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出逢ってしまう、どうでもいい人

名前もわからない。
顔も思い出せない。

そんなどうでもいい人のことを、今、考えている。

あの人は、
落ち込んでいないだろうか…

そんなことを考える時点で、もはや全然どうでも良くないのかもしれない。


・・・・・・


私は今、一昨日行ったお店の店員さんのことを考えてる。

ご想像が膨らんでいるかもしれないが、
イケメンだったわけでもない。
というか女の子。
細くて可愛らしい。
10歳くらい年下かもしれない。
あの子がとびきり若いわけじゃない。
私がいい年齢なだけ。

あんまり接客に慣れていないような感じのあの店員さん。


お店で洋服を買うのは得意じゃない。
だからネット通販が多いんだけど、このところ失敗続き。

だからお店で試着をしてみたのだけど。

久しぶりに店頭での接客を受けてみて、正直疲れた。

褒める
共感する

の連投の攻撃に疲れてしまった。

「下半身太いんでパンツは合うのが少なくて…」などと本当のことを真顔で言っているのに、

否定する

で対抗するのはやめてほしい。
30年間以上生きているので誰かに否定されたところで「あらそう♡」と嬉しくなることは全くない。自分の身体は自分でそれなりに愛している。

ただ、「なるほど」とだけ言って、

提案する

でつないで欲しい。

ワガママなお客なのだけど、そんなことを思いながら買い物をしていた。


今気になっている店員さんは、「褒める、共感する、否定する、提案する」オンパレードで試着室から出た私を迎えてくれたのだけど、、、

どうしてもカーディガンに16700円払う気になれなかった。

シルクですか?と思うが、ポリエステルと綿だ。

そろそろ上質なポリエステルには名前をつけた方がいい。ポリエステリーヌ、みたいなポリエステルのお姉さんみたいな名前にしてさ。


じゃないと納得感がない。ポリエステルなのになんで高いの。

そもそも上質なポリエステルがあるのか知らないけど。

そんなことを思いすんごく良かったのに、買わずに移動した。


…あの店員さんの接客もまずまず悪くなかったのに。


その後、あの店員さんの接客よりあんまり心地よくないところで買い物してしまったから、私の罪悪感はふつふつと湧いて出た。

湧かなくてもいいところから罪悪感の原子を探して調合するのが特技みたい。


さて、あの店員さんが「ちょっとキツそうな先輩店員に怒られてないか」とか、「私が買わなかったことで変に自信をなくしていないだろうか」とか、そんなことを考えている。


せめて、「カーディガンにこの値段は出せんっすわ」と伝えれば良かったかなぁ、なんて思い始めるとドツボにハマる。


私はこうやってどうでもいい人のことを考えて夜な夜な過ごす。

私に出逢うことで何か影響を与えるのが、嫌だ。

私は彼女に出逢ってしまったことで、今後その服を買わない理由を伝える病にかかったのだから。
人間、出逢いで何か影響を受けるのは当たり前なのかもしれない。


つべこべ言ったけど、こんなこと考えて無駄なことは重々承知の上。

カーディガンみたいに、ただたまに羽織ってたいだけのひとりごと。

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