結論ファーストは必ずしも最適ではないという話
はじめに
説明は何かを伝えるとき、話すときに必ず使うスキルです。
これまでは相手の理解力、その場のなんとなくの雰囲気に助けられて乗り切れていたかもしれませんが、しっかり言葉にしないと相手に分かってもらえません。
メールで相手にお願いごとをしても分かりにくい文章であれば後回しにされます。説明がわかりにくいだけで仕事が滞ったり、提案内容などの本来の価値が伝わらなくなったりするわけです。
分かりにくい説明は「コスト」と「リスク」
コミュニケーションにおける分かりにくさは「コスト」 になります。
こちらが意図していたことが伝わらなかった場合、 同じことを繰り返し説明しなければなりません。労力の無駄になります。
また相手にとっても分かりにくい情報を咀嚼するために時間を要します。 ストレスもかかります。
さらに酷いと、相手が間違った解釈を行いトラブルに発展する恐れがあります。分かりにくいが「リスク」にもなるわけです。
よくある失敗例
続いてはよくある失敗例を2つ紹介します。
ケース1 「ぶっつけ本番による失敗」
何をどう説明するか、組み立てを行わず説明を始めると大抵失敗します。 分かりやすい説明ができるかどうかは準備で決まります。
思いついた順や自分が話したい順で説明しよう
とすると、伝えたいことが分散し着地点を見失ってしまいます。
ケース2「説明の目的やシチュエーションに合わない組み立て方による失敗」
これは説明の組み立て方と説明の目的がミスマッチだった場合です。
「相手に分かってもらいたいこと」(目的)によって「話の組み立て方」(手法)も異なってきます。
説明する相手はいつも同じ人とは限りません。例え同じ人だとしても、説明の目的そのものが常に同じであるということはありません。 時間的な制約、 相手の人数などのシチュエーションも様々です。
その一例として、よく推奨される 「結論ファースト」がありますが、結論から始めてうまくいくこともあればそうでないときもあります。
結論ファーストの失敗例
例えば相手に自分の頭で考えてもらいたい場合 、結論ファーストは不向きです。 なぜなら最初に結論 (答え) を聞いてしまうと、そこまでに行きつく途中のプロセスを自分で考えようとしなくなるからです。
さらに結論ファーストは「文脈」が理解されにくくなります。文脈とは説明している情報以外の知識です。
当たり前ですが自分と相手は持っている知識の種類も違えば深さも違います。だからこそ説明の組み立て方は、 常に結論ファーストで伝わるとは限りません。その目的やシチュエーションによって変えていく必要があるということです。
例えば、相手の関心を引きたいときAの方が好奇心を刺激するのではないのでしょうか?
A「映画の制作本数が1番の国をご存じですか? 実はインドです」
B「インドは映画の制作本数世界一の国です」
他にも交渉の場面でも結論ファーストは不向きです。出だしから「こちらの結論はこうです」と主張されると、条件のすり合わせや駆け引きができません。また反感の感情が先に現れてしまい、交渉が決裂する可能性があります。
おわりに
以上をまとめると「できる人の説明」 とは、 説明する相手や目的、シチュエーションによって、話の組み立て方を最適化しているということです。
目的やシチュエーションに合わせて「分かってもらいたい内容」 に最適な順序で説明を組み立てられれば、誰でも説明の伝わりやすさは格段に上がります。
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