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蒸し暑い日の、おっさんはだいたい臭い。制汗スプレーはだいたいイイ匂い。


蒸し暑い日

その日は、仕事がすごく忙しい日だった。
気づけば、辺りは暗くなっていて
僕は、
いつものメンバーと
ろくに、ふざけて
遊ぶこともできずに一日を
終えようとしていた。

ようやく、先に落ち着きを迎えたのは
僕とおっさん。
朝ぶりの会話を交わす。


おっさん
「今日は忙しかったなー。
変に蒸し暑いし、なんか一日長く感じたわ!」

クタクタな僕は
おっさんの言葉に意識なく
反応するように返した…


「ほんまやなー、久しぶりにクタクタやわー」

パソコンをパチパチ打っている
おっさんが続けて言う。

おっさん
「今日な、僕さ…
蒸し暑いから、ジメッと汗かいてもうて…
脇臭い日やわ…臭う???」

(…えッ…むり…)
反射的に、臭ってはいないものの
僕は、相手にもわかるような
顔をして嫌悪感を示した…

先に口を開いたのは、再びおっさん。

おっさん
「そんな、嫌な顔せんといてよ笑
周りに迷惑かけたらあかんから聞いてるんやん!!笑」

(…えッ…やっぱむり…)
反射的に、臭ってはいないものの
僕は、相手にもわかるような
顔を再び示した…
そして答えた。


「いや。いつも臭いからな。ようわからんわ。
 僕、副鼻腔炎やし…
 でも、どっちかっていうと臭いかな…」

おっさんは、いそぎ気味に答える。

おっさん
「いや、絶対臭ってないやん!
そこまで届いてないやん!ニオイ!
ゆうほど、そんな臭ないってことか?
僕のわきの臭い…」

おっさんが、クンクンと自分の
脇の臭いを嗅いでいた…

(うううううわぁ…)
僕は、さらなる嫌悪感を感じていた。
そこへ、1オクターブ高い声で
おっさんが叫んだ。

おっさん「これはーーーーあかんやつやーッ!!笑」

僕(結局あかんねやん…。おえっ)

自分の臭いにSOS状態のおっさんから
ヘルプが僕に届いた。

おっさん
「なんか、ニオイ消すやつ持ってない?
借してくれへん?」

僕は、遠い目をしながら答えた。
「ワキの制汗スプレーならあるけど…」

おっさんは、食い気味で懇願してきた。
「それでいい!!!それでいいから貸して!!!」

なんだか必死なおっさんを見ていると
一大事みたいだった。


「まあ…ええけど。ロッカーにあるから
ちょっと待ってて。」
僕は、そう言い残して
ロッカーへと向かう。

そして
自分のカバンから、制汗スプレーを取り出し
再び、おっさんのもとへ向かう。

「はいっ!これ。」

おっさんは、僕に
ペコっとしてから
いそぎ気味に
スプレーを両脇に吹きつけた。

シューーーッ!シューーーッ!!
シューーーッ!シューーーッ!!

満面の笑みのおっさんが言う。
「ありがとう!!これでイイにおいやわ!!!」

自信満々のおっさんが、スプレー済みの
両脇をクンカクンカと臭ってから一言。

「んん~ッ♪僕のワキいいにおいッ♪
完璧ッ!!!」

(あら……そう……笑)

おっさんからスプレーを返してもらった僕は
それを、カバンにしまうために
ロッカーまで来た。

そして、自分のスプレーのニオイって
どんな匂いだったけな?と思い
表面を見るとそこには

”無香料”と書かれていた…
 
また次回。

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(๑╹ω╹๑ )