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「絵本」を描いてみたい!! 絶対に受かりたい!! から生まれたキャラクター

 今、保育園や園の先生たちの間で話題の、ツノがついた可愛いおにのキャタラクーをご存知でしょうか。その正体は”おにのこ にこちゃん”。毎月25日は”にこちゃんの日”、と勝手に命名してポプラ社では、「おにのこ にこちゃん」にまつわる記事や呟きをSNSなどで行っています。

2月25日はスペシャルなにこちゃんの日ということで、「おにのこ にこちゃん」のイラストを手掛け、イラストレーター、アートディレクターとして活躍されている原あいみさんに、”おにのこ にこちゃん”誕生のきっかけから、お仕事について子育てについて語っていただきました。

【おにのこ にこちゃんとは】おにのこ にこちゃんは「イヤイヤ期」のお子さんとパパママおよびその周りの人々を応援するプロジェクトのキャラクターとして生まれました。お話をケロポンズさん、イラストを原あいみさんが担当。悩みが多く、子育てが大変な時期だからこそ、絵本のにこちゃんといっしょに「にこっ」と笑顔の瞬間が増えますように、との願いが込められています。

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きっかけはキャラクターコンペ

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原あいみさん:当時私はまだ、絵本の実績は少なく、大人向け、特に女性向けの広告や販促物のイラストを描くお仕事が主で…。でも、育児真っ最中にこのお話を聞き、今のリアルな感覚を活かして、ぜひ「絵本」を描いてみたい!!絶対に受かりたい!!と、かなり鼻息荒く(笑)コンペにのぞみました。コンペには3つのキャラクターでエントリーしました。

もともと動物よりも「人」を描くことが好きで、もしもこの挑戦が叶って絵本を描けることになったら、やっぱり自分がいっちばん描きたいもので制作していきたいな…と思い、最後の一つを娘をモデルにしたキャラクターにしようと考えたのでした。

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▲赤ちゃん絵本のキャラクターに選ばれた”にこちゃん”。当時のイメージでは黄色がメインカラーで、雰囲気もちょっと違いましたね。

 その頃ちょうど娘はいわゆる「イヤイヤ期」真っ盛りで…全力で喜怒哀楽を溢れさせる娘の姿を見て、なんか「鬼の子がおる…w」と思ったのがきっかけです。

その頃は、育児しながら仕事をするという毎日が、本当に怒涛のように過ぎていて、今思い返してもちょっと記憶がないくらい(笑)。

そんな日々でも、とにかく私は娘の様が面白くって。その思いをこの「にこちゃん」に込めようと思って、絵日記に残した娘の表情をたくさん見返して描き上げました。

キャラクターに命を吹き込む

 にこちゃんが、どこか昭和な香りのするキャラクターだったので、パパとママはちょっと今時でおしゃれなキャラクターにしたいなと思い、自分が憧れているおしゃれなママ友、パパ友を思い描いてラフを描きました。

でも、編集担当者さんに、にこちゃんはイキイキしているのに、パパとママがなんか「生きて」いない。とダメ出しをもらうことに。無理していたのがバレた気がしました。そして、担当者さんが私のInstagramを見ながら、「これ、あいみさん家族にしちゃった方がいいですよ!」と、アドバイスが……。

パパキャラこれで大丈夫?

「でも、うちの夫、こんなヒゲキャラですよっ大丈夫ですか?」と確認したんですが、「いや、このパパが逆に味わい深い!鬼だし、ヒゲでもいいんじゃない!」と! 結局我が家の人物像がモデルとなって、にこちゃんのパパとママが完成しました。

ちょっと照れ臭さもありますが、仕草や表情を描く時に、無理なくいつもの日記のように描けるので、そこは良かったかなぁと思っています。

絵本作りのときに、考えていること

3巻内容見開き1

▲3巻目の『おにのこにこちゃん かって かって ぽん!』では、にこちゃんがおかあさんと一緒にお買い物へ出かけます。

 自分の娘がモデルだったこともあり、とにかく表情や仕草にこだわりました。子育てしているパパさんママさんが、「あぁ、わかる、こういう顔するよねぇ」と思ってもらえるような、そんなキャラクターにしたいなと思って、描いています。


 あとは、にこちゃんのお話は、いたって普通の日常であることが多いのですが、そのなんでもない毎日の出来事が、なんとも素敵で、かけがえのない日々だなぁと、子育てをしながら自分も思っているので、大変だけど、どうかどうか今を楽しみましょう!!という思いを込めてるかもしれません。(慌ただしい日々の中で忘れてしまいそうなので、自分にも言い聞かせる感じで思いを込めています)

絵本『おにのこにこちゃん』の完成へ

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 まず、絵本の形になる前に、原作のケロポンズさんから原稿が届いたときに、それまでイメージでしかなかったにこちゃんが、いよいよ動き出したぞぉーーーっという感じが現実的になりました。

サムネイルのような絵も全編に添えてくださっていて、すごくワクワクしたし、単純にイチ母として、ケロポンズさんの歌と踊りが大好きだったので「ケロポンズの生原稿だーーー!!」って(笑)


音の響きとリズム感が楽しいー!さすがー!って思いましたね。発売の時は、大々的にイベントも開催していただき、ケロポンズさんと一緒に読み聞かせをするという貴重な経験もさせてもらい、家族も駆けつけてくれました。

なので、娘にとってはイベント込みで特別な思い出になっているようでした。自分がモデルになっているというのも嬉しいようです。夫は、自分に似たパパが出てくるのに対して、「これ、大丈夫…?」と今でも少しだけ心配しているようですね。

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▲メディアの方々にもたくさん取材に来ていただいて緊張のデビューイベント。ケロポンズさんたちのライブも聞けて本当に贅沢な1日でしたね。

にこちゃんのモデル、我が家のにこちゃんについて

 ずっと娘の絵日記を描いているせいもあって、とにかく私は娘の全てが興味深くて仕方がありません。

どうして今これがブームなんだろう?なんでこんなことやったんだろう?なんでこんなに怒ってるんだろう?という思いで見ていると、ちょっと腹が立つことやイライラしてしまうことも、面白がれるというか、そういう目線を大切にしています。その点では、絵を描く仕事をしていたことに感謝です。

娘がおもしろい


3歳ごろ、感情の起伏が激しくて、とても泣き虫で、ちょっと手がかかる時期があり、自分たちが甘やかせすぎたせいで、打たれ弱い子に育ってしまったんじゃないかと悩んだ時があったのですが、「間違ってこんな子になってしまった」なんて考えるのは、なんというか娘に対して失礼で、そんなふうに考えること自体が悲し過ぎると思い「いや、大丈夫!この子らしさを大切にし、この子の事を信じよう!」と自分の気持ちの持ちようを変えた辺りから、なんというか、自信を持って娘の良さや成長ぶりを信じることができるようになりました。

 なので、とにかく、どんな子に育っていっても、ママは君が面白いし、大好き。というどっしりとした、揺るぎない感じでいたいな、と、思っています。

家族は”持ちつ持たれつ”という共同体に

 夫はもともと家事が得意な方ではなく、子供がいない頃はできる家事が正直それほど多くはありませんでした。が、子供が生まれ、共に割とハードな働き方をするタイプなので、このままではマズい、家の中が破綻する!と思ったみたいで、どんどんできる家事が増えていきました。

今では、余裕がある方が、ごはんを作る。余裕がある方がお迎えに行く。持ちつ持たれつ。という共同体になっていると思います。もう、本当に感謝です。

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▲原さんのおうちのように、にこちゃんのおうちでもお父さんが家事を担当している様子が描かれています。

にこちゃんのモデルだった娘も、いよいよこの4月に小学生になります。月並みな言い方ですが、本当にあっという間の6年間でした。どの年代にも、その時ならではの大変さと面白さが共存していましたが、記憶がどんどん上塗りされていくのを感じています。

その時々で悩みも違い、ひとりで抱え込むと本当にいい事がないので、とにかく些細なことでも、誰かに話すことって大事だなと痛感しています。自分と違う視点が入ると気づきもあるし、共感してもらえたらホッとするし、先輩から「大丈夫」と言ってもらえれば自信にもなります。

家族、園の先生、お友達、SNS……。これはきっと子育てだけでなく、どんなことでも、とにかく誰でもなんでも話しやすい相手で良いので、”悩み”は絶対に吐き出しましょう!

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▲フォロワーもたくさんいらっしゃる原さんのInstagramでは、実際のお子さんとのエピソードがイラストになってアップされています。共感の声や悩みなどの相談が届くことも……。https://www.instagram.com/aimihara/?hl=ja

 0歳から振り返っても、改めて育児って、そのほとんどが面倒くさい事ばかりだなと思います(笑) 育児って面白いですかと言われると、私は「はい!面白いです!」と100%は言えません。でも、娘のことは面白いなぁーと思えています。それで随分と楽しい日々が送れているように思います。

ほんと、育児は面倒くさい事ばかりですが、我が子の事を面白がれたら、だいぶ楽しくなるのではないかなと思っています。

メッセージ

おにのこにこちゃんについて

にこちゃん浸透してほしい

 いわゆる「イヤイヤ期」と呼ばれ、ちょっと大変なイメージがある1−2歳ごろの育児ですが、にこちゃんの認知度が上がるに連れて、イヤイヤ期のちびっ子たちの、あの溢れる感情、溢れるパワーを、子育てに関わる人だけでなく、社会の皆さんが知ってくださり、育児中のパパさん、ママさんが、ビクビクしたり、ドキドキしたりすることのないような世の中になってくれたらいいなぁなんて、思います。  

「あらあら元気なにこちゃんね」とか「今日はうちの子がすごいにこちゃんぶりでお騒がせしました!笑」と、みんなで面白がれたらいいなぁと。絵本のにこちゃんが、そんな大役を果たしてくれる子に育つことが夢です!

原あいみ:イラストレーター/アートディレクター           デザイン会社(京田クリエーション)勤務 。「素人ですが、デザインしてみました。(パイ インターナショナル)」発売中。えほん「おにのこにこちゃん」、Ameba公式トップブロガー「のちの日々」更新中。