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vol.4 育つために 育てるために

[NOSAIぐんま 2004-2005 SUMMER vol.81(12・1月号) 掲載]

 冬が深まる季節になると、亡父とともにスケートを楽しんだ思い出がよみがえります。その頃は横浜に住んでいて、「子供の国」のスケートリングへ毎週のように出かけていました。手ほどきのないスケートがすこし上手くなったのは、オリンピック選手だったジャネット・リンさんのおかげでした。

 札幌での冬季オリンピックの開幕式、リンさんは聖火を掲げ、競技場をゆっくりと滑っていました。テレビ画面に映る美しい姿をじっと見つめていた私は、瞳のスクリーンにその姿を焼きつけました。そして翌週、スケートリンクでリンさんの足の運びを真似してみました。驚くほどスムースに滑ることができました。モデリング(真似する)という「学び方」を学んだ貴重な体験です。

 子供は親を真似して、ことばやふるまいを覚えます。画家は模写をして、眼と腕を鍛えます。弟子は師を真似て芸を磨きます。「真似ることは学ぶこと」、モデリングは私たちにとって古くからなじみのある「学び方」です。私たちは仕事もモデリングで覚えていきます。上司や先輩が仕事の手順や勘所を示し、部下や後輩が真似する・・・。 OJT(オン・ザ・ジョブ・トレーニング)です。職場で仕事に就いての訓練と訳されています。

 OJTのコツを山本五十六は「して見せて、言って聞かせて、させてみて、ほめてやらねば人は育たじ」と表現しました。モデル(手本)になったら、見せて語れて、ほめてやれるか・・・。わが身をふり返るよい機会です。
 モデルが知っていること、できることしか教えられないのがOJTですから、仕事の幅を広げて、よりよいモデルへと自分を育てていきたいものです。そのためには、上司や先輩になってもつねに、自身のモデルを探します。職場だけにとどまらず、師とあおげる人を求めて、交流を広げていくのです。

 「学び方」を学ぶことをメタ学習と言います。モデリングが上手になることも、教え上手になることも、師を求めて世界を広げていくこともメタ学習です。育つために育てるために、学びに天井はありません。


【後記 2010.2.26】

本日、バンクーバーオリンピック 女子フィギュアが終わりました。
韓国 キム・ヨナ選手が金メダルをとりました。
日本期待の浅田真央選手は銀メダル。

それぞれに素晴らしかった。。。

持てる技術の差はわずかだったように見えましたが
キム選手のメンタルの強さが、演技を伸びやかにしました。

ニッポンがんばれ、技よりも心を強く鍛えましょう!

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