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広報ブランディングのすすめ vol.2~メディアって怖い存在?

メディアって怖い存在?

通常、友人や知人でもいない限り、実際にメディア関係者に会ったことがあるという人は多くはないと思います。

そのため、日ごろの報道などを見ていて「ニュースがあるとドッと押し寄せる」とか「厳しい質問をどんどん投げかける」とか、メディアのことを得体のしれない怖い存在に感じてしまいそうです。

正直、私もメディアは怖い存在だと思っていました。

初めて新聞記者の方にお会いして「◯◯新聞の△△です」と名刺を渡された時は、かなり身構えた記憶があります。

というのも、メディアに対する苦い記憶があるからです。

強烈なバッシングの記憶

私が長く携わってきた人材サービス業界には、ずっと良くないイメージが付きまとってきました。特に、人材派遣業界は“年越し派遣村”や“派遣切り”といった言葉のイメージと相まって、強いバッシングを受けました。

バッシングのきっかけとなったのが、当時行われた一連の報道です。仕事と住む場所を失い公園に集まった人たちの様子がメディアによって連日伝えられたインパクトは凄まじく、リーマンショック⇒雇用不安⇒派遣社員の失業、という図式が世の中に強烈に印象づけられていきました。

人材派遣業界としては、それらのバッシングに対して反省すべき点がたくさんあったことは事実です。その一方で、何とかして雇用を守ろうと奔走していた業界関係者がたくさんいました。バッシングで深く傷ついた派遣業界関係者や派遣社員の人たちもいました。

しかし、それらの情報をメディアが伝えることはありませんでした。報道されたのは、人材派遣業界の良くない面ばかり。

「なんでメディアは実情を公平に伝えないんだ!」

私の中にはそんな怒りの感情が強く、「メディアは怖い」「メディアは偏った情報を流す」といったイメージが植えつけられ、当時はメディアのことが大嫌いでした。

しかし、広報に携わるようになって、新聞・テレビ・雑誌など何百人ものメディア関係者とお会いする中で、いまやその印象は完全に変わっています。

“情報発信”という社会的責任

それは、記者さんやテレビ局のディレクターさんたちとお会いする中で情が湧いてきた、という馴れ合いから来る変化ではありません。

好きとか嫌いとかの感情で見ることがなくなって、「どんな業界も課題を抱えているんだな」という印象に変わったのです。

また、多くのメディア関係者とお会いする中で、さらに重要なことにも気づきました。

それは、人材派遣業界が一方的にバッシングされたのは、人材派遣業界自体にも責任があったという点です。

その責任とは、人材派遣業界側がメディアに対して充分な情報提供をしなかったことです。情報がなければ、メディアは推測を交えて伝えざるを得なくなります。

「メディアは怖い」「メディアは偏った情報を流す」

そんな先入観に囚われ、また一連のバッシングによる恐怖心から萎縮してしまい、人材派遣業界全体が情報発信することに消極的になっていました。内部にいたものとしてはその感情は良く分かるのですが、結果、“自分たちが知る事実を世の中に伝える”という社会的責任を果たしていなかったのです。

ただ、中には偏った報じ方をしようとしていると感じるメディア関係者もいます。しかし、だから情報発信しないというスタンスをとるのは、メディアはすべて偏った報道をするという決めつけでしかありません。

そんな決めつけに陥らないために、まずはメディアのことを知ること。その最前線に立つのが、広報担当者なのです。
(次回へつづく)


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