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弥立つ八雲、八雲立つ


八雲立つ 出雲八重垣 妻籠めに 八重垣作る その八重垣を

出雲国、島根県。神無月に八百万の神が集い、唯一神在月となる地。御多分に漏れず、私も当地に降り立った。
当地の人の子らは忌みに入り、神々にふさわしい厳粛な雰囲気を保つ。

神在月には、我々が神議りを催し、人の縁を結ばんと図る。
古事記によれば、出雲の国にて、須佐之男命が櫛名田姫を娶る際に冒頭の歌を詠んだそうな。
それが我が国最古の歌だと『古今集』仮名序にも書いてある。
古来、この出雲はえにしを結び、繁栄を願う地なのだ。

いにしへに思いを馳せて弥立ちて、手にある人と人との縁をしっかりと結わえる。
その結んだ縁が続くか、ゆくゆく”めをと”となるか、その後別の道を歩むのか、それは我ら神ですら知らぬ。
でも人の子らよ、許されるなら末永く睦ぶべし。その幸の多からんことを。

#旅する日本語

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