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楽器はイメージと認識の変化でいきなり上手くなる事もある。

【ギタリストに難しいパッシブベースを弾かせてみたらやっぱり苦戦した、、、けど?】


「ベース難しい…..楽器って大変…..」

「センス無い…..上手くなれない…..」

「自分なんかじゃ無理なんだ…..」

果たして本当にそうなのか?

自分で勝手にリミッターを掛けているだけなんじゃないか?

もっとやってみるべき事、変えてみるべき事があるんじゃないか?

講師になった身としてそう思うだけではなく、目の前で起きた実際の出来事として、人間の面白さ、複雑さ、その可能性を実感させられている。


その実例として面白かったのが、ギタリストの友人。

よくベースの実験にも付き合ってもらってるが、これがなかなか新鮮な体験が出来て勉強になる。

ベーシスト視点ではない、自分だけでは気付けない、興味深い結果を得られるのが楽しい。

その友人にやってもらったのは【OPB】を弾いてもらうって事。

完全パッシブ、シングルコイル1発、まさにシンプルの権化、扱いが非常に難しいこのベース。

弾き方によってサウンドに驚く程の差が生まれる、トレーニングにも持ってこいの存在。


で、実際に弾いてもらったところ、予想通りと言うか、やはりと言うか、コンコン響く軽い音が出てくるだけ。腰の据わった低音などは全く出てこなかった。

その友人も縦振動の事は知っている為、弦を押し込むのを意識したり、または、ブリッジミュートも加えたり、いつもよりしっかり弾こうとしてるのは明らか。

しかし、いかんせん勝手が違いすぎる。OPBの難易度に悪戦苦闘、思うような音が全然出てこなくて困惑してるのがよく分かる。

具体的な提案をしても、なかなか太い音は出てくれない、鳴ってきてくれないOPB。

弦を押し込む意識、角度の調整など、それを意識しても音は軽いまま。

「いや、このベースは難しいわ….」

お互い、その手強い印象を再認識した。


と、そんなOPBの難易度に苦戦している中、ある疑問、好奇心、アイデアが思い浮かんだ。

「そういやこいつ、ガチのストラト使いだったな…..」

完全にストラトがメイン。それも、弦を表面的に鳴らすだけみたいなタイプではなく、楽器を芯から鳴らそうってスタイル。

シングルコイルの扱いに長けている・・・

ピッキングで様々なニュアンスを操る・・・

サウンドのコントロールもする・・・

即、やってみて欲しい事が思い浮かんだ。

「いつものストラトの感覚で弾いてみてくれよ!薄くじゃなくしっかり重く刻む感じでな!」

そう伝えてみたところ、ビックリ仰天の変化が起きた。


【難しい….から解放されると音も演奏も人も変わる】


「そんな馬鹿な!」ってぐらい何もかもが変わった、友人のプレイとサウンド。

もう明らかに出音もノリも違う。手首の使い方などは勿論、ピッキングの振りもスピードも全くの別物。あーだこーだ言わずとも、勝手に自由に音を変化させていく。

こちらの伝え方を反省すべきなのか?向こうの感覚の切り替えの問題なのか?そこは本当、何とも言えない。

互いにあまりに想定外だった、こりゃどうしようかって困惑が起きてしまった、ここまで変わるかってもはや笑うしかなかった。

何と言うか、変に堅く思い込んでしまっていた、生真面目にベーシストになろうとしていた、合わせようとしたのが裏目に出てしまったという、それは間違いなさそうだ。


いつもの感覚、ストラトのそれで弾き出した瞬間、さっきまでの硬い表情もどこへやら、一気に自然な感じに弾くようになったのも面白いし、非常に興味深くもある。

「全く別の楽器….」
「高難度でシビア….」
「ギタリストでは厳しい….」

なんて頭を抱えるはずのところ、常日頃からやってる事が活かせるのだと気付いた瞬間、あんなに変わるものかと衝撃を受けてしまった。

明らかに演奏のノリ、レベルが数段上がったどころか、桁が変わったようにすら感じた。

積み重ね鍛えた技を応用できる事に気付く。

自信を持って出せるようになる。

そうなるとやっぱり、人間って違ってくる。


あの経験はそれこそ、

【強くてニューゲーム】

こいつを見た気分かもしれない。


人間、萎縮すると本当に力が出せない。

全く知らない事ばかり・・・

経験値0からの出発・・・

どうせ上手く行かない・・・

そういうものだと認識しちゃうと全然上手くいかない。

でも、実はそうでもないんだと気付くと、一気に変わったりする。

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