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34 note展 ペン画作品解説#2「列車の夢をみる」

というわけで、日常でふと感じた感覚を歌うように描く。
をテーマにペン画を描いている
34(さよ)です。

この企画は、noteにwebの展として
自分の作品の解説をすることで、
誰でも気軽に作品を味わえるようにしよう。

という個人企画です。

作品のご感想等ありましたら、
ツイッター@poolside34宛てにいただけますと嬉しいです。

第1回目の作品解説はこちらから。

第2回目はまた、初期の作品である
「列車の夢をみる」の解説をします。
第1回目に紹介した作品から
2年ほどの後に作成した作品です。
今回はなぜ、頭がペンギンになってしまった人の絵を描いたのか
を中心に絵を解説したいと思います。



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「210 mm x 297 mm ミリペン 2012年


この記事の音声解説版は上のページから視聴いただけます。
BGMはフリーBGM DOVA-SYNDROME様より
「ふわぽよな日常」をお借りしました。


1.作品のコンセプト

通勤列車にのっていた時のこと、
つり革にしっかりとつかまったまま、
首をがっくりと落とし、うなだれて眠っている
サラリーマンが目に入りました。

その姿が強く印象的に映ったのと
サラリーマンのうなだれた首があたかも
ペンギンのように見えたことから、
わたしが見た「現実の景色」と
「現実でない景色=夢」が重なった世界の葛藤を描こう
と思い、
この作品を作りました。


2.作品に描かれているもの

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意識が泡のように遠のいていくことで、
無意識が積み重なって中心のペンギンの形が
浮かび上がっていき、彼の目的地である街も、
ペンギンの後方へおいやられてしまいますが、
個人の意識としてはつり革をしっかりと掴んでおり、現実にがっちりと繋がれているのです。
なので、街のことを遠くへ追いやりつつも
どこかで街を意識している部分があります。

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生い茂る夢から出てくるのは、道路標識で、
彼が何を選ぶのかを見つめています。
同時に夢は標識の存在を覆い隠してもいます。

夢から生まれたものは基本的に非現実的なもの
なので、夢からぶら下がっているつり革も
それを握って、現実的であろうとするサラリーマンもこの瞬間は、
非現実的なものとなりつつあり、
スーツの柄もごちゃごちゃになって
誰だかわからない状態になっています。

そうやって意識は遠のき、
夢は広がるように生い茂っていきますが、
同時に現実へと戻るようにこぼれ落ちつつあるのです。

夢は虚ろなもので、わたしたちが生きているのは現実なのですから。
でも現実もまた、どこか夢のようなところが
あるのかもしれません。


3.むすび

前回で紹介した作品では
人は登場しませんでしたが、
このあたりから人間が中心となっていきます。
けれど、特定のだれかというよりも
「誰でもない人」を描くことが増えていき、
顔がない姿にも徐々に表情が加えられていきます。
が、まだそれは先の作品でのお話なのです。

では、また次回の解説でお会いしましょう。