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DXがデラックス化にならないために小さな会社の広報はインプットとアウトプットだけ押さえておく【kintoneではじめた広報業務改善の記録 vol.02】

こんにちは! デジタルとアナログの間で楽しく仕事をしていたい、加藤葉子です。退職によってkintoneとともに担当していた広報戦略を離れることになったため、kintoneではじめた広報業務改善の記録を残しています。

*kintoneではじめた広報業務改善の記録*
2022年夏、ひょんなことから広報戦略を担当することになりました。 1年後、全社に導入されたkintoneひとり広報ととても相性が良いことがわかり、kintoneで広報業務の業務改善をはじめることにしました。2024年3月末で退職するまでの約8ヶ月の記録を綴ります。

前号では《人を巻き込まなければ業務は可視化されたとは言わない》というお話をしました。これを読んでくださったkintoneパートナーのギボンズさんが「見える化」は「見せる化」という記事を紹介してくれたのであわせてぜひお読みください。

今回は《DXがデラックス化にならないために小さな会社の広報はインプットとアウトプットだけ押さえておく》という話をしたいと思います。


1.小さな会社の広報業務の実情

まず小さな会社が置かれた実情について整理してみたいと思います。が、私は他の会社を知らないので、かつての所属先である「都内の小さなITソリューション企業」の例でお伝えすると、こうです。

  • 実務担当が営業を兼務しており組織的な広報活動をやってこなかった。

  • 代理販売が主事業なので自社独自の広報活動に制約があった。

  • うちもそろそろSNSをはじめてみよう!から広報活動がスタートした。

  • ひとり広報。担当はパートかアウトソーシングで補う。 などなど

こうした状況のなかで広報戦略プロマネを任されたので、一般的な広報戦略に関わる書物を読んでも自分ごととして捉えるのに知識と経験まったく追いつきませんでした。例えばよくいわれるAIを使ったプレスリリース作成なども、私たちにはほど遠い存在でした。

2.自社の実態にあった広報戦略を

広報の知識も経験もゼロの私が、見よう見まねで広報戦略を進めていくなかで最初に気づいたことは、広報活動はインプット(情報を集める活動)とアウトプット(情報を発信する活動)の2つにざっくり分けられるということでした。それに気づかず1.であげた違和感を棚に上げて、教科書どおりに広報DXを進めていたら、おそらくデジタルツールばかりが増えるデラックス化につながっていたことと思います。そこでまずはこれから行うべきことをインプット・アウトプットに分け、具体的な作業を洗い出していくことからはじめてみました。こうした指差し確認のような作業をひとり広報として行うことにkintoneはとても相性が良かったのです。

3.広報の課題とkintoneによる解決策

インプット側

業務担当者ごとに営業資料を作っていたので、それにより商品・サービスから社の強みに至るまで従業員によって微妙なニュアンスの違いが生じていました。そこで備忘録として社内に眠る資料をかき集めて、情報をkintoneに集約させる作業をしました。結果的に、集まった情報を精査して完成したのが『営業トークQ&A』になります。

“広報活動を通して発信したキーワードや文章を集約して営業活動向けのトークシナリオ集にまとめたアプリが「営業トークQ&A」です。当初は、広報活動用の備忘録でしたが、営業活動の均質化を図ることや、新入社員向けの研修資料としても用途が広がりそうです。”

3.営業活動サポートに役立つアプリ 『営業トークQ&A』

アウトプット側

コーポレートサイトの更新作業は自社でやっていましたが担当者も依頼フローも定まっておらず、その時々によって口頭だったりチャットだったりと場当たり的な流れが浸透していました。そこで『コーポレートサイト更新依頼』を作り、交通整理を行いました。なお、このアプリは状況に応じて改変を重ねていったので、業務改善の上で学びの多い経験となりました。

“他業務と兼務でコーポレートサイトの管理を行なっている担当者と、スムーズにやりとりするために作ったアプリが「コーポレートサイト更新依頼」です。運用していく過程で依頼内容の変更や追加が頻発することがわかりましたが、コメント機能が円滑なコミュニケーションをうまく補完してくれています。”

2.自社サイト運用管理に役立つアプリ 『コーポレートサイト更新依頼』

まとめ

少し話はそれますが、はじめて経験する広報戦略とkintoneに同時に挑めたのは、私自身がデジタルとアナログの間で生きてきた世代だということが大きいように感じています。良くも悪くも、痒いところに届かないデジタルの穴埋めをアナログでやろうとする癖が抜け切らないことが、結果的にそうさせているのでしょう。「ゼロとイチの間にある無限の広がりをこれからも存分に楽しんでシゴトをしていきたい」と改めて噛み締めている今日この頃です。