海の近くで育った私が海からこんなに遠くに。この雨はどこから。
前々回に投稿した日記は海外旅行に出る前に書いたものだった。
今実際にシベリア鉄道に乗ってウラジオストクからモスクワまで抜けて、ドイツのハンブルクまできた。一応ユーラシア大陸ほぼ陸路で横断したことになる(キエフからワルシャワまでは飛行機使ったけど)。
今回旅行で一番海から離れた瞬間は、おそらくイルクーツクからエカテリンブルクへ行くシベリア鉄道の車内だ(都市で言えばクラスノヤルスク辺)。そのことは事前にルートを決めた時にわかっていたので、その車内ではしきりに車窓からの景色を見ていた。
想像していたよりも乾燥していなかった。草原や森林が広がっていた。
しばらく眺めているとなんと雨が降ってきた!これにはとても驚いた。草木があるから雨が降ることはわかっていたけど、自分の目で見れるとは思っていなかった。
この雨の水はどこから来ているのか。もちろん、大学で地理学を専攻していたので、海からの水蒸気だけが雨になるわけではないということは知っている(水収支の話)。
河川や植物から供給される水蒸気が雲になり、雨を降らす。ではその河川ができるきっかけになった一番最初の雨の水分はどこから供給されてきたのか、とその気候の成り立ち的な壮大な話になり頭がこんがらがり始めた(河川が先か雨が先か的な)。
ぼーっと雨が降る様子を眺めているとパッとひらめいた。
「もしかしてこれはハドレー循環が関係しているのではないか!??」
高校の時一番好きな教科が地学だった。受験用の参考書を自作するほど好きで、その中でも大気の大循環は地理の気候の話ともかぶるので特に好きだった。
地学の知識が地理で活かさせるって最高にカッコいいと思っていた。
ハドレー循環とは、空気が赤道付近で温められて膨張して軽くなって上昇する(赤道低圧帯)、だけど大気圏外には逃げられないので上空で南北方向に別れる。上空で冷やされて重くなって、南北30度付近で地上に流れてくる(亜熱帯高圧帯)、地中にはいけないので地上で南北方向に分かれて赤道方向にいった空気がまた温められて膨張して上昇していく循環のことだ。
ここまで書いてやっと気づいたけど、シベリア鉄道の車窓から見た雨はハドレー循環は関係なさそう。。。
クラスノヤルスクの北緯は56度ぐらいだし、そもそも亜熱帯高圧帯で下降してくる大気って乾燥しているんだった。
では、やっぱり水の供給は河川や植物からなのか。不思議だな。
勘違いだったけど、一瞬でも「今ユーラシア大陸の真ん中で降っている雨が赤道近くの海から供給されたものかもしれない」と思えたことはワクワクした。
まだ見ぬ世界と繋がってる感じがした。
自分のひらめきは完全に間違っていたけど、ロマンがあった。
文に書いてみて、間違いだと気づけてよかった。このロマンとワクワクは大切に心の中にしまっておこう。
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