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【超短編小説】鯉の群れ

「感想はみんなが思ってる以上に力になるので、もし応援している作家さんがいるのなら積極的に感想を送ってあげてほしいなぁ~」

「わかる!!」
「ほんとこれ!」
「感想来たら一日小躍りして嬉しくて嬉しくて爆発しそうになるのでこれはマジ!」
 リツイートで回ってきたツイートにきゃいきゃい盛り上がる絵描きたち。世の中には感想の力を知らない人たちがたくさんいる。「嫌われたらどうしよう」「失礼にならないかな」そんな不安があるのも分かるのだが、それを乗り越えて書き上げた感想は、すさまじいエネルギーを作家へ与えるのだ。
「あのツイートが回った影響で、感想を書く人がいるかもしれないなぁー」
 O子は匿名メッセージサービスのページを何度も更新している。先程例のツイートを確認したら十万リツイートに達していた。相当な人のところへ届いているはずだ。O子も自分のpixivをツイートした。自信作の紹介にも余念がない。あのツイートに共感した人があれだけいるのなら、O子にだって感想が届いているはずだ。
 その時だった。
 ぱっ、ぱっ、と迅速にページを読み込んでいたブラウザに遅延が生じる。しばらくはなんとか読み込もうと頑張ってはいたが、急にエラーが出る。
「あっ、これってもしかして感想が……来た?」
 心臓がバクバクする。何とかメッセージを確認したいが、重すぎて開けない。そんなに一気に感想が届いたのだろうか? どうしよう……半年に一度来ればマシと言っても差し支えなかった感想が、匿名メッセージサービスの読みこみに影響が出るくらいに届くなんて。ツイートの影響の大きさに驚きつつ、O子はTwitterを覗いた。

「なんか匿名メッセージサービス開けなくなってる」「鯖落ち?」「返信したいのに開けないよぉ」という被害報告が並んでいる。程なくして公式Twitterの呟きが流れてきた。

 ――現在、サーバー落ちています。何故か色々な人が更新ボタンを連打しているようでして……。

気の利いたことを書けるとよいのですが何も思いつきません!(頂いたサポートは創作関係のものに活用したいなと思っています)