【漫画×児童書】の異色のコンビネーションで大人気!ときめきの「ツボ」をぎゅっとつかむ『ティンクル・セボンスター』創作秘話💎✨
カバヤ食品のロングセラー玩具菓子「セボンスター」の世界観を、低学年女の子向けの物語にしたシリーズ、ティンクル・セボンスター! ひっこみじあんな女の子・アンナと、セボンスターの妖精・モモたちとのドキドキの冒険を描くファンタジーです。
作者は漫画家としてご活躍されている菊田みちよさん。2015年の1巻目の刊行以来、累計15万部を超え、たくさんの方に愛されているシリーズが、昨年12月刊行の8巻で完結しました!
今回はこのシリーズ完結を記念して、作者の菊田さんにインタビュー! 聞き手は編集担当の潮(初代担当)・上野(7・8巻担当)です。
もともと、編集担当が玩具菓子「セボンスター」が大好きで、乙女の憧れがつまったこのキラキラの世界観にストーリーがついたら、どんなに素敵だろう…! 子どもたちに本を通して、セボンスターのときめきをもっと届けたい! という思いでスタートした、本シリーズ。できるなら絵はたっぷりにして、読書はあまり得意ではない子にもぜひ読んで欲しい…という贅沢な願いを、見事に叶えてくださったのが菊田みちよさんでした。
漫画×児童書という異色のコラボレーションがいかにして生まれたのか? 漫画と児童書の違いとは? などなど、漫画家さんならではの視点からたくさん面白いお話を伺えました。
ぜひ、最後までお読みください!
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漫画家から児童書作家へ
――長らく漫画家さんとしてご活躍されてきた菊田さんですが、「児童書を書きませんか?」とご依頼させていただいた際には、どう思われましたか?
(菊田)いや、もう全くやったことがなかったので、「小説とか書けないでしょ!」というのが最初の感想でした(笑)
でも話を聞く中でなんとなくイメージができてきて…そして「子ども向け」という点は、これまでの漫画のお仕事と同じだったので、どうにかやれたのかなと思います。
(菊田)でも最初の1・2巻くらいはどのくらい書けばよいのか、文章量がわからなくて。かなり多く書いてしまったので、96ページに収まるように削って、削って…という感じでした。シリーズを重ねるにつれて、慣れてきたかなと思います。
(潮)でも、苦労されたのはきっとその文章量の面だけで。最初から「女の子に何が響くのか」というツボをしっかり理解されていて、そこをしっかり盛り込んでくださるので、あまり悩んでいらした印象はありませんでしたよ。
(菊田)いやいや! 設定づくりとかはすごーく悩んで、6~7時間くらいず~っと潮さんと話して、それでもまとまらなくて、じゃあ次回に…なんてこともありましたよね。どうにかプロットを出して、そうしたらそれに潮さんがコメントを書き足して、さらに修正して…というやりとりを何回も繰り返しながら作っていったので、ひとりで書いているという感じはしなかったです。
――漫画パートと文章パートが、絶妙に入り混じってストーリーが展開されていくのが、このセボンスターシリーズの特徴ですが、このバランスはどうやって決めていったのですか?
(菊田)これは参考にした本があるんですよね!
(潮)そうそう、「おばけマンション」というポプラ社のシリーズがあって、これを参考書籍として菊田さんにもお見せしました。
(潮)でも実際にはこの本よりさらに「漫画」要素の強い本になったかなと思います。
ただ、漫画は見せ場のひとつではあるけれど、あくまで読み物として届けたい、という気持ちがあったので…だいたい、漫画ページは全体の約4分の1に収まるようにしています。
(菊田)基本的に、絵で見せたほうが映えるシーンは漫画にしてますよね。変身シーンとか、呪文のシーンとか。
(菊田)あとは、文章パートは1ページに入る文字数が決まっているので、お話の展開上絶対に必要! でもページ数に収まらない…というシーンは漫画にして、ぎゅっと詰め込んじゃう、ということは結構ありましたよね(笑)
漫画だと表情ひとつで簡単に伝わるけど、文章にすると長くなってしまって、テンポが悪くなってしまうこともありますし……。
(潮)普通の児童書には、ここまでエモーショナルな作品はないですよね。漫画家さん発だからこそ、感情に訴えかけてくるストレートな表現が魅力的。絵で見せる部分、文で読ませる部分、両方あるので重くなりすぎず、読者の方が感じとる余白があるのも良さかなと思います。
胸キュンだけど恋愛ではない
――菊田さんの作品に共通する、胸キュン要素。そのアイデアはどこから生まれるのでしょうか?
(菊田)うーん、特に意識はしていないですけど、やっぱり「なかよし」時代の経験からでしょうか。
胸キュン、と言っても、恋愛要素ではないんですよね。
わたし自身、子どものころから少女漫画はいろいろ読んでいましたけど、「男の子がかっこいい」と思っては読んでいなかったなと思います。そう思いながら読むようになったのは、もう少し大人になってからかも。
それよりも、女の子のかわいさへのあこがれとか、絆とかに惹かれていたように思うので……セボンスターも、恋愛要素はまったくなかったですもんね。
(上野)たしかに! 男の子の妖精がいない世界、というわけではないんですけど、ストーリー展開を考える上で、恋愛要素の必要性は感じませんでしたね。
(菊田)無理に入れないようにしているわけではないんだけど…本当にただ必要がなかっただけです(笑)
試行錯誤の執筆&作画過程
――お話の中に挿絵や漫画がふんだんに盛り込まれている「ティンクル・セボンスター」シリーズ。どういう順番で描かれているのか、ぜひ教えてください!
(菊田)
ストーリーについては、さっきお話ししたように、まずプロットを書いて、それにコメントをもらい…修正し…と繰り返して、プロットがある程度固まったら、そこから台詞や細かい設定などを膨らませて原稿にしていきます。
そしてできあがった原稿は、96ページにおさまるように(編集者に)レイアウトしてもらい、そのレイアウトを見ながら、まずは漫画パートの絵から描き始めます。
★以下、8巻p32-35を例に、作画の流れをご紹介します。
(菊田)そういえば、児童書を書くようになってから、漫画も文章で書く機会が増えました。
(上野)え! 漫画の制作過程では、文章の形では一切書かないんですか?
(菊田)もちろんプロットは書くんですけど、そこからいきなりネームに入るのが一般的だと思います。
でも、私は最近は、プロットとネームの間に文章(シナリオ)を書くようになりました。
(菊田)シナリオを書くとその分、手間はかかるんです。でも、いきなりネームに入ると、コマ割り、台詞、構図とか……一度に考えないといけないことが多くて、疲れちゃうんですよね。
その点、シナリオがあれば台詞は決まっていて、1ページにここまで入るというのも決まっているから、ちょっと楽で、今はこの書き方が気に入ってます。
児童書だからこそできたこと
(以下、最終巻8巻のネタバレを含みます)
――台詞やストーリー展開を考える上では、漫画と児童書、ここが違う! という感じた部分はありますか?
(菊田)うーん、そんなにはないけれど……児童書だからこそ、それぞれのキャラクターの口調に特徴をつけよう、というのは意識していました。
漫画だとキャラクターのすぐ横にふきだしがあるので、誰の言葉かわかるけど、文章だとそれがわからない。なのでせりふだけでも誰かわかるように、キャラクターのしゃべり方に個性をつけました。おかげで、「マロン(※主人公が飼っているうさぎ)はなんで関西弁なの?」というお手紙はたくさんいただきましたね(笑)
(菊田)あとはストーリー展開については、児童書のほうが若干おとなしめ、真面目だな、とは思います。
漫画だともっと無茶苦茶で、とんでも設定がありうる(笑)セボンスターにもギャグは意識して入れていましたけど、なんていうか、品がいいですよね。
特に感じたのは、8巻の終わり方。ネタバレになってしまうのですが、人間界に住むアンナと宝石の国に住む妖精モモは、最後、それぞれの世界で生きるためにお別れをします。でも漫画だと、この切ない「別れエンド」にはならなかったかも。もっとハッピーに、びっくりするような設定を出して大団円で終わり!って。そこをあえて切ないシーンを入れるっていうのは、児童書ならではだったかなあと思ってます。
(上野)なるほど…! ふたりが別れないというラストは、全く想定していませんでした。
(潮)わたしも。むしろその「別れ」が見せ場のひとつと考えていました。児童書だとやっぱり、この切なさも含めて読者に感じてもらって、「成長の糧にしてほしい」という思いが強いのかもしれないですね。
さいごに
――読者の方へメッセージをお願いします。
(菊田)この「ティンクル・セボンスター」シリーズは、小学校の低学年向けに書いた作品ですが、ぜひ、大きくなってからも読んで欲しいなと思います。「闇」との付き合い方のくだりや、アンナとヴィクトリア(ライバルとして登場する少女)の血縁関係にかかわるエピソードなどは、もしかしたら
小学校高学年・中学生になって読むとまた、違った感想を持ってくれるかなと思うので…大きくなってから再会することで、そういう深いところにも気づいてもらえたら嬉しいです。
あとは「(うちの子は)マンガしか読まないけど、このティンクル・セボンスターなら読める」というご感想もいただいて、まさにそういう本にしたかったのでとても嬉しかったです。読書のハードルを下げる本として、ぜひこれからも手に取って読んでみてもらえたらなと思います。
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菊田みちよさん、ありがとうございました!
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なお、この「ティンクル・セボンスター」シリーズは今年2月末から、以下のポプラ社ECサイト「kodo-mall」内にてスペシャル特典つきの全巻セットを販売予定です!
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珍しいセボンスターをゲットできるチャンスです!
詳細はポプラ社公式ツイッターにて後日、お知らせさせていただきますのでお楽しみに♪
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