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ブランドを作り上げる唯一無二の体験とは?リッツ・カールトン生みの親が語る「ムダ」の美学。

「お客様はいつも正しい」
「顧客に求められたら、決してノーと言ってはいけない。
 ──相手が月を欲しがったとしてもだ」

引用元:経営者100の言葉―胸に熱く響く

ホテル王 セザール・リッツが残したことばです。
スイス生まれ、フランス育ちの実業家であり、リッツ・カールトンの前身である『ホテル・リッツ』(1898年オープン)の生みの親であります。

ちなみに、「ザ・リッツ・カールトン」は「リッツ」のフランチャイズ権と商標使用権を得て作られたアメリカのホテルチェーンです
長い衰退の一途をたどる中、いよいよまずいという経営状況の中、1980年代初めに再生に手をあげたのがアトランタの不動産会社の社長W・B・ジョンソン。その後、みるみる世界各国にホテルを増やし、ザ・リッツ・カールトンは見事に復活。現在の地位を確立しています。

最近何かとご縁があるセザール・リッツさんが、僕らの核心に迫る大切なことを教えてくれました。

「お客様はいつも正しい」

圧倒的な顧客至上主義を感じます。ここまで徹底したお客様は神様精神が浸透したのは、時代の追い風もあったのかもしれません。しかし、突き抜けることで、地位も名声も確立したことは間違いないでしょう。

リッツは、フランス料理の父 エスコフィエとタッグを組み、リッツ旋風を巻き起こします。ちなみに、エスコフィエも非常に革新的なシェフでした。

さて、そんなリッツの精神は現在のリッツ・カールトンホテルのクレド(行動基準)にも反映されています。

リッツ・カールトンはお客様への心のこもったおもてなしと快適さを提供することをもっとも大切な使命とこころえています。

私たちは、お客様に心あたたまる、くつろいだ、そして洗練された雰囲気を常にお楽しみいただくために最高のパーソナル・サービスと施設を提供することをお約束します。

リッツ・カールトンでお客様が経験されるもの、それは感覚を満たすここちよさ、満ち足りた幸福感そしてお客様が言葉にされない願望やニーズをも先読みしておこたえするサービスの心です。

引用:ザ・リッツ・カールトンHPより

"お客様がことばにされない願望やニーズをも先読みしておこたえするサービスの心"について、重要なことはミスティーク(神秘性)だと言います。

非効率でムダなことこそが、顧客の心に響く

Takramありとあらゆる領域を切り開くデザイン・イノベーション・ファーム)ディレクターの佐々木 康裕さん著作の『D2C 「世界観」とテクノロジーで勝つブランド戦略』でも、リッツ・カールトンのサービス精神について、このように書かれています。

THE RITZ‐CARLTON(ザ・リッツ・カールトン)の従業員マニュアルには、本当に心に残るサービスというのは機能的であること(体験上のバグや瑕疵がない)に加え、ミスティーク(魔法)が必要であると書かれている。

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続けて、このように書かれています。

ミスティークの度合いは「経済合理性との距離」が長ければ長いほど高まる。一見非効率でムダなことこそが、顧客の心に響き、それが口コミなどで伝播していく。

このことばたちに触れた瞬間、カウンセリングを受けたように、凄く腹落ちしました。かけてほしかったのは、この180文字でした。

ミスティークこそが、圧倒的な感動を生み、人々にアクションを生み出します。

つまり「当たり前の先にある、普通じゃない体験」が感動を生みます。

sioで使用している食材はもちろん、IKEUCHI ORGANICのおしぼりに沖野修也さんやDJ MUROさんの音楽、THEのグラスに藤原さんのナイフ。
そして、水野学さんによるロゴデザイン。どれをとっても一級品です。

だから、たくさんの反響をいただいてきた自負があります。
これまで、全力で走ってきました。

一方で、決して忘れてはいけないのが、本当に心に残るサービスは機能的であることが条件だということです。
これからは「機能的であること」もさらに高めていく必要があるとも思っています。

現状で言うと特に、マンパワーで走っている状態から脱却です。属人的ではなく仕組みで解決できるようなオペレーションを設計をしていく必要があります。

機能的とは、ムダがないこと。
すると、どうしても予定調和になってしまいます。
それでは、感動体験を生み出すことは出来ません。

その両者のバランスが重要なのです。

ミスティークを提供するためには、お客様をよく観察し、理解し、先回りした上で、想像を超える行動をするしかありません。

「答えは、お客様の中にある。」

シェフは、よくそう言います。

sioがやってきたことは、圧倒的な顧客至上主義と言えるでしょう。
特にコロナ禍で、それは加速しました。

お客様が求めているのであれば、お店のレシピやおうち用レシピを公開し、
お客様が求めているのであれば、新しいけど懐かしいサンドイッチを作り、
お客様が求めているのであれば、3つ星を目指したsio贅沢弁当を作り、
お客様が求めているのであれば、朝から全8品の #朝ディナー を始め、
お客様が求めているのであれば、あらゆるSNSでつながり、動画を上げる。

それが、なぜできるのか。
すべて自分たちが大事にしている『幸せの分母を増やす』というモットーにつながるからです。
これからも、その判断基準はブレてはいけません。
なぜならば、アイデンティティがなくなってしまうからです。ブランドの終わりにつながるでしょう。

機能的かつ、ミスティーク。

両方を追い求めているチームがあるという事実に何より勇気をもらいます。

最後に、リッツのことばを胸に刻んで終わりたいと思います。

「顧客に求められたら、決してノーと言ってはいけない。
 ──相手が月を欲しがったとしてもだ」

実は、リッツのことばには続きがあります。

「とにかくやってみる余地はある。
いずれにしても、ダメだったあとで、説明する時間はたっぷりある。」

すでにたくさんの共創者がいることを、僕は知っています。
だから、これからもチャレンジしていく以外、ほかないでしょう。

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