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[20] 業界・事業分析で最も重要なこと

Cross SWOT, 5 Forces, 3C, PEST, Value Chain, VRIO, ...、数々のフレームワークで形容される「業界・事業分析」ですが、以下の声がよく聞かれます
● アウトプットがただのてんこ盛り、と言われる。
● 財務諸表と繋げる事は知っているが、もう少し全体像を備えたい。
● 中身が重複するフレームワークが乱立している気がする。

企業を診る「4要素」

財務分析に限らず「アクションプラン」に踏み込む事で分析は初めて価値を持つ中、上述の背景には「業界・事業分析」がアクション主体、即ち「経営者」を評価する視点を欠きがちな現状があります。

【図表20】は、企業を診る上で、フレームワーク理解に拘泥するより「事象を『経営者・業界・事業・財務諸表』の4要素に振分ける」事を知る方が、的を射た俯瞰が可能な事を示したものです。
(各要素の後に「評価」と付ければイメージがより湧くかもしれません)

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「作業の順」のポイントは2つあります。
1つは「業界・事業」より「財務諸表」を先に分析する点です。
回転と利幅、数量と単価、セグメント、限界利益と観点を絞る事で、例えば「減収」より「Aセグメント販売数量減少」の理由、の様に「業界・事業」を見る上で無駄が省かれた「問い」を得られます
(詳しくは[4], [17], [18], [19]などをどうぞ)

もう1つは「業界・事業」は「経営者」への材料に過ぎない点です。
「業界(外部環境)」に対応し「事業(内部資質)」を活かす主体としての「経営者(評価)」は最後の作業になります。企業を診る上での「結論」となる訳です。

「文章の順」では結論、即ち「経営者」を最初に持ってくると(自身の理解も含め)読者に優しくなります。
続いて、先に「業界」で読者の視野を広げ、社内に関する「事業」に入ればスムーズでしょう。具体像としての「財務諸表」は最後に来ます。
(収支予想は「財務諸表」に含まれます)

「経営者」に繋がらない「業界・事業分析」に価値はありません。
その認識を基に、解った内容を「外部と内部」の2つに峻別するのです。

シンプルなフレームワークで。
本当の財務分析はそういう所に関係する気がします。

追 記

「外部と内部」へ二分するフレームワークに、SWOTが挙げられます。
その出来は、書かれた「業界(O&T)」と「事業(S&W)」の内容が読者に「経営者」と「財務諸表」への連関をどれだけ想像させられるかに掛かっています。

即ち「財務指標の良し悪し」そのものは、何れのSWOTマスにも当てはまらないのです。

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