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書籍紹介:ファイナンス思考

こんにちは。本日は『ファイナンス思考』を紹介します。本書の著者の朝倉祐介さんは、競馬騎手養成学校に入った後に東京大学法学部を卒業後、マッキンゼー・アンド・カンパニーに勤務しております。マッキンゼーをご卒業後は、東大在学中に立ち上げた会社の代表に就任し、現在は複数の会社の社外取締役等に就かれているまさにスーパービジネスエリートです。

2018年に発行された本書では、そんな朝倉さんが目先の売上や利益の最大化に執着する『PL脳』に毒されている日本企業に警鐘を鳴らし、新たな企業経営のパラダイムとして『ファイナンス思考』を提唱しています。
ここで述べられている『ファイナンス』は単なる資金調達の意味合いに留まらず、調達した資金を活用して如何に優れた商品・サービスを生み出すか、そしてそこから得られた利益を如何にステークホルダーに最適に配分するか、といった企業活動全体を、お金により長期スパンで最適化していくための考え方になります。

企業での「お金」に対する考え方が詰まった本書ですが、個人的には以下の3点が特に参考になりました。

① ファイナンス思考の特徴
企業は顧客・従業員・投資家の3つの評価の目に晒されている。ファイナンス思考では彼らステークホルダーの目線を企業の長期目標へと合わせ、目標達成のために資金調達や投資を最適化することを目指す。

② ファイナンスの4つの役割
①を踏まえると、ファイナンスの役割は大きく分けて以下の4つになる。
A) 外部からの資金調達:Bに必要となる資金を金融機関や株主から最適なバランスで調達する。
B) 資金の創出:既存事業・資産から資金を創出する。会社の営業・マーケティングや製品開発に関わる多くの一般社員がこの部分に携わっており、それゆえにたとえ経営に携わっていない方であっても、ファイナンス思考を持って日々の業務に取り組むべきであると筆者は述べている。
C) 資金の最適配分:Bから得られた資金を最適な割合で新規投資や株主・債権者への還元に配分する。
D) ステークホルダー・コミュニケーション:A~Cの経緯や合理性をステークホルダーに説明する活動。たとえばAmazonはこのコミュニケーションが非常にうまく、無配当でも投資家からの支持を得て、創出した資金を研究開発等に回すことができている。

③ 日本企業が『PL脳』から逃れられない理由
筆者はこの理由が役員の高齢化や高度経済成長期の成功体験にあると指摘している。サラリーマンの方であれば理解できると思うが、日本企業の部門毎の管理会計は毎期の『対前年比の予実差』であり、そのような会計方式に慣れきった人材がそのまま経営者になることが多いので、本書のファイナンス思考を持つことは難しいと述べられている。

如何でしょうか?財務会計については苦手意識を持つ社会人の方が多いですが、今の職務内容に関わらず経営に携わる上での必須スキル・考え方になるかと思いますので、面白いと思った方は是非読んでみてください。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

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