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絵本作家・塚本やすしの「ヘンテコな」頭の中 『おにの パンや』刊行記念インタビュー!👹🍞


『おにの パンや』(作・塚本やすし)


もしも、鬼たちが暮らす地獄にパン屋があったら……。あなたはどんなパン屋を想像しますか? 怖そう? まずそう? 気味悪そう? だけど、意外と美味しいかも。
そんな想像がモクモク膨らむ新刊絵本『おにの パンや』が好評発売中の絵本作家、塚本やすしさんに刊行記念インタビューを行いました! 
「『おにの パンや』には、ぼくが頭の中で考えたヘンテコなことがいっぱい詰まっています。難しいことは考えず、頭をゆるめて楽しんでください
そう語る塚本さんが、本作にふんだんに盛り込んだ「ヘンテコ」とは一体なんなのか。 『おにの パンや』の制作過程を追いながら、作品に込めた想いを伺いました。(文・聞き手:ポプラ社編集部)


絵本作家の塚本やすしさん

塚本やすし
東京都出身。主な絵本に『このすしなあに』『はしれ! やきにくん』『とうめいにんげんのしょくじ』『もうじゅうはらへりくま』『とんかつの ぼうけん』(以上ポプラ社)、『焼けあとのちかい』(半藤一利・文/大月書店)、『ありがとうございます』(冨山房インターナショナル)、『カップねこ』(ニコモ)、『はなげ小学生』(すけたけしん・文/小学館)、など多数。『しんでくれた』(谷川俊太郎・詩/佼成出版社)で第25回けんぶち絵本の里大賞びばからす賞、『やきざかなの のろい』(ポプラ社)で第6回リブロ絵本大賞・第9回ようちえん絵本大賞。『戦争と平和を見つめる絵本 わたしの「やめて」』(自由と平和のための京大有志の会・文/朝日新聞出版)で第7回ようちえん絵本大賞など、受賞多数。日本全国の図書館やイベント会場、書店等で読み聞かせとライブペインティングを行っている。

 
――はじめに、「鬼」×「パン屋」というテーマはどうやってうまれたのでしょうか?

塚本やすしさん(以下、塚本) お話のテーマはいつも、「こどもが興味のあるもの」から考えます。ぼくもそうでしたが、小さいころに「怖いもの」への興味はみんな持っていると思うんです。そこで「地獄の鬼」のお話をつくりたいな、と考え始めました。

――地獄のお話を考える中で、どうして「パン屋」に?

塚本 地獄の鬼のお話をつくろうと思ったときに、「鬼たちが地獄でどんな暮らしをしてるんだろう?」と考えたんです。悪さをした人間を懲らしめる以外には何をしてるんだろう……? 地獄にはどんな町があって、どんな歴史や文化があるんだろう……? そんなことを考えているうちに、地獄にだって人間を懲らしめる以外にも色々な仕事をしている鬼がいるんじゃないかなと思って、「おにの○○屋」というお店屋さんのお話を書こうと決めたんです。
もつ焼き屋が好きでよく行くので、最初は「おにのもつ焼き屋」と思ったんですが、こども向けではないのでやめて(笑) こどもがみんな知っていてイメージしやすい、パン屋さんをテーマにしました。怖い地獄にかわいらしいパン屋さんがあるっていうのもコミカルだったので、面白くなりそうだと思いましたね。


――テーマが決まってから、ストーリーはどのように決めていきましたか?

塚本 最初、地獄にはどんなパンがあるのか、想像もつかなくて。悩んでいるうちに、鬼のパンと人間のパンの違いって、海外の食事と日本の食事の違いみたいかもしれないなと思ったんです。海外の食べ物って、その国では人気でも、日本人のぼくにはあまり親しみの無い食べ物もあるじゃないですか。逆に、外国から来た人には親しみが無いけど日本で人気の食べ物もあって。場所が変われば、食べ物の好みの基準も違う。そういう「異文化」の経験があったので、鬼のパン屋のパンも、地獄では人気だけど人間の世界では大不評……。そのくらい変なパンがあってもいい! と思って、地獄のパンのイメージを作りました。それで、鬼たちがその変なパンを人間に食べてもらうにはどうするかをお話にしたら楽しいと思って、鬼たちが人間の世界に行き、○▼※△☆▲※◎★●!?(編集部注:ネタバレは記事では隠しといて! by塚本さん)するという話ができあがりました。

――パン屋の3人の鬼たち(あかおに、あおおに、ねこおに)がとても楽しく活躍するお話ですが、このキャラクターたちはどのようにうまれましたか?

塚本 ストーリーの展開にどういう役割の鬼がいたらいいか考えて、キャラクターを作っていったら自然と3人組のパン屋が生まれましたね。しっかりものの「あかおに」と、食いしんぼうの「あおおに」、あと、お調子者の「ねこおに」です。もしかしたら地獄には猫の鬼もいるんじゃないかと思って(笑)鬼の絵は、最初は少し怖く描いていたんですが、かわいいバージョンも描いてみたら、それがしっくりきて。ぼくが考える「おにのパン屋」らしい3人の絵ができあがりました。


ラフ時点で描かれた3人の鬼たち。作品に出てくる絵とほとんど同じで、かわいい。


――3人の鬼たちにはモデルがいるんでしょうか? それともオリジナル?

塚本 特にモデルはなく、キャラクターの性格に合わせたイメージで描きました。鬼が長靴を履いているのも、この絵本のオリジナルです(笑) 細かいところにはこだわりすぎず、読むこどもたちに興味を持ってもらえるように、地獄や鬼の設定もアレンジしています。何度も読み返して、絵も隅々まで楽しんでもらえたら嬉しいですね。


――この絵本オリジナルの地獄の描き方で注目してほしいポイントはありますか?

塚本 色々あるけど、鬼たちが乗っているキッチンカーかな。キッチンカーのデザインをアメリカのカスタムカー、ホットロッドっぽくしたんですよ。 鬼たちが自分の車をカスタムしてたらこんな感じかなと思って(笑)ぼく自身も乗り物が好きで、自転車だったらこれまで100台以上はカスタムしたと思うんだけど、地獄にもそういう趣味を持つ鬼もいると思って、キッチンカーをカスタムしたんです。人間の世界のキッチンカーも法律の範囲内でカスタムしたものはあるけど、地獄の世界のキッチンカーは出来るだけヘンテコに、自由に作りたかったんです(笑)


絵本の中での、キッチンカー登場シーンに是非注目!

――それでは最後に、塚本先生が考える『おにの パンや』の魅力をお聞かせください!

塚本 『おにの パンや』には、ぼくが頭の中で考えたヘンテコなことがいっぱい詰まっています。難しいことは考えずに、頭をゆるめて、ぼくの考えた地獄の世界と鬼のパン屋を面白がってくれたら嬉しいですね。
『おにの パンや』は、マンガのような表現だったり、ページの使い方だったり、いわゆる昔ながらの「絵本」のルールに縛られず、今のこどもが楽しく読めるようにこだわってつくったので、シンプルに楽しんでください!


ギャグ漫画のように驚く赤鬼。何があったのか!?


「地獄ってどんなところだろう……?」そんな想像が膨らんで(パンだけに🍞)、誕生した『おにの パンや』。その、ちょっと不思議で、どこか魅力的な世界は、塚本さんご自身の体験・経験と、ヘンテコな想像力が掛け合わさって生まれたものでした。人間の世界にやってきた「おにの パンや」は一体どうなるのか? 気になる結末はぜひ絵本でご覧ください!

最後まで記事(生地、パンだけに🍞)をお読みいただきありがとうございました!