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第4回 「Pre-sent 予め贈られている私たちの現在」のタイトルについて(丸山→大澤)

こんにちは。大澤さんからの第3回で、私に対しての宿題が出ていました。昔は宿題はやらないタイプだったのですが、大人になった今、せっかくなので今回は少し宿題に答えてみようと思います。
*宿題が出た第3回の大澤さんのnoteはこちら→https://note.com/pre_sent/n/nd7e9e32258d2

[往復書簡のタイトルに関して]


改めて読んでみると往復書簡にしてはなんだか不思議なタイトルです。この往復書簡の企画を始めるにあたって、何度かオンラインでミーティングを重ねてきました。その中でインプットの量は多いのにアウトプットの機会が少ないので、その熱量を交換していくような内容にすること、隔週に1回アップの往復書簡のスケジュールなどが決まっていきました。

エッセイを書くつもりはないのだけれど、読書についてやミュージアムについて、食事や料理などなど、さまざまなテーマで書簡を書いていくこと。お互いの行為としてオープンな場所で書簡を交換してみること。そうすることで何が生まれ、何が始まるのかはわかりませんが、まずはあまりテーマも決めずに雑文としてスタートしてみることにしました。雑文なので専門的になりすぎず、ゆるくてもいいので始めること(とは言えどちらも実際には専門性の高い仕事をしているので、専門的な内容があってもいいはず)。

そう言えば「雑」という言葉も気になりますよね。一文字だけだとあまり良い印象を受けないのですが、「雑貨」「雑誌」「雑穀」「雑草」とか、なんだか「雑」という字が入った言葉には「雑」以外には言い換えの効かない不思議な魅力があるような気がします。他にも「雑炊」とかも、なんだか文字を見るだけで想像できる味がありますよね。この往復書簡もそういう雑な味も取り込みながら楽しんでいきたいものです。


[記事を通じて贈り物を届けるということ]


さて少し脱線してしまったのでタイトルの話に戻します。一人で書簡を書くのではなく、往復書簡、つまり二人で書簡のやりとりをすること。これはこの企画のテーマとして重要なポイントとなっています。一人でブログやnoteを始めることはできるけど、あえてそうはせず東京は国立市と北海道の札幌市というかなり距離の離れた二人で始めることで、普段は会うことにない友人にお互いに贈り物を届けるようなイメージです。

そもそもデザインってまるでそれ自体が贈り物のようだなと考えています。私が普段関わることの多いミュージアムショップのアーティストのグッズデザインは、そのアーティストや作品を愛する人へのプレゼントのようなイメージでつくっています。美術館の展覧会広報デザインや作品集なども同じ気持ちです。よく言われますが、プレゼンテーションってプレゼントからきているので、まぁそのままなのですが。
個人的に消費のためだけのデザインの時代はとっくに終わったと思っているだけで、色々なデザインに対する考えがあるのでこれはあくまでも私一個人の考えですが。


[Pre-Sent 現在と過去、時間軸について考えること]


「プレゼント」という言葉が出てきましたが、タイトルではPre-Sentとなっています。ここではダブル・ミーニングとして使われていて、下記の意味になっています。
―――
Pre =あらかじめ、前もって
sent =贈られた 渡す・贈るsendの過去形・過去分詞形

―――
つまり現在(今)【Pre-sent】とは「前もって贈られていた」もの。あらかじめ贈られていたもの。

私たちの過去の時間が現在へと地続きになっていて、今この瞬間があらかじめ決まっていたのだなと思うことありませんか? もちろん現在に至るまでの選択をしてきたのは自分なのですが、同時にこれまで自分が動いてきたことから自然といまに結びついているような、そんな感覚に陥ることは少なくありません。
受動的になってしまうと物事は進んでいきません。能動的に動いていくことで、自分の選択した行動が現在からつながっていき、いつもその先の未来へと連れて行ってくれます。

この往復書簡がどうなっていくのか、この時点では全くわからないし、それなりに時間も負荷もかかります。でも、未来へと進んでいくためにはこの適正な負荷を受け止めながら、楽しんで続けていこうと思っています。なんだか抽象的な話となってしまいましたが、これで大澤さんからの宿題を終わらせることにします。



プレゼントを選ぶ時間が好きな丸山より


丸山晶崇(株式会社と)
東京都生まれ。デザインディレクター/グラフィックデザイナー。2017年に株式会社と を設立。地域の文化と本のあるお店『museum shop T』や、千葉市美術館ミュージアムショップ『BATICA』など、ショップの企画・運営もしている。アート関係の仕事や地域の仕事を進めると共に、公開制作・展示・アーティストとの共同企画など幅広い活動を続ける。「デザイナーとは職業ではなく生き方である」をモットーに、デザインを軸にしたその周りの仕事を進めている。長岡造形大学非常勤講師。

大澤夏美(ミュージアムグッズ愛好家)
1987年生まれ。札幌市立大学でメディアデザインを学ぶ。在学中に博物館学に興味を持ち、卒業制作もミュージアムグッズがテーマ。北海道大学大学院文学研究科(当時)に進学し、博物館経営論の観点からミュージアムグッズを研究し修士課程を修了。会社員を経てミュージアムグッズ愛好家としての活動を始める。現在も「博物館体験」「博物館活動」の観点から、ミュージアムグッズの役割を広めている。

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