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ベース選びに迷ったらジャズベ。超迷ったらプレベ。何も分からなくなったら本家を弾けば良い。

【ジャズベ・プレベの存在否定は難しい】


「人と同じ物なんか嫌だ!」
「ベースには無限の可能性がある!」
「もうパッシブなんか時代遅れだ!」
「日本人の体格に合わない!」
「もっと新しい物に目を向けていくべきだ!」

からの、

「良い物はやっぱり良いんだ….」

「ベースの可能性=多弦化だの超絶技巧とか高音域って安易だった….」

「アクティブとか言ってもこれもいつまで昔の回路使ってるんだよ…..」

「ジャズベってめちゃくちゃ弾きやすくて扱いやすいわ…..」

「変わってるとか珍しいってだけじゃすぐ淘汰されるよな….」

なんて具合にまぁ、結構散々な目に遭ってきた。


同じような事を考えていたり、絶賛苦戦中の人がいたら、その悪戦苦闘を応援すると同時に、

「迷ったらまず王道を知っておけ!」

と声を大にしておきたい。

自分はそれを全く知らず、全く触れず、意味もなく嫌いなまま酷い遠回りをしてきたと、自虐に自慢できる。


「ジャズベとかプレベなんて面白くも何ともない!無難そのもの無個性そのものじゃないか!」

なんて思ってたけど、よくよく考えるとこんなトンデモな楽器ってこの世に存在してなかっただろう、真に革命だったんだろう、その事実に震えるものがある。

フェンダースタイルが無難ってそりゃあなた、今の時代だからそうなっちゃってるって話で、歴史的に見れば異物中の異物だったんじゃないか、それを無視して考えるのは色々苦しい気がしてしまう。


「フェンダーベースは無個性だ!」

「話題になるはずもない無難な楽器だ!」

「ありふれすぎて誰も見向きもしない!」

「可能性を感じようがない古臭い道具だ!」

1960年代にこれを言うのは、ま~、なかなか厳しいものがある。

無難で無個性どころか、色々ブッ飛びまくってる楽器だったはず。絶対、批判にも晒されまくってきた事だろう。

実際、ジャズ至上主義者から、

「エレキベースなんか楽器じゃねぇ!」

なんて自分も言われた経験がある。

批判なんてレベルではなく誹謗中傷、差別レベルで嫌悪憎悪されてたとしても不思議じゃない。


そんな心無い攻撃などモノともせず今日まで生き残ってきた、と言うか現役バリバリ、それこそが求められもするっていう、その意味と重さを考えてみて損は無い。

フェンダーが作り上げたベース、そのスタイルを意味なく嫌い、避けてしまうというのは、極論、ピアノやバイオリンなどの形そのもの、音色自体にケチを付ける、そんなレベルなのかもしれない。

ジャズベ、プレベ、それそのものを否定する、存在自体を突き放すってのは、なかなか覚悟が必要な道である。

知らずに通るにはあまりにも偉業がすぎる。


【楽器選びに迷ったらジャズベ】


「あんな無個性ベースなんか絶対使わねぇ!」
「何がサンバーストだ!オッサンくせぇ!」
「デカすぎて日本人には合わねぇよ!」
「もう古いんだよ!音作りの幅が狭いだろ!」
「弾き手の事なんか全然考えてない!」

とまぁ、よくもイメージだけでここまで嫌悪してたもんだ、憎悪たぎらせてもんだと、逆に感心してしまうかもしれない。

自分の中でのジャズベ評って本当にこんなのだった。

とにかく「絶対良いはずがない!」がまず前提。

ヴィンテージとかクソだ、アホだ、ボッタクリだって、意味不明に世の中とか仕組みまで嫌ってたような気がする。


今考えると、完全にメタル特化とか、一つのバンドに一つのジャンルしかやらないんだったら、それでも別に良かったのかなって思わないでもない。

確かに、メタルやろうってのにサンバーストのジャズベで気分が盛り上がるかと言われてると、自分的にはだいぶ厳しい。

十分対応できるとかそういうこっちゃなく、そもそもやる気にならない、もっと攻撃的でエッジ効いてなきゃ駄目だろってなるのは分かる。

めっちゃ使い込んだ傷だらけのジャズベとかだったら格好良さそうだけど、新品サンバーストのジャズベでメタルな気分になるかと言われると、首を傾げてしまう。


しかし、聴くものも弾くものも広がっていくと、好きだったメタルなスタイル一辺倒では、なかなか難しい場に直面するようになる。

自分の場合、音楽学校に入った事で、それを芯から思い知るに至った。

メタルメタルしたベースサウンドが大好きだったのはいいが、ま~、悲しいほど通用しない。

とにかく混ざらない、機能しない、聴こえてこない、サウンドしない、自慢のベースが役に立たない事実に心の底からヘコんだ。

「先を見るなら考えるならこのままじゃ駄目だ….このままじゃ楽しくなりそうもない….上手くなれる気もしない….」

そんな感覚、壁にブチ当たった。


しょっぱなからレゲェやらされたり、それだけでもキツイのにカッチコチのスタンダードジャズやらされたり、ソウル、ファンク、ポップス、ロック、フュージョン、サンバ、ボサ、通ってこなかった音楽が次々に押し寄せてくる。

しかも段階的ではなく、その日の内にそれがバンバン起きると来たモンだ。

授業が変われば内容も全く変わる。午前中は楽しくロック弾けても、午後にはジャズで死んだ気分になってるなど、それが日常。

「俺はこれで押し通すぜ!」って気合や問答無用の超絶説得力でもあれば、メタルサウンドそのまま攻められたのかもしれない。

が、言うまでもなく、そんな力も魅力も持ち合わせてはいなかった。

まぁ本当、自分の不甲斐なさから楽器のチョイスから何から、ひたすら悩み苦しみ、落ち込む日々だった。


そんな学校体験のみならず、好きになっていったプレイヤーだったり、活躍してる多くのベーシスト達がジャズベースを使ってたというのも、自分の中で大きく動揺を誘ったところでもある。

かっこよくスラップソロ決めてるそこにジャズベ。メロディックに美しいサウンドを奏でるにもジャズベ。渋~くバッキングに徹するにもジャズベ。アグレッシブにフレーズ動かしまくるにもジャズベ。

どこに行ってもジャズベジャズベ。何でもやるにも何でもやれるのもジャズベ。もはや嫌悪ではなく逃れられない疑問と憧れを叩き付けてくるジャズベ。

こりゃもう只事じゃねぇぞって嫌でも分かってくる。


そしてついに解禁。

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