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企業研究者編_#1.企業の研究者とは?に対する一般的回答

大学の研究と企業の研究の違いを教えてください

 就職活動をしている大学生や大学院生が良くする質問の1つですね。

 科学者や研究者っていうと大学の研究者(アカデミアの人達)をイメージされる人が多いと思います。では、企業の研究者とは、一体どのような職業だと思いますか?

研究の質の違い

 一般的な回答を差し上げると、大学は学問をするところですから、真理の追究に重きを置いた基礎研究が多く行われています。一方で、企業は利益を追求するところですから、科学技術の応用に重きを置いた、社会への還元や製品化・サービス化等の出口を強く意識した計画的な研究が行われています。個人の趣味的な研究は、通常許容されにくいと言えます。これは企業が営利活動によって、社会をよりよくするというヴィジョンを持っているからに他なりません。また大きな企業になるほど、プロジェクトの中で様々な専門性を持つ人材が協働する機会が比較的多くあることが特徴です。自分が取り組んだ仕事が、最終的に製品やサービスとして、目に見える形で社会に届けられるので、社会の役に立っているという感覚が得られやすいです。

資金獲得とテーマの継続

 また、研究資金獲得のシナリオが異なり、大学では主に競争的研究費と呼ばれる、省庁や財団等の公募により競争的に獲得される研究費に対して申請して獲得する必要があるのに対し、企業では収益から捻出される研究開発費を上司の許可を得ることによって使用します。企業によって異なるものの、研究が優遇されている企業や大企業では、大学の研究者が競争的研究費を取得するよりも速やかに、かつ比較的楽に、多額の予算を抑えられる場合があります。一方で、大学等でPI(Principal Investigator:研究室の主宰者)になり、資金さえ調達できれば、研究テーマの推進はある程度、個人の裁量に任せられるのに対し、企業の研究者は、会社の注力課題の変更や人事によって、いつ研究テーマが中断されるかが見通せないという側面があります。

関連書籍の紹介

 上述の一般的な回答に関連して、企業の研究者については、数は少ないですが書籍化されています。進路として考えるのであれば、一度目を通されると良いかもしれません。また、研究室のOBやOGなど、実際に身近にいる企業の研究者と話してみることをお勧めします。きっと、皆同じようなことを、実体験に基づいて活き活きと話してくれるはずです。生の声はやっぱり大事です。相互にコミュニケーションがとれるので、進路を迷っている高校生や大学生は、早めに複数の企業研究者へインタビューすることをお勧めします。

まとめ

■企業研究者の特徴は、
1)製品化・サービス化を意識した計画的な研究
2)様々な専門性を持つ人材との協働
3)研究成果の製品やサービス化

※本記事は、マガジンへの対応のため、以前の記事を再編集したものです。

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