観光旅行をしていたら、ソ連がこわれた④タシケント

ウズベキスタンの首都タシケント。「石の町」という意味で、かつてシルクロード貿易の中継都市でした。ソ連時代は、連邦の中でも4番目に大きな都市で、地下鉄も建設されるほどです。夏は気温が40度にもなるというので、到着前は暑さにおびえていましたが、からっと晴れて、朝は気持ちがいいくらいでした。

タシケントのバザール

古くから貿易の中継地だけあって、大きなバザールがあります。さらに、ソ連は都市に物資が集中します。モスクワから遠く離れた極東のハバロフスクと比べると、彩り豊かな野菜や香辛料、羊肉や牛肉が並び、まるで別世界のようでした。とはいえ、現在のバザールと比較すれば、社会主義の市場なのでずっと種類は少なかったですが。

バザール


トマト味の「うどん」ラグマン

ホテルに到着後、しばらくして早めの夕ご飯。テーブルいっぱいに、料理が並んでいます。ウラー。ハバロフスクの貧弱な食事に飢えていた私どもは、涙まじりの歓声を上げました。ふくよかなナン、トマトとキュウリのサラダ、フライドポテトに羊肉のソテー。野菜と豆と羊肉が入った具だくさんのスープ。さらにプチプチのブドウ。飲み物は「冷えた」ペプシ!ソ連に初めて入ってきたのは、コカ・コーラではなく、ペプシだそうです。そしてソ連製のビール。アルコール度は11%。ぜんぜん冷えていなくて、アワもほとんど立たず、ビールの味がしないでもないようなアルコールでした。

私が1番美味しいと思ったのが「ラグマン」です。牛肉とトマト、パプリカ、セロリ、キュウリなどが煮込まれたスープに手延べのもっちりとした太麺が入った、うどん?のようなもの。牛肉のブイヨンとトマトの旨み、香草のディルが香るシンプルな味付け。ウズベキスタンなど、中央アジアの国々で食されていて、これが「うどん」の原型らしいです。ウズベキスタンの料理は、香草や香辛料を使っていますが、全般的に辛さはなく、味付けのベースはトマト。肉は羊肉か牛肉。食卓はとても華やかです。

タシケントのこども

タシケントは地下鉄があるような大都市ですが、土塀が連なる昔ながらの町も残っています。夕方散歩すると、子どもがうるさいほどついてきました。とても人懐っこい。夕涼みをする人が軒先に佇み、なぜか道端で台を出してピンポンをやっている人たちもいました。

↓ この子たちは、公園の噴水に入った後で寒がってました。どれだけ浸かってたんだろう

タシケントこども (2)

そして悲劇が…

夜になり、私たちのグループに悲劇が襲いました。1人、また1人とお腹をくだして発熱し、倒れていったのです。私も、強烈な下痢に見舞われました。征露丸ならぬ正露丸を服用しましたが、まったく役に立ちません。水も氷も避けたし、悪いものを食べた覚えがないのですが…。

同室の友人もぐったりしていたので、各フロアにいる鍵を管理するおばさんに、お湯をもらいに行きました。げっそりした姿を問われて「お腹が痛い」と身振りをすると、これを飲みなさい、と薬を一錠くれました。ためらっていると、今飲め、ここで飲めという身ぶりをするので思い切って飲みました。あとはお湯を少しずつ飲みなさい、と言ってる感じがしたので、友人と少しずつ冷ましたお湯を飲んで寝ました。現地の薬だからきいたのか、翌朝、私はすっきり元気になりました。この日はサマルカンドへ行く予定でしたが、およそ半分の人が復活せず、添乗員のキムラさんとホテルに残りました。

--------------------------------------------------------------------------------------そして「青の都」サマルカンドへ向かった一行は、またしても尾籠な経験をすることになったのです。(続く)

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