのモバイルアプリが4億8500万回ダウンロードを記録。2021年度第3四半期のZOOMでの年次会議の議事録数は3.3兆を超え、前年同期と比較して3300%増加しました。

過去2年間で、ZOOMの四半期収益は732.07%増加。2021年第4四半期は、8億8200万ドル、日本円にして約1020億円にも及び、こちらも前年比約400%増加を記録しました。

2019年4月には、アメリカナスダックに上場。初値は36ドルの公開価格を大きく上回る65ドルを記録し、IT企業では異例の黒字上場となりました。

ZOOMの機能面での競合優位性

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「ZOOM」の始まりは、CEO Eric S. Yuanが務めていた会社でエンジニアとして開発に携わったシステムに顧客の誰も満足していなかったことを知り、ショックを受けたことからでした。Yuanと共に約35人のエンジニアが退職し、「顧客が満足できる」ことを目指したビデオ会議ツールの構築を目指しました。

その精神から、とにかく顧客の声に耳を傾け、改善を重ねています。ZOOMは、アカウント不要でワンクリックで接続できます。接続が切れてもサーバー上で録画してくれるクラウドレコーディング機能も搭載しています。

さらに、他の通信サービスに比べ接続が安定。ZOOMのデータ通信量はスカイプに比べ1/10ほどと容量の問題で通信環境が悪くなることはありません。さらに世界各地に拠点を置くことで、海外との接続でも遅延せずスムーズに行うことを可能にしてます。

その他、スクリーンシェアで画面を共有できたり、ホワイトボードを共有すれば複数人で自由に書き込むこともできます。ブレイクアウトルーム機能を使えば、大人数をグループに分けることができるなど多機能。使い方次第で様々な場面での活躍が期待できます。

このようにユーザーからの声を、プロダクトに反映することに注力し続けた結果、他を凌ぐプロダクトになりました。プロダクトファーストの姿勢が、ZOOMの競合優位性を築きました

ビジネスモデルが爆発を後押し

さらに、ZOOMの快進撃には、そのビジネスモデルの後押しがあります。

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〇フリーミアムモデル

ZOOMはフリーミアムモデルと呼ばれるビジネスモデルを採用しています。フリーミアムモデルとは、基本的なサービスを無料で利用できるもので、ゲームアプリで多く活用されています。

ZOOMも、基本的には無料で利用できます。1対1の対話では何回でも時間無制限。3人以上では40分以内であれば永久無料で利用できます。

しかし、毎回40分で切れるのは不便なため、会社の会議など複数人で利用したい場合にはビジネス版にグレードアップすることで使える機能が拡充されます

こうしたフリーミアムモデルを採用したZOOMは、無料でユーザーを集め、そこから有料アカウントに流すことで売上を上げていきました。

〇バイラル・マーケティング

さらに、既存の利用者の口コミにより指数関数的にユーザー数を拡大していくバイラル・マーケティングを用います。

既存のZOOMユーザーは非ユーザーに対して招待リンクを送り、ZOOMを利用する。こうすることで、非ユーザーをユーザーをとして獲得できます。バイラル・マーケティングは、広告費を抑えることができるため、広告宣伝費を抑えた上で売上を上げることを実現しました。一定のユーザーに利用されるようになると非常に効果的な方法です。

ZOOMは、フリーミアムモデルとバイラル・マーケティングを採用したことでプロダクトの開発に注力しながらも、爆発的にユーザー数を伸ばし、膨大な利益をあげた良い事例となりました。

初期はエンドユーザーの獲得に重点を置いた

同じサービスを使う顧客の数が多いほど、そのサービスから得られる価値が増加します。これを、ネットワーク外部性と言います。ZOOMはこのネットワーク外部性を上手く利用します。

ビデオ会議を行う際に、ZOOMを利用する人が増えれば増えるほど、ZOOMを利用するようになり、結果的に雪だるま式にユーザーが増えていくのです。

このネットワーク外部性を活かすために、ZOOMはまず初めにエンドユーザー獲得を進めました。そしてエンドユーザーから広がりを見せ、ZOOMの認知を十分に獲得した上でエンタープライズ顧客にアプローチしたことで、ZOOMのさらなる飛躍につながりました。

実際に、ZOOM社はまず初めに、アーリーアダプターの獲得に重点を置きました。そこで、アーリーアダプターが多く在住するシリコンバレーに目を付け、シリコンバレーを横断するRoute101に1枚の大型看板広告を設置するなど、広告宣伝費に大掛かりな投資を行っています。結果的にZOOMの名前とロゴは、知れ渡ることに。無事、アーリーアダプターの獲得に成功しました。

このようにZOOM社はまず初めにエンドユーザーの獲得に重点を置きました。これにはZOOMのプロダクトが企業だけでなく、個人単位でも利用できる点も影響していると思われます。自社のプロダクトの強みや特徴を活かした戦略となってます。

快進撃を支えた成長戦略

無料でZOOMを体験してもらい必要に応じて、ユーザー自身に有料プランを登録してもらう事でZOOMは売り上げを伸ばしています。

このようにこちらから営業やマーケティングを行わなくても、その機能をプロダクトに内包させることで、自動的にプロダクトを伸ばす方法をPLG戦略(PLG=プロダクト・レット・グロース)と言います。営業やマーケティングをプロダクトが行うように設計することで自動的にユーザーを増やす方法です。このことによりZOOM社のメンバーはプロダクトの開発に注力することができます。

このような、選択と集中により、着実にユーザー数を増やしていきました。多くのユーザーは、ZOOMの優れた性能を体験し、継続的に利用。40分では物足りなくなったユーザーは有料版へとアップグレードすることで、利益をあげました。

実際に、ZOOM社は創業から4年後の2015年、個人のユーザー(SMB)をある程度、獲得した時点でエンタープライズ領域に進出。ユーザー数と売上は一気に右肩上がりを遂げました。コロナ禍で偶然に伸びたかに思われていたZOOMですが、戦略的に展開した結果、確実にユーザーを確保できたのです。コロナはあくまでZOOM社を後押ししたに過ぎません。

グローバルな開発・生産・販売体制 

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アメリカで生まれたZOOM社は、今では全世界で利用されています。世界的経済誌であるForbesをはじめ、楽天LINEなど日本企業でも導入されています。

また全世界のニーズに対応できるように、各国の市場規模や特徴に合わせている点もZOOMの優れた点です。日本を例にあげると、日本では他国よりもより質の高いサービスが求められます。ローカルレベルでの対応を可能にするために、販売パートナーとしてSB C&Sと契約するなどしています。さらに、NECネッツエスアイと提携を結ぶなど中堅中小企業や日本全国各地への展開を強化しています。

ZOOMの今後

リモート会議システムの需要は、今後も増えていくことが予想されます。その中でもZOOM社は、世界トップシェアを誇ることでしょう。ただ、2019年に起こったサーバー問題やセキュリティ問題が指摘され、課題があるのも確か。今後もZOOMが勝ち続けるためには、緻密な戦略と時代に合わせた適応力が必要となるでしょう。

まとめ

いかがだったでしょうか。今回はZOOMの成長戦略についてまとめてみました。初期は個人のユーザーを中心にアプローチする、プロダクトファーストの姿勢、PLG戦略による売り上げの確保などが特筆すべき点がいくつもありました。

リモートワークの浸透により、何気なく使っているZOOM。他にも何気なく使っているサービスの裏側には、企業の思いや、戦略が隠れています。ぜひご自身でも調査してみてください。面白い発見が得られるかもしれません。

最後に。。。

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