自宅マンションで自殺が起きると思うこと。
私は高層階に住んでいる。オートロックではないので、人は自由に出入りできる。そうすると起きてしまうのが「部外者の自殺」だ。
そんなとき、両親は「同情したらあかん。その人が遺した想いを背負ってしまうから、その人が助けてもらえると思ってまうで。なにも考えたらあかん。死んだやつはあほや。」と言う。
それも正しいとは思う。亡くなった人のことをいくら考えても、もう戻ってはこれない。
しかし、実のことを言うと、私は自殺が起きてから数日ほど、その人のことを考えてしまう。夢に出てきたこともある。
「だれも助けてくれなかったのだろうか。」
「苦しかったろうな。痛かったろうな。」
その人が生きる最後の一秒まで孤独だったのかと思うとあまりにやりきれない。今更考えたって意味がないことは理解している。
よく、人身事故が起きると
「大事な商談に遅れるじゃないか。迷惑だ。」
など、自殺した方を叩く声が多く聞こえてくる。それも正しいとは思う。人身事故はダイヤを大きく乱すし、運転手や後片付けをする人が気の毒だ。
しかし、その前に、1秒でも
「辛かったんだな。気の毒だな。」
とは思わないのだろうか。
自殺が起きたらただ迷惑だと叩くだけ。そのような世の中だから自殺があとをたたないのではないのか。
亡くなった方に同情してほしいというわけではない。のこされた私たちに、できることはそれじゃないだろうと言いたい。周りに目を向けて、困っている人はいないかよく探す。それだけでもいいと思う。
もう少しだけ、優しい世界になってほしい。
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