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僕が地域おこし協力隊を辞めたわけ⑥

はじめに

この記事は、北海道が好きすぎて移住し、道内のとある自治体で地域おこし協力隊として採用されたものの、たった半年で辞めた僕の体験を書いていきます。

この記事を通して、現役協力隊の方これから応募を検討している方、また、募集する自治体地域の方にとって少しでも参考になれば幸いです。

前回は閑話休題的な小話でした。

↓前々回 役場の常識≠僕の常識

始まる前から手詰まり状態!?それでも何かをはじめねば!!

「SNS開設編」、スタートです!

本編に入る前に、自治体には僕自身に対する悪意等は一切ないということと、役場の方々も良い人ばかりであったこと。そして、あくまでもこれがこの地方自治体にとっての普通であるということを明記しておきます。
そして苦しい生活で心が病んでいたとき、町民の皆さんとフォローアップに来てくださったAさんには本当に助けていただきました。この場で心からお礼申し上げます。

SNSは地域おこしの一丁目一番地

さて、僕が本来取り組むはずだった「SNSを使用した情報発信業務」が前回の話し合いによって完膚なきまでに叩きのめされ、名実ともになくなってしまいました

とは言え、やはり今はSNSの時代。なんとしてもSNSを使った情報発信は行うべきです。

なぜなら地域内外の様々な人簡単に繋がることができるSNSには、様々なチャンスや可能性が満ちているからです。

実際、多くの地域おこし協力隊SNSを利用して、町の観光情報や興味深い事業の紹介、地元の飲食店情報自身の考えなどを発信されています。

町の飲食店面白い人企業や農家さんと繋がれば、様々なイベントや事業企画できる可能性があります。

更にまわりの地域を巻き込んでいけば、地域にとらわれず圏域としてもっと面白いコラボや企画ができる可能性もあります。

そのための一歩に必要不可欠なのが、町公式のSNSだと僕は思うのです。

しかし、この町ではそれができません。

余談になりますが、以前の記事で役場のPCではSNSが使えない上司に相談したことがありました。

その時の返答は、

「いつかは分からないがそのうち新しい端末が来て、それならSNSも使用できるはず」

というものでしたが、「いつか分からないそのうち」が訪れたのは、僕の勤務開始から3ヶ月後のことでした。いや、遅過ぎない?

これでやっと役場でもSNSを使用できると思ったのも束の間、結局。そう結局!

これまでと全く同じセキュリティ。もちろんSNSは使えない
ついでにその端末を使用する部署は最初からほぼ固定で決まっている始末(もちろん僕を含まない)。

「新しい端末を協力隊に使わせる気なんて最初からなかったんじゃん。」

僕はこの自治体に、一体何度、落胆すればいいのでしょう。


やるも地獄、やらぬも地獄

もう自治体としてSNSをできないのなら、じゃあもう勝手にやるしかない!という結論に至りました。

「SNSを使った情報発信業務」を、僕が個人として勝手にやっている「業務外業務」にするのです。

いわばサービス業務。1円も入りません。

勝手に初めておきながら細かい話になりますが、SNSを使用するための通信費から、撮影に使う自前のカメラパソコン現像ソフトも、帰宅後の現像作業に至るまで全て「僕が勝手にやっていること」なので100%僕負担です。

そんなもの、クオリティが高いものを出し続ける気力は次第になくなっていくに決まっています。

例えば、町のB級グルメを紹介したいと思った場合、当然ながら食品代金は100%自腹になります。

次回以降で詳しく書きますが、当時の僕の食費は月8000円

お昼代じゃないですよ。1日あたり300円三食合わせて300円です。

一食にかけれるお金は100円程度。気軽に外食なんて出来るはずもありません。

自分で勝手に始めた協力隊のSNSですが、持続可能性は最初から破綻していました。

それでも始めることにしたのは、さしあたって業務と言えるものが何もなかったことと、始業から終業まで役場にいる時間が苦痛でしかなかったからです。

しかし、本来は正当な業務だったはずのものが自分負担の業務外業務となったという歪みは、ゆっくりゆっくりと、僕の心を蝕んでいくことになるのです。

コラム:ミスマッチに要注意

少し趣向を変え、ここまでを通して考えたことを簡単にまとめてみます。

これまで数回にわたって書いてきた僕の体験談は、たったひとつの問題に起因していました。

それは、「募集と採用後で業務内容が異なる」ということ。

協力隊に応募する人は、求人内容を元にその土地で働く自分の姿を想像し、実際に生活できるかどうかを判断します。

全く知らない土地で生活をするのは、とても不安勇気がいることです。

その中できちんとした明確な業務があるという事は、知らない土地で生活をはじめるときに唯一頼れる確かなものです。

僕が見たときの求人には

「ぜひあなたにはSNSを使った情報発信業務に取り組んで頂き、地域のPR活動に従事していただきたい」

という文言がありました。

ところが着任してみると肝心のSNSは閲覧もできず、実際の業務内容は実態のないホームページ作成業務

僕が協力隊としてその地域への移住を決めたのは、求人の業務内容を元にその土地での暮らしを想像し、生活が可能だと判断したからです。

もし求人の内容が初めから「ホームページ作成業務」であったならば僕は最初から応募していなかったでしょう。

自治体には協力隊員が辞めた原因として、軽々しくミスマッチという結論には逃げないでいただきたいと思います。

結果には必ず原因があります。その原因を認識し改善しない限り、何度でも同じことが起こります。

移住を伴う協力隊への応募はその人にとって大きな決断です。自治体の担当者には、求人情報と業務内容に齟齬が無いようきちんとした仕事をお願いいたします。

ちなみにこの、「ぜひあなたにはSNSを使った情報発信業務に取り組んで頂き、地域のPR活動に従事していただきたい」という文言。

調べてみると同じ文言で協力隊を募集をしている自治体が驚くほどたくさん出てきます。全てが全てではないにしろ、

特に仕事もないけど隣町も募集してるし、とりあえず求人を出しておくか〜。業務内容?あ、これいいじゃん。コピペコピペ〜。

というブラック自治体である可能性が非常に高いと思います。

協力隊を目指す皆さん。あなたの応募する自治体は、大丈夫ですか?


まとめと次回予告

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

今回はさらっと触れるつもりだったSNSについて、思いの外、筆が進んでコラムまで書いてしまいました。笑

では、今回のまとめです。

・公式SNSの開設は地域おこしの一丁目一番地
・許容を超えたサービス業務に要注意
・ミスマッチで協力隊が辞めている自治体には要注意

次回は、おそらくノンストレスな「お仕事編!!」いつの間にか業務になっていた畑違いのホームページ、やったろうやないかーい!!

お楽しみに〜


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