Monkirigata

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ラッキーマンホール

小さい頃、数メートル先にマンホールが見えると「右足(時には左足)で踏めればいいことがある」と心の中で決めるクセがあった。歩幅を調整することなど簡単であるから、当然成功率は100パーセント。しかし、それは自分にだけ備わった不思議な能力だと感じていた。やがてティーンエイジャーになった頃、そんな取るに足らない幼少期のエピソードを友人に話したら、「私もやってた!ラッキーマンホールって呼んでいた!」と少し恥じらいの混じった笑顔で言われた。ラッキーマンホールというポップな響きも相まって、

    • 留学記②

      ブライトンでの3ヶ月を終え、ロンドンに引っ越したのが11月でした。サマータイムが終わった11月のイギリスは、16時には日が暮れ、来る日も来る日も、雨。気持ちも晴れず、新たな環境になったのが思いの外ストレスになっているのかもと思っていたのですが、ある晴れた日に気持ちがスッキリしていて、ああ、最近の気持ちの落ち込みは太陽を浴びていなかったからか!と合点。 引っ越した先は、カイロプラクテターの大家さんが経営するクリニックの2階のひと部屋でした。1階はクリニック、2階はオフィスで、残

      • 留学記①

        前回、イギリスに留学したことに触れたので、少し振り返っておこうかなと思います。 2022年8月から2023年5月までの10ヶ月をイギリスに行っていました。最初の3ヶ月をブライトンで、残りをロンドンで過ごしました。仕事を離れて完全に休むこと、自分の生活に集中すること、ついでに英語も学ぶこと。ただただ、そんなきっかけでした。 ブライトンでは語学学校の寮に入りました。ひとり部屋で部屋にシャワーとトイレはあり、キッチンとランドリーは共用というスタイルでした。私が到着した8月は短期留学

        • 夏が来れば思い出す

          3年前の夏、当時の仕事でひとつ大きな区切りがついた。2年前の夏、その仕事を辞めて、イギリスに10ヶ月ほど行くことにした。42歳の夏、子どもはいないけれど結婚はしていて、ちょこっとイギリスに行こうと思っていると伝えた人たちの多くから「旦那さん大丈夫なの?」「帰ってきてから何するの?」と聞かれた。夫は大賛成してくれていたし、帰国後はノープランだった。 短期の学生ビザだと11ヶ月の滞在がMAXなので、語学学校に10ヶ月通い、その後もし旅行でもしたければして帰るかな、くらいの心構えだ

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        ラッキーマンホール

          じゃない方の願い

          始めたばかりのnote、こまめに更新しようと思っていたものの気づけば7月。まとわりつく湿気ですでに夏バテしそうですが、久しぶりに癖毛をしっかり伸ばしてもらって、気持ちと姿勢もつられてピンと伸びた気がしています。 昔から、なんとなく七夕が好きです。折り紙で七夕飾りを作るのも好きだったし、織姫と彦星のストーリーは初めて「ロマンティック」と感じたものだったかもしれません。でも、肝心の、短冊に書く願い。あれは昔から苦手でした。小学生の頃、「足が速くなりますように」とか「字がきれいにな

          じゃない方の願い

          共感と苦労マウントの境界線

          少し前に、仕事を辞めた。退職するにあたって、食事に誘っていただけることもあったし、辞めてからのんびりしている間にも、軽くお茶でもと声をかけてもらえることもあった。そんな中のひとつのお酒の席でのこと。会を主催してくださった女性に「いろいろ大変だったでしょう」と憐憫の眼差しを向けられた。確かに忙しくはしていたけれど、「聞いてくださいよ!」というようなストレスもなく、「そうですね、でも○○さんもいろいろ大変そうじゃないですか」と返した。すると、止まらないのだ、彼女の愚痴が。最初はふ

          共感と苦労マウントの境界線