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34 note展 ペン画作品解説#1 「No2」

というわけで、日常でふと感じた感覚を歌うように描く。
をテーマにペン画を描いている34です。

この企画は、noteにwebの展として
自分の作品の解説をすることで、

誰でも気軽に作品を味わえるようにしよう
という企画です。

作品のご感想等ありましたら、
ツイッター@poolside34宛てにいただけますと嬉しいです。

第1回目は初期の作品である「No2」の解説をします。
後年の作品から見ると、あまり描き込みのない簡素な作品でありますが、
現在の作品に共通するテーマの始まりの作品でありますので、
1番最初の作品として解説させていただこうと思います。


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48 mm x 210 mm ミリペン 2010年(およそ)

この記事の音声解説は上のページから視聴いただけます。
BGMはDOVA-SYNDROMEサイト様より
「いつか街で偶然出会っても」をお借りしました。



1.作品のコンセプト

もう10年ほど前の秋の季節に、学生寮の階段を降りていたわたしは
ひやっとした空気がほっぺたから目玉の奥までひっかくような
秋の寒さを感じました。

それはとても不思議な感覚でした。

その空気を、感覚を絵にしてみよう。

これが私の今の絵のコンセプト
「日常でふと感じた感覚を歌うように描く」
のきっかけになったできごとでした。


2.作品に書かれているもの

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中心に描かれた細い手のようなものは、枯れ木です。
枯れ木が擦れるような、すこし心がざわつく感覚を表しています。

枯れ木からは賢い鳥がのぞいており、
この感覚について思慮を深めています。

左下にさらに手が添えられているのは、
頬杖をついてため息をつきたくなるような
不思議な空気であったからです。

ライトや風船、電話、クレーンは賑やかし隊。
秋の楽しみが遠くから訪れている嬉しい気持ちがあります。

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しかし、実際に生きている街というのは、どこか遠いところにあり、
魚たちも自由に動き回ることはなく、静かに窮屈そうにしています。
目は空想の景色を見つめ、

ハッと気づかされた新しい感覚をずっと見つめていたい。

と感じています。


3.むすび

初期の作品にはあまり人間が登場せず、
奇妙な生き物を中心に作品が構成されていきます。
ここから1年ぐらいかけて、
私の中で「人間が身近」になっていたことで
人間が絵の中心に登場していくことになります。

魚はこの頃から、「お決まりのモチーフ」
として登場します。
魚は幼い頃に写生をする対象であったこと、
ブリューゲルの「大きな魚は小さな魚を食う」
を美術の教科書で見て衝撃をうけたことから
「コミカル」かつ「グロテスク」なもの
「生」あるいは「死」の象徴として、
長く登場することになります。

では、また次回の解説でお会いしましょう。