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東京マラソン2017を2時間34分で走った話

たくさんの応援に感謝

東京マラソンはスタート前からゴール後まで本当にたくさんの人に応援してもらいました。沿道からたくさんの声が聞こえてきたし、終始勇気づけられました。最後は脱水気味だったので、涙にまわす余裕はなかっけど、何度も泣きそうになった素晴らしい大会だったと思います。東京マラソン、本当にありがとう!めちゃ楽しかった!

記録としては自己記録を9'27"更新し、目標としていた2:35(福岡国際マラソン出場資格)を切ることができました。そして、はじめて前半のハーフよりも後半のハーフの方が早い“ネガティブスプリット”なるものも初めて達成。備忘録の意味も込め、今後の誰かの参考になればと思いレースを振り返っておきます。

▼東京マラソン2017成績

2:34'18"(ネットタイム2:34'13")

▼5kmごとのLAPタイム

前半ハーフ1:17'13"/後半ハーフ1:17'00"

17'58"-18'21"-18'26"-18'21"-18'20"-18'37"-17'51"-18'25"-7'54"

遡ると長くなりますけど、2013年の10月下旬から市民ランナーとして走りはじめました。なので、市民ランナー歴は3年4ヶ月。ただ、中学1年生から大学院1年生までの11年間陸上競技に打ち込んでいたので、10年超のブランクを挟んで合計ランニング歴としては14年ちょいです。10年のブランクからなぜランニングを再開するに至ったかはコチラの記事をご覧ください。

「走りたくない」を「走りたい」に変えた妻の一言

東京マラソンまでのトレーニング

去年の11月頭に世界マスターズ陸上(5,000mと10,000m)に出場したので、それまでは短めの距離を中心に練習をしていました。

世界マスターズ陸上に挑戦して世界4位になった話

マラソン練習と呼ばれる長い距離を走る練習を本格的に意識しだしたのは11月中旬くらいから。仕事と家庭とランニングを両立させるというテーマの中で取り組んだマラソン練習は自分の器を拡張してくれたように思います。

東京マラソン2015年は抽選に当り、走ることができました。最高の感動を味わうことができ、「2016年も!」と思うものの抽選はそんなに当たらず、自力で出場権を勝ち取ろうと江東シーサイドマラソン2015に出場するも21位と惨敗(上位10人に入ると出場権が得られる)。

雪辱を晴らそうと強い思いをもって臨んだ江東シーサイドマラソン2016では無事に8位(1:13'28")に入ることができ、東京陸協の準エリート枠を得ることができました。

▼マラソン練習期間中の主なロング練習

東京マラソン前の主なマラソン練習
ロング練習×週1回、スピード練習(1km×3本など)×週1回程度
以下は20㎞以上のロング練習 *%は追い込み度

11月13日(日) 27kmテンポジョグ(ave.4’27”/km)*40%
11月20日(日) つくばマラソン42.195km 3:03’27"(ave.4'20"/km)*30%
11月27日(日) 江東シーサイドマラソン 1:13’28"(ave.3'29"/km)*95%
12月17日(土) 駒沢公園25km走(ave.3’45”/km)*75%
1月8日(日) ハイテクハーフマラソン 1:14’17”(ave.3’31”/km)*80%
1月14日(土)ふるさと3時間リレー(1.5km×16本|4’50”〜5’00")*90%
1月21日(土) 石垣島30km走(ave.3’59”/km)*80%
1月29日(日) 新宿シティハーフ 1:13’22”(ave.3’28”/km)*90%
2月5日(日) 30.8km走(3'50"↗3'30"/km|ave.3’42”/km)*70%
2月12日(日) 愛媛マラソン42km走 2:54’10”(4’15”↗3’45”/km)*60%

▼東京マラソン前1年間の走行距離
2016年
1月:336.7km
2月:365.0km
3月:227.5km
4月:188.3km
5月:257.0km
6月:293.0km
7月:300.0km
8月:354.0km
9月:401.0km
10月:284.0km
11月:302.4km
12月:292.1km
2017年
1月:369km
2月:277km

東京マラソン2018スタートラインへ

前置きが長くなりましたが、ココからはレースの話です。準エリート枠を得ることができたので、スタートエリアはAブロック。招待選手とエリート選手のすぐ後ろなので、スタートロスはかなり少なくできます。とは言え、Aブロックだけでも2,000名くらいはいるので、Aブロックの一番前から行くのと一番後ろからいくのとでは大違い。

ゲートを通り、会場入りしたら、すぐに荷物を預け、ウェアの上に1枚だけ使い捨てのカッパを着てスタート地点へ。カッパの下には貼るカイロをペタペタと。気温がそこまで低くなかったこともあり、これでスタート前に身体が冷えてしまうということは避けられました。

スタート地点の東京都庁前に到着した時のがスタート40分前くらい。既にAブロックも半分くらい埋まっている状態。詳細は省きますが、ちょっとずつスルスルと前に移動して、結果的にAブロックの2列目からスタートできることに。

9:10。号砲がなり、一斉にスタート。一気にアドレナリンが吹き出す。スタート地点通過まで5秒。ロスはほぼ無し。流れに乗って順調な走り出し。一緒に「2時間35分を切ろう!」と話していた佐原くんとお互いの位置を確認しながら進む。スタート直後からすごい応援。誰かいるだろうと思ってとにかく大きく手を振ってみる。

スタート直後の写真(左から3人目の白)。その後ろの緑が佐原くん。

30kmまでは力を温存

佐原くんとは「3'40"/kmで行こう」と話していたので、冷静に流れを見極め飛ばし過ぎないように気をつける。最初の5kmこそ下りで少し速かったものの、その後はとにかくイーブンペース。佐原くんの安定したペースメイクが光る。

力を温存して走るにはペースを抑えるだけではいけない。いかに無駄な動きをしないかが重要。リラックスしたランニングフォーム、向かい風では風よけの後ろを走る、ロスの無いコース取り、まだまだ余裕があるからこそついやってしまう無駄な動きは後半に響く。とにかく「30kmまではお散歩」と言い聞かせながら省エネ走法。

とにかく平坦で応援の多いコースに終始心が躍る。沿道からも「成瀬さーん!」「成瀬くん、がんばって〜」と声援が飛んできます。気づいたものは出来る限り誰かを確認し、手を振って応えました。知り合い・友人からの応援はかなり嬉しいです。

浅草を折り返して、蔵前から橋を渡り清澄通りに進みます。噂に聞いていた川や水路を超えるたびに小刻みなアップダウン。とは言え、ものの数秒。まだまだレースも前半。これまで走ってきたレースに比べると気にするレベルではありません。富岡八幡宮で折り返して、ハーフ地点を通過。予定通りの1:17'18"。このまま流れに乗るのみ。ちなみに、折り返しがあるので一緒に走っているラン仲間にも手を振ったり声をかけたりすることができます。

ただこのあたりから暑さが気になりだします。頭がボォーっとしていきそうな感じがしたので、給水所で水を取り、水を飲むだけではなく、頭や首筋にかけます。「水摂っておけば脱水にはならない。練習でも水飲まずに走れた」と自分に言い聞かせます。

とにかくレース中はコントロールできないことを考えだしたら負け。「きつい」、「大丈夫かな?」、考えても楽にならないものは考えない。とにかくできるだけ楽に一定ペースで走ることに集中、そしてリラックス。

浅草橋を過ぎた26km手前。集団に折内さん(DAC)さんも加わる。

30kmから何度も迫られる2択

ほぼ同じ顔ぶれで進んできたが30km手前にして後ろから上がってきたり、集団から消えていったりと顔ぶれに変化が現れる。30km手前の銀座あたりで少しペースが落ち着いた感じがして、フッと楽に感じる。スッと集団の前に出るものの、「まだ早い」と言い聞かせ、集団に戻る。30kmまでは我慢。そして、いよいよ30km。通過タイムが1:50'08"。「少しペースが落ちた」と気付くと同時に、「このまま行くと2:35切りが危うい」と思った時にはすでに体が反応していました。スッと集団を飛び出す。

「ペースあげます!」

これまで一緒に走ってきた集団の人たちに別れを告げ、ペースアップ。これまでよりもより踏み込んだ脚に重心を乗せていく走りにフォームチェンジをして明らかなペースアップ。

30km過ぎの給水ポイント。ペースは一気に3'30"台前半/kmへ

前を走ってるランナーたちがみんな力尽きてしまったのかと感じる程気持ち良いほどのごぼう抜きモード。まさにスーパーマリオのスター状態。抜く時に「ペースあげるので一緒にいける人はいきましょう!」と声をかけるが誰一人として反応してくれる人は無し。

「このまま行って大丈夫なのか!?」

弱気な自分もでてきます。集団を抜く度に、「この集団について一休みする」か「抜いて更に前を追うか」の二択に迫られる。一瞬、「集団に付いても記録はいけるんじゃないか?」と弱気になる自分が現れる。その度に、自分に「弱気になるな」と言い聞かせる。「追い風にのっているんだから、ペースを落ち着かせる必要はない」、とにかく強気に前へ進む。

沿道からの応援に応えてガッツポーズ。追い風に乗りどんどん前へ進む。

とにかく沿道からの応援が熱い。芝公園で妻と息子(1歳)の声援を確認。沿道の応援に背中を押され、品川まではアッと言う間。そして、品川で折り返し。さぁ、あとは東京駅に戻るのみ。ところがマリオのスターが切れたかのように急にキツさを感じ始める。大した風ではないのに向かい風が気になる。

とにかく我慢の走り。人の後ろに付きたくなるけど、ペースを落としては目標達成が危うい。きつくてもペースを緩めずに前に出る。芝公園で再び妻と息子の応援。沿道に近づきハイタッチ。まわりの方たちからも「パパ、頑張れ〜!!」と声をかけてもらう。気合いが入る。ありがたい。

そして、会社の仲間たちから声援とアミノ酸ゼリーを受け取る。一気に流し込んで力を出し切るべく集中力を再び高める。「いける」、「走れる」、「絶対達成する」と自分に言い聞かせる。いや、仲間にも叫ぶ。

「絶対に達成する!!」

仲間に覚悟を伝えてゴールを目指す。レース後にわかったのだが、仲間たちは「絶対に脱水する!!」と聞こえたらしく、「成瀬さん、ヤバイ!」と応援団のチャットが荒れていたようだ。本当に絶対に脱水しそうなやつは「絶対に脱水する!!」と叫んだりはしないと思うのだが。まぁ、笑い話。

ラストは声援に応えるのもコレが精一杯。

東京マラソン2017感動のゴールへ

日比谷通りに別れを告げてからのラスト1kmはまるでヨーロッパの自転車レースを彷彿させるような石畳に両側に幾重にも重なる観客。お調子者の気持ちは最高に高まる。あとはしっかり力を出し切るのみ。「あと1人」、「あの人も」、「ついでにあの集団も」とがむしゃらにペースをあげる。

最後に左にまわり、東京駅を背中に両手を突き上げてゴール。

東京マラソン2017 成瀬拓也(A4465)2:34'18"

目標達成。これまでやってきたことの全てが肯定されるような感覚。そして、たくさんの声援とこの夢のような舞台を作ってくれた全ての人への感謝が湧いてくる。

どうもありがとうございます。最高に楽しい42.195kmでした。

よく「何が楽しくて走っているの?」と聞かれる。「楽しいから走っているわけではないよ」と答えようとして、言葉を飲み込む。マラソン練習はきつい。仕事と育児と同時にやりながら、深夜に走ったり、練習後に疲れてお風呂も入らず家の床で寝ちゃったり、何でやっているんだろうと思う時は一度や二度ではない。

でも、走りきってみて思うのは「頑張って良かったな」という気持ち。何だろう。今年も「なぜ走るのか」という答えを得ることはできなかった。それでも、中途半端に走るのでも、時間を持て余しているから走るのでもなく、限られた条件の中でギリギリ際際の目標を設定をしてチャレンジすることに面白さがあるのだということはどうやら確かなようだ。

長文お読みいただきありがとうございました。

たくさんの方に写真撮影をしていただき隈元太郎さん、松平伊織さん、青木玲仁さんからいただいた写真を使わせていただきました。ありがとうございます。



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