ひよこが絵本から飛びだした!『とりかえっこ』――絵本を思い出すところ#7
絵本の中の風景へ想いを巡らすとき、それを手にした幼い頃の記憶もまた、絵本の思い出の一部になっていく――そんな「絵本を思い出すところ」を編集者とカメラマンが探していきます。
ぴよ ぴよ ちゅう ちゅう
遊びに出かけたひよこが、
ねずみさんと鳴き声を「とりかえっこ」。
ぴょこん! あら、ふしぎ!
ひよこが絵本から飛びだした!
さあ、冒険のはじまり。ひよこは、どこへいくのかな?
階段をのぼって、草むらのわきを駆けぬける。
ひよこは、ちょっとひと休み。
ぴよ ぴよ
まんまるのボールを見つけた。
「ぼくと同じ色だね。」
ぴよ ぴよ
白い綺麗な花や、赤くてかわいい実も見つけた。
絵本の外には、見たことのないものがたくさん。
「でも、なんだかさみしくなってきた。
おかあさんや、おとうさんに会いたいなあ。」
「おかあさん、おとうさん、ただいま!」
「おやまあ このこ どうしたのかしら」
ひよこは、無事に絵本の中へもどっていきました。
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『とりかえっこ』 作/さとうわきこ 絵/二俣英五郎
「あそびにいってくるよ ぴよ」。でかけたひよこは、出会った動物たちと次々になき声のとりかえっこをしていきます。 ねずみさんととりかえっこして「ちゅう ちゅう」、ぶたさんととりかえっこして「ぶう ぶう」……。帰ってきたひよこの声に、おかあさんはびっくり!
シンプルながら、ふしぎな展開がくせになる、何度も繰り返し読みたくなる1冊。声を出して絵本を読むことが、自然にあそびへとつながっていく、読み聞かせ絵本の名作です。
https://www.poplar.co.jp/book/search/result/archive/3130021.html
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(文・編集/齋藤侑太 写真/白井晴幸)
ポプラ社 齋藤侑太
1985年、茨城県生まれ。2012年、ポプラ社入社。営業職、社内デザイナー、幼児向け書籍の編集を経て、2020年から絵本の編集を中心に担当。
白井晴幸
東京都生まれ。2010年、多摩美術大学卒。作家として活動する傍らカメラマンとして本の装丁や風景、建築などを撮影している。≪Website≫