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留学記①

前回、イギリスに留学したことに触れたので、少し振り返っておこうかなと思います。
2022年8月から2023年5月までの10ヶ月をイギリスに行っていました。最初の3ヶ月をブライトンで、残りをロンドンで過ごしました。仕事を離れて完全に休むこと、自分の生活に集中すること、ついでに英語も学ぶこと。ただただ、そんなきっかけでした。
ブライトンでは語学学校の寮に入りました。ひとり部屋で部屋にシャワーとトイレはあり、キッチンとランドリーは共用というスタイルでした。私が到着した8月は短期留学のハイシーズンで学校には学生が多く、本来は寮生しか使えないキッチンもみんな好き勝手に使い放題で、いつ行っても明け方の歌舞伎町か夏祭りのあとの路地裏か、みたいな様相。冷蔵庫とレンジ以外の使用を早々にあきらめました。
学校が終わってからももう少し勉強もしたいし、一人でのんびりコーヒーも飲みたい。でも街のカフェは日本と違って、どこもだいたい16時くらいに閉まってしまうので、ほとんど間に合いませんでした。しかしあるとき、たまたま18時までオープンしているカフェを見つけて、そこでフラットホワイトを飲みながら勉強して、目の前のスーパー「TESCO」で買い物して帰る、というのがルーティンになりました。カフェの店員の女の子、サラとも仲良くなって、サラと、彼女の淹れてくれるフラットホワイトが、まだまだ心細かった当時の私の心の拠り所になってくれました。その後、ロンドンからいよいよ日本に帰国する直前、ブライトンの先生や友だちに会いに行ったときにそのカフェに寄ったらたまたま彼女がいて、実は来週日本に帰国するんだ、あなたにまた会えたらいいなと思ってここに寄ったんだ、会えて嬉しいよと伝えたら、「今日は私のおごり!」と言って、大好きなフラットホワイトをごちそうしてくれました。またブライトンには絶対に遊びに来るよ、そのときは会おうねと約束をしました。
そうして心の拠り所もできて生活にも慣れ始めた頃、学校も生徒が減って落ち着いた雰囲気になりました。それでも私があまり食堂におりてこないのを気にした隣の部屋のサウジアラビア人の男の子が「今日は僕が夕飯を作るから食べにおりておいでよ」と誘ってくれました。料理自体が初めてらしく、お母さんに電話で聞きながら何人かで試行錯誤して、できあがったカブサというチキンの炊き込みご飯。彼らはそれを器用に手で食べていて、ああ、私はいま、美味しいごはんとともに留学の醍醐味を味わっている、としみじみと噛み締めました。
友だちとごはんを食べたりパブに行ったり、ふらっとひとりで海まで散歩したりサッカーを見に出かけたり。ハロウィンにはかぼちゃを彫って仮装もしました。こうして私なりにイギリスでの生活にもすっかり慣れて、ブライトンが大好きになった頃、その街をあとにしてロンドンへ引っ越しました。

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