手の届かない場所
駅で電車を待っていた。
片手に飲み干した後の、空のペットボトル。
反対ホームにはゴミ箱があった。
思いきり投げる。
線路の頭上を越え、
ペットボトルがゴミ箱に入り、ガッツポーズ。
そんなバカげた妄想をしていると、
線路の脇にゴミが落ちていることに目がいった。
さらに、その奥、
ホームの下にできた空洞にたくさんの量の
ゴミが溜まっていることに気づいた。
意識を向けないと気づかなかった。
一見すると綺麗なこの街にも、
そんな場所がある。
「あぁ、そこまで手が届かないんだなぁ」
ふと思った。
その光景をどこかで見たことがある。
ここはフィリピンの川。
日常のすぐ隣にある川だ。
川だけじゃない、街中にもゴミが転がっている。
日本の、駅のホームの下の空洞は、
フィリピンでは日常的な光景だ。
「あぁ、そこまで手が届かないんだなぁ」
途上国は先進国の下の空洞と化している。
世界に気づかなくていい場所なんてない。
気づかないふりをして、放っておくのではなく
僕らは、そこまで手を伸ばすべきなんだ。
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