モーツァルト『ジュピター』、ヤバい

仕事終わりに目を閉じて、40分ほどモーツァルトの交響曲41番を聴いた。久々に聴いたんだけど、これはヤバい。いや、ヤバい。やっぱり、ヤバい。特に第4楽章。

有名な逸話だが、このヤバさについて作曲家のリヒャルト・シュトラウスはこんなことを言っている。

私が聴いた音楽の中で最も偉大なものである。終曲のフーガを聞いたとき、私は天国にいるかの思いがした。

第4楽章はひたすら「ド〜レ〜ファ〜ミ」で畳みかけてくる。めちゃくちゃシンプル。クラシック音楽に馴染みのない人でも絶対に分かるくらいシンプル。ただシンプルで何度も繰り返されるのに、全く飽きさせない。寧ろ、手を替え品を替え出される「ド〜レ〜ファ〜ミ」が次どんな形で奏でられるのかにワクワクする。これを僕の感覚に言い換えると、夕陽に照らされて輝く波が勢いや形状を変化させながら、次々と寄せては返していくよう。

そうしているうちに、どんどん胸は高まり、いつの間にかリヒャルト・シュトラウスの言う「天国」にいる。

日本を代表する作曲家、久石譲は「最高の音楽はシンプルである」というようなこと言っていたが、まさにコレ。ベートーヴェンの『運命』なんかよりもよっぽどシンプルだと思う。

それでいてここまで心を揺さぶってくる音楽。これを軽々しく作曲するモーツァルトの様子が自然と目に浮かんでくる。そんな彼を思うとなんか憎らしい。けど愛おしい。

モーツァルトの魅力はここにこそあるのだと改めて強く思えた。

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