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ベビーカーの取っ手


あたしが出会った中で、いちばん怖い怒り方をする人だと思えば、いちばんかわいらしく優しい顔をする人だとも思う。

引っかかった小石が小指にぶつかってきた。
ほんとうは、あなたの心がどこにあるのか、それだけなんだと思う。

そこに、本当にあるのか、それは私に寄生するものかあなたに帰省するものなのかそれとも……またどこか違うとこから生え育ったもの、つまりそれはなくてもいいものなんじゃないのか?
ってね。

心は中心にあると言われ育った私たちは本当に心の位置を分かってるのだろうか?

あなたが触ったのはただの肺。こころに触れられる手を持っていないじゃない。そんな人ばっかりでしょ?信頼なんて愛なんて。空に放っては表層だけをなぞって、成分も分からないまま舐めた液体を美味しそに舐めるだけ。花火に照らされた人の顔が紅く揺れる。私も、きっと暗くすぎて見えてないのかな?それともあなただけが知っている私があるの?黒の中で私の輪郭をずっと探しているの?だとしたら愛おしくなった。でも、ここまで熱を追っても、「きっと、〇〇くんでしょう?」と見上げる顔はたびたび変わって言ってしまった。


でも、そうだったんでしょ。結局はじめからそうだったのよ。あなたは今日の空の色ばかり気にしていたでしょう?それでたまにすっごく綺麗な夕陽の前で「きれーーー!!」とかはしゃいじゃったりしてさ、

それで、そこまで思い出して、ばっかじゃねーの。って。思うわけ。この先はもうしょうがないんです。消費税が挙げられたなら私たちはそれに従わなくちゃ生きいてけないでしょ。どんなに反抗しても「反抗期」でしかなくて、無駄なのよこの世の中は、世界は、あたし達は……!本当にばかばかしい。ほんと、反吐が出る。


煙を換気扇に投げ入れる間、指の隙間から泳いでく白い気流を眺めていた。あたしはどこに行くんだろって思ってじっと待っていたのに、行く末は誰の金魚も教えてくれなかったよね。今だから言うけど、あれ、なんで?なんで助けてくれなかったの。泣いてる時間を返してよ。ってこういうことももう返してよ。帰してよ。ピンクの花弁が落ちちゃう前に、はやく、はやくはやく、。、。。

分かってるのよ

枯れた花は戻らない。

壊れた腕時計と海風。

壊れないように慎重に合わせたハズの針はまだ動かなくて、

そうこうしているうちに、隙間に入った砂で呼吸は聞こえなくなっていく。のを聞いている。

あなたの胸の音が消えた時、私は永遠に孤独を背負って生きてくのだろう。その罪を抱えた時に永遠になれるのか、その罪を捨てた時に永遠になれるのか。僕らはずっと分からなかった。きっと分からなかったよね、もっと早くても遅くても、僕らはまだ笑っていたいってちょっと今を無視しちゃっただけだよね、知らぬうちに涙がハンカチを濡らして僕はそれすら隠すのに必死だった。

時計の音がする。奥の奥の方から。僕に呼びかける。僕だけが知ってる宝石箱。僕だけが知っているその箱の綺麗な模様。僕だけが、その箱を開けられるんだ。

って信じてた、信じてたよずっと。

平成が終わるまで気づけなかった、

僕の指が届かないホクロにやっと噛み付けそうな気がする。

ただ2人だけ、

ただ2人だけ、

ただ2人だけ、、


レコードを止めても曲は鳴りっぱなしで、僕は今月の電気代がいくらかなんて気にする暇もなかった。君の指まで踊る、湯気が遠くを、ずっと遠くを近づけてくる。

そのあたたかさがわたしなのかあなたなのかそれだけが知りたかっただけ。悲しくなんてない。あわよくば、あわよくばあなたのものでいて欲しかった。丁寧な指先を追いかけてたおやかにゆるやかに。夏の汗を溶かすほど蕩けそうな湯気の向こうにいるのは。

あなただと思ったから。
あの日かけられなかった声を今、添えられますように。願っては消えない枯れた葉が、今更落ちていこうとしている。

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