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独身中年おっさんが見つけてきたインスタ映えな海の見えるカフェに連れて行かれる話(前編)


海の見えるカフェ(前編)

僕が出勤してから
しばらくして
おっさんが出勤してきた。

出勤するなり、職場内を
キョロキョロと見まわしている。
 
で、次のタイミングには
僕はおっさんと
目が合っていた。


(やべっ……。)
 
特に何がやばい訳でも
ないんだけれど
瞬時に、僕はそう判断した。
 
そうこうしていると
おっさんが、
ズンズンズンズン
こっちへ向かって来る。

僕もいまだに
知らなかった
僕の生体防御反応に従い

おっさんから
目をそらすと
その場から、
逃げようと
おっさんとは
逆方向に歩き出した。
 
いまだ一定の距離はある。
しばらくして、
壁際まで歩いて
逃げてしまったので
行き止まりになってしまった。

仕方なく
振り返ると
おっさんとの
距離がだいぶ
狭まっていた。

おっさんは、
早歩きしたのであろう。
割と近くに
おっさんはいた。
 
なので、僕は
全速力で部屋内を
オッサンのいないルートで
走って逃げた。

そしたら、その辺から
「なんで逃げるねーん。」と
おっさんの声がした。

妙になんか、
それもそうやな…と
僕は納得してしまったので
立ち止まった。
 
そして再び振り返ると、
不気味に笑っている
おっさんがいた。

やっぱり僕は怖くなって、
もう一度、
走り出そうとしたら


「もうええって…
 しんどいから…笑」

と、おっさんが懇願してきた。

さすがに、
かわいそうになったので
このやり取りは、
僕が折れることにした。


「どうしたん?なんかあった?」

平然と僕が質問をすると、
ちょっと早歩きしただけで
ゼーハー、ゼーハー
言っている人が答えた。

おっさん
「あんなぁ、はぁーふぅー、
 大変やねん!!
 
 見つけてもた…
 めっちゃあ…はーはー…
 オシャレなカッフェ!」

僕は、
半笑いで聞き返した。


「カッフェ?笑」

少しだけむせながら、
おっさんが答えた。

おっさん
「そう、カッフェェーッ。
 オッホッ!ゴホッ!
 海見えるねん。ゴホ。

 はなこの散歩中に見つけた。

 フー。
 引っ越した家の
 近くにあってん。
 
 あれはオシャレやったでー。
 インスタ映えしてたしな、
 絶対女の子
 好きな感じのところやわー。

 今度連れてったろか?」


間髪入れず、僕は答えた。



「結構です。笑 
 遠慮しときます。笑」
 
その後も、
食べログみたいなサイトで
店内の写真や
料理の写真を、
まるで女の子のように
僕に見せてきた。

息遣いがいまだに
フガフガ言っている…


うっとうしい笑


ガラス張りの
オーシャンビューであった。

写真からでも
伝わる景色は
文句のつけようがない。

内装もきれい。
料理は、どれもこれも
手が込んでいて、
今流行りのインスタ映え
間違いなさそうだった。

ただすべての情報を、
中年のおっさんが
プレゼンしているのが
気にくわない。
 
しかもだ。
もう、そのサイトからの情報で
住所も分かったことだし
別におっさんと行く必要はない。

できたら、僕だって
女の子と行きたい。

行きたいんだけれど
なんでだろう。
うまく丸め込まれた僕は…
 
 
その日の夕方。
(↑今度って言ってたやん笑)

おっさんの車の助手席にいた。
マメタロウ・はなこの特等席だ。
 
 
エンジンをかけながら、
おっさんが言う。
「さ、行くで!インスタ映え!!」
やる気満々である。

僕はというと、
いまだおっさんと
二人きりという
シチュエーションに、

テンションを
上げることができず
適当に
「はいはい…」と
返事していた。

しかしながら、
しばらくたっても
車が出発しない。


(どうしたんやろ…?)

なんて思っていると…

5分くらい経ったころかな?
おっさんが
半笑いで僕に言った。

おっさん
「ドア…
 閉めてくれるかな…?苦笑」

そうだった…

そういえば、
この車のドアは
勝手に閉まらないのであった。
ちょっとウザそうに
僕は、ドアを閉めた。

後編に続く。。。


また次回。



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(๑╹ω╹๑ )