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ラッキーマンホール

小さい頃、数メートル先にマンホールが見えると「右足(時には左足)で踏めればいいことがある」と心の中で決めるクセがあった。歩幅を調整することなど簡単であるから、当然成功率は100パーセント。しかし、それは自分にだけ備わった不思議な能力だと感じていた。やがてティーンエイジャーになった頃、そんな取るに足らない幼少期のエピソードを友人に話したら、「私もやってた!ラッキーマンホールって呼んでいた!」と少し恥じらいの混じった笑顔で言われた。ラッキーマンホールというポップな響きも相まって、全能感風のものに陶酔していた当時の己を恥じた。それ以来、かなりの月日は流れ、恥じた気持ちはすっかり昇華したものの、人と小さな何かを共有できたり、小さな何かに共感したりしたときに、私はふと「ラッキーマンホールだ」といまだに思う。そんなラッキーマンホールな瞬間が、これを読んでくれた誰かにも訪れるといいなと思い、noteを始めることにしました。

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