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ポップインサイト創業記(22)~使いやすいサービスを目指して試行錯誤

起業当時の私は、実際の納品を行う中でクライアント目線に立ったサービスのブラッシュアップを、徹底的に行なっていきました。今回はそんな当時の取り組みをお伝えしていきます。

動画データは使いづらい

当時のユーザーテストは、テストを実施している状況を収録した録画データを納品して、サービス提供が終了という形が一般的でした。私の前職のビービットも、モデルにしていた海外のUserTesting.comも同様。動画をクライアントに納めるというのがゴールです。

私も、起業前のポエガさんや、トレジャーハントさんへ納品した際は同じ形を採っていました。しかし、実際にサービスを提供していくなかで、「動画だけを渡す形では、クライアントさんは使いにくいのではないか」ということに気づいていました。

その一方で、どっぷりと一社一社のクライアントに、コンサルティングとして介入するのは難しいと。ビービット時代にはイチ社員として、コンサルタントという立場で1件ごとのクライアントに深く入った取り組みをしていましたが、企業の代表としてはそうもできません。

動画を自分で深く分析し、それを1つ1つの会社にコンサルタントしていくというのは、全く不可能ではないものの、個人負荷が大きくて、会社として広く展開していくのは難しいと。

あくまで、サービスとして、会社としてのスケールを考慮しながら、水平展開できるような形を確立する必要がありました

「操作&発言の全文起こし」をスタート

動画だけ納めても、クライアントにとってはそれを自分達で最初から最後まで見て、さらに分析までするのは難しい。そんな問題を解決するにはどうしたら良いかとずっと考え続けていた私は、1つの着想に行き当たりました。それは「ユーザーテストの付加サービスとして、文字起こしを付けてみてはどうか」というアイデアでした。

(▼当時つけた「文字起こし」のサービス)画像1


クライアントにとって、動画を最初から最後まで見る時間や手間を捻出するのは難しい。でも、文字起こしがあれば、さっと全体に目を通すことができます。重要な箇所や気になる所だけをピックアップすることもできるのです。

文字起こしであれば、私が自分で作成することもできるし、誰かにお願いすることも可能です。

そうは言うものの、実際にはかなりの文量になります。全文を文字に起こすわけですので。しかし、物理的に対応できることではありました。これなら全てのクライアントに対して水平展開することが可能なサービスになり得ました。

「大変ではあるが、クライアントにとって大変有益である」と。当時の私は、この全文起こしのサービスをユーザーテストに付加することを決断しました。


二次情報から一次情報に直結

そして、着想を実行に移し、クライアントに文字起こしを付けて納品をしました。狙いは当たり、大変な好評を得ることができました。

しかしそんな中で、私は次なるアイデアをひらめいていました。「文字起こしの、ここの部分だけをパッと見たいという希望がありそうだな」と。

文字起こしを見ると、クライアントさんは必ず、「ここの部分だけは動画を確認したい」と思うと。そんな時に、最初から動画を再生してそこの部分を見つけるのは大変です。

そこで、二次情報である『文字起こし』にボタンを付けて、ワンクリックで一次情報である『動画』の該当箇所を再生できるようにすることを思いついたのです。

(▼文字起こしにボタンを付けて動画の該当箇所に飛べるようにしました)スクリーンショット 2020-06-17 11.46.19

早速、私は文字起こしのエクセルシートにボタンを付けて、クライアントがクリックするだけで一気に動画の希望の箇所を再生できる仕組みを作りました。要するに、一次情報と二次情報を直結して、指定のところに一気に飛べるようにしたのです。

これがあれば、個人で見たい動画の箇所をすぐ見ることもできるし、チームミーティングなどの場でユーザーテストの結果を情報共有する時にも、希望の箇所をすぐ再生して皆で見るといったことができるようになります。

結果、この新サービスもクライアントさんから大変好評を得ることができました。

スマホで見れることを提案

さらには、クライアントの方々も皆さんかなり忙しい人が多いと。実際に、動画を見るためにパソコンと向かい合う時間を捻出するのが難しい人も多いという現状がありました。

そこで、スマホでも動画が見れるような形を提案するようにしました。この情報提供も、「パソコンで動画を見る時間を作るのはむずかしい中で、移動しながら外で見ることができるのはすごく便利ですね!」と好評を得ることができました。

このように、私はどうしたらクライアントに使いやすいサービスを提供できるかということに、徹底的に考えて取り組んでいました。実際に顧客に納品していく中からアイデアを着想し、速実行に移していったのです。

こういった徹底したクライアント思考と、ベンチャーならではの他社にない圧倒的なスピード感で取り組んだ所、取引先から着実に信頼を積み重ねていくことができていったのです。

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