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パリに飲まれる(フランス)

フランス パリ編(1日目)

長くなってしまうが、今回は1日目に回った8つを紹介していこう。批判的に見ていたパリが楽しくて興味深い街だと気がつかせてくれた、導入として相応しい観光地だった。それぞれオススメ度も掲載しているので、一応参考までに☺️

①パンテオン

②バスティーユ広場

③国立中世美術館

④ドラクロワ美術館

⑤チュイルリー公園

⑥コンコルド広場

⑦オランジェリー美術館

⑧軍事博物館

①パンテオン

ここはフーコーが地球の自転を証明した振り子の実験が行われた場所で、今でも揺られた振り子が展示されている。簡単に言うと、時間が経つごとに振り子の振れる方向がズレていき、それは地球が自転していることによる、ということ。

その周りに色んな壁画が展示されているのだが、ジャンヌ・ダルクも描かれている。これも前回の「19年の興亡」に書いた通り、今もフランス人の心に彼女が強く刻まれていることを示していることの表れだと思った。


またフランスの偉人の墓地にもなっている。(wikipediaから引用)

啓蒙主義を説いたヴォルテール、「人間の条件」のアンドレ・マルロー、ラジウム発見のキュリー夫妻など錚々たる偉人たち。

ここでウィーンで紹介したカプツィーナ礼拝堂(歴代のハプスブルク家の王・王妃が眠る)と似た感覚を得た。「今自分が世界中の誰よりも、今まで文字の世界にいた歴史的な偉人たちの最短距離にいる」という感覚。勿論棺桶は動かないから当たり前ではあるが。

墓地は地下にあるのだが、暗い地下が明るい光に照らされて聖なる雰囲気を醸し出す。

個人的にはパンテオンに眠る偉人の中に自分が好きな人がいたり、科学や歴史が好きだったりすれば訪れる価値が非常に高いと思った。(オススメ度 ★★★★⭐︎) 逆にそれらについて無知であれば優先順位は低いかと。(★⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎)

②バスティーユ広場

バスティーユ襲撃で有名なバスティーユ牢獄の跡地である。現在は一本記念塔が立っているだけ。バスティーユはフランス革命のきっかけである。

フランス革命を簡単に…
豪遊していた特権階級や国家の財政難に対する不満が爆発した市民がアンシャンレジームと呼ばれる王政の旧体制を打破し、共和政を樹立した革命である。
この革命の成功が、今でもデモを起こすフランス国民の源となっているという見方もある。

なぜバスティーユ牢獄が襲撃されたかと言うと、革命前に政治犯が多く収容されており、国家(旧体制)の象徴だったため。つまりそれを襲撃することは旧体制への反抗を意味する。

そんな深い意味を持つバスティーユ牢獄だが、その跡地はショボい…。周りは工事中で近づけない上に記念塔もパッとしない。記念撮影してる人などどこにもいない。期待していただけに残念…。

オススメ度 ⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎

③国立中世美術館

当たり前だが中世の美術品が展示されている。見所はフランドル地方で作られた「貴婦人と一角獣」だ。

散々歴史好きと言ってきたが、それでもあまりにも面白くない。というか施設がかなり小さいので物足りなさしか感じない。本当に行く価値を疑う。パリミュージアムパスのおかげで無料で入れるので問題ないんだけど、、

オススメ度 ⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎

④ドラクロワ美術館

ドラクロワといえばフランス革命を題材にした『民衆を導く自由の女神』が有名だろう。

勝手にここにあるのだろうと楽しみにしていたが、実はルーブル美術館に所蔵されている。因みにここはルーブル美術館の入館券でも入館が可能。ドラクロワの絵画を中心に鑑賞できる美術館だ。

僕は美術評論家でも何でもないので、結果的に他の名画と比べてドラクロワの絵画の魅力や特徴を全く理解することはできなかった。僕の目にはどれも平凡な絵に映ってしまった。

ドラクロワ好きな人は勝手に行くと思うので、評価を共有する対象は無知な人になるが
オススメ度 ★⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎

入り口が分かりにくいので行かれる方はご注意あれ。

⑤チュイルリー公園

19世紀までここにはチュイルリー宮殿が建っていた。宮殿にはルイ16世とマリーアントワネットが事実上の王権停止を実現した8月10日事件まで住んでいた。

公園はその宮殿の名残なのか、優雅な空間である。緑豊かな木々に囲まれる芸術作品、像、噴水、美術館などなど。東京で例えれば上野公園がそれに近いだろうか。


オススメ度 ★★★★⭐︎

⑥コンコルド広場

ここはルイ16世、そしてその妻マリーアントワネットの首にギロチンが落とされた場所。つまり王政から共和制に移行した革命が起こった、まさにその場所なのである。首が落とされた瞬間のコンコルド広場では、共和制樹立の歓喜の叫びが飛び交っていたらしい。

そんな広場にはそのことを記す碑文がある。

残念ながら、僕がいた時は誰も興味を示さず素通り、若しくは中心に立つ記念塔の方に釘付けだった。
僕は気がつくと碑文に滴る雨水が、まるで革命で流された血のように見えてくるまでその場に立ち尽くしていた。

オススメ度 ★★★★★

オランジェリー美術館

ここは印象派及び、ポスト印象派が扱われている。印象派って何?ポスト印象派って何?ネットでググったり、大学の講義で専門的な情報は得られると思うので、僕個人の捉え方で話していく。

印象派
モネルノワールピサロに代表されるパリで生まれた作風である。

オランジェリー美術館にはモネの巨大な睡蓮の絵が多く展示されている。

これらのパッと絵を見て「よく分からない」のが正直な感想ではないだろうか。僕自身も「よく分からない」し、印象派の鑑賞中にも理解に苦しんで疲弊してしまうことも少なくない。

それでも僕は印象派の絵が好きだ。
**世界を自由に、非現実的に、暖かく、淡く描くその作風には心が奪われる。光の扱い方が生み出す、存在する脆い理想郷のような世界が広がる。そこには決められた境界線や視点がなく、自由な鑑賞を我々に促す。 **

特に、間近で絵を見ると何が描いてあるのか全く分からないのだが、離れてみると分かる。ここにその存在の脆さが現れているし、印象派の面白さの一つとして僕は楽しんでいる。


上記の僕の鑑賞の仕方が少しでも伝わるだろうか…?

しかし、その見方で作品を楽しく鑑賞できたと思った矢先、これが目に飛び込んできた。

ただただ真っ暗。何も理解出来なかった。悔しくて理解しようと努めど、無理。

結局は印象派について何も分かっていないのかも知れない。芸術の世界はあまりにも奥が深過ぎることを再度痛感させられ、絶望しながらその場を後にした。

オススメ度 ★★★★⭐︎

軍事博物館

ここはフランスの中世からWWⅡまでの戦具が展示され、とにかく広い。丁寧に回っていたらあっという間に一日経ってしまうほど広い。ナポレオンの墓があることで非常な有名。

よく教科書や資料で見てきた戦争が現実に起こったことが理解できるし、甲冑、鉄砲、大砲、軍人の制服の実物を見ることが出来る貴重な場である。大砲について興味深いのが、長州藩の大砲がパリにあることだ。攘夷運動で外国を排斥したことで起こった下関戦争でフランス軍が持ち帰ったことによるらしい。僕が行った時には貸与という形で日本に展示されているらしく見られなかった。
同様に中国の大砲は見つけることができた。入り口に野ざらしになっているので一見の価値あり!

館内には戦い(例えばアウステルリッツの戦い、アメリカ独立戦争など)ごとに展示が分けられていて非常に分かりやすく面白い。時代による武具の変遷を見ることが出来る。

また各戦争ごとにフランス軍がどのような作戦で戦ったかを映像で説明し、戦術や戦果が可視化されている面白いコーナーが多々設置されている。ナポレオンは戦術の天才だが、誰をどこに配置するか、など詳しい所まで説明がなされている。

別館に移動するとナポレオンの墓がある。彼は左遷先のセントヘレナ島で息を引き取った後、別の所で葬られていたが、ルイ・フィリップの意向でパリに帰還したそう。言わばナポレオンの2度目の帰還である。(1回目は最初の左遷先のエルバ島から脱出し、パリに戻って復位した)


紆余曲折の人生を送ったナポレオンの墓を前に、英雄も死ぬという、至極当然な事実を突きつけられた。

オススメ度 ★★★★★

以上、長くなってしまったが初日に訪れた観光地を紹介した。 とにかく歴史と芸術(多少)が好きな僕としては、連続して強い刺激を与えてくるパリに驚かされる1日となった。

次回はヴェルサイユ宮殿へ。

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